0からの再スタートが見たい人は回れ右。キャラゲーとしてどうぞ。
【プレイ時期】2023年1〜2月
【グラフィック】4/5
今プレイしても十分なクオリティだったと思います。シナリオに合った表情豊かな立ち絵が、作品の幅を広げていたと感じました。
【サウンド】BGM 4/5 ボーカル 4/5
音楽を題材にしているだけあって、BGMは全体的に高品質だったように感じました。
惜しむらくは、ピアノ中心の曲がほとんどだったことですかね。せっかくピアノ以外にもチェロ・ヴィオラ・バイオリンと弦楽器勢がたくさんいたので、そちらにシフトしたBGMでも良かったと思います。
ボーカルは、OPのAliareが良かったですね。これからの展開がワクワクするような前奏で、かつ疾走感がありながら最後はしっとりしており、独特な曲だったと思います。
【システム】3/5
ミドルプライスかつ10年以上前の作品なので、多少見劣りする部分があるのは否めません。とはいえ、基本的な機能は揃っていたと思いますが。
唯一プレイしていて不便だったのは、場面ごとにスキップが停止することですね。絶妙にストレスが溜まっていく仕様でした。
【シナリオ】66/80
<共通> 9/10
親しかった友人の死。特待生剥奪。
なかなかに重苦しい背景がある割には、楽しい共通パートでした。
真奈先輩、桜、藍、夏海(あとまあ、敦も)と良いキャラが揃っていたので、心地よい空間が作り上げられていました。
<桜> 15/20
天才肌の不思議系幼馴染。
どうして不思議系ヒロインと藤咲ウサボイスはこんなにも相性が良いのか。その謎を解明するため、我々調査隊はさらなる作品へと深みにハマっていくのであった…
とまあ、とても良いキャラだったわけですが、シナリオとしては全体的に急な展開が多かったのも事実。
感情的にも、スランプ的にも、もう少し多く描写があるとより良くなったように感じます。特に、春花からの独り立ちはもっと劇的にできたような…
とはいえ、全体的には満足です。
ひとえに、桜というキャラクターが輝いていたルートだったかと。常人には思いつかない独創的なギャグセンスをしており、とても素晴らしいと思いました。
<藍> 17/20
駄妹。なんと心に響くワードでしょう。
妹というだけでスペシャルなのに、そこに加えて兄がいなければ成り立たないようなダメダメ感。それなのに、キャラとしての魅力は下がるどころか上限突破してるあたり、ライターの筆力の高さを感じますね。
キャラとしては文句なく満点ですが、シナリオとしては気になる点も。
遥さん、いくらなんでも出てくるの遅過ぎませんかね…?
個別の終盤になってからの登場だったため、どのような人生を送りどんな苦労があったのかがまるで分からず、感情移入できなかった点がもったいなく感じました。そこを感じさせてからの最後の展開なら、より輝いたと思うのですが…
とはいえ、終盤の展開を除けばクオリティは非常に高く、上質な恋愛を見られたので満足です。
兄妹という、世間からは白い目で見られそうな関係ですが、その後どうなったのかもぜひ知りたかったなあ。
<夏海> 25/30
これはツンデレになりますか…?ツンデレ有識者会議の皆さん、教えてください。
いつ恋に目覚めるかな〜なんて楽しみにしていたら、まさかの10年前からと発覚。そこを素直に伝えられないあたりに夏海の良さが出まくっていて、身悶えましたね。うん。とても良い。
作品内でも一番の愛を向けていただけに、結ばれて嬉しく思えました。藍も近しいレベルではあったけどね。
春花について。意外と絡んでこないままEDが流れたので、こんなもんかと思っていたら最後に爆弾が…
そういや、ハニカム文庫はこういうことしてくるブランドでしたね。
主人公の成長が如実に出ており、素晴らしい締めくくりだったと思います。新たな始まりと、卒業と。
【総評】81/100→5点刻みにするため、80点とします。
とにかく楽しい時間を過ごせました。ひとえに、キャラが素晴らしかったことによると思います。個性豊かで、かつ主人公への信頼があるため心地よかったです。
公式サイトには失った音楽への情熱や友情を取り戻せるか?みたいなことが書いてたと記憶していますが、友情についてはずっと変わっていなかったように思います。
むしろ、一年も弾いていない主人公に対して、誰も見放していなかったあたり、かなり恵まれている方だと思いますが…
なので、0からの再スタートみたいな物語を読みたい人は回れ右ですね。逆に、シンプルに楽しめるシナリオを求めていれば、これ以上なく合致する作品だと思います。