シナリオ自体は悪くなかったと思うんですが、展開が速いのとけっこう簡単に問題が解決してしまうので盛り上がりに欠けた感じがしました。内容自体は重いはずのになんか軽く感じてしまいました。良作だとは思いますが、あまり期待しすぎると肩透かしをくらうかもしれません。
ストーリーは森に囲まれた洋館に記憶喪失の主人公が辿り着くところから物語が始まります。
舞台はほぼその洋館だけといってもいいでしょう。
いわゆる館モノ?ですかね。
この「幸せな楽園」で主人公は生きていくことになるのですが、ぶっちゃけ序盤の時点でこの楽園を作り出したのは誰かっていうのはなんとなく分かります。
まあミステリーではなくサスペンスと銘打ってますし、製作者側も犯人探しみたいなところには重きを置いてないのでしょうが。
シナリオは最近流行の個別ルートをクリアしてTRUEルートみたいなのが最後にあって終わりという形ではなく、各ルートをクリアすることで少しずつ謎が解けていく形になっています。
ルート数は多いほうだと思うのですが、カードモードという各ルートへ進むためのヒントを出してくれるシステムがあるので迷うことはなかったのでさくさく進めてよかったです。
で、各キャラのルートでは大体がそのキャラがどういう経緯でこの館に来たかとかその辺が分かったあとで恋人になって残った問題を解決して終わりっていう流れです。
この個別ルートではシナリオだけでなくキャラクターの魅力を引き出そうとしていたのは良かったと思います。
シナリオ重視の作品だとどうしてもキャラの魅力を引き出すという部分を置いてけぼりにする傾向がありますし。
しかし、ルートが多いせいなのかどうか分かりませんが、各ルートにおいて少し展開を急ぎすぎているように感じました。
無駄に長くなくてさくさく話が進んでいくと考えれば良い点のような気もしますが、種明かしの仕方があっさりとしすぎていてもうちょっと引っ張って話を盛り上げてもよかったんじゃないでしょうか。
それと前述したようにTRUEルートのようなものがあるわけではなく最後に攻略するルートは任意で選べてしまうわけですが、個人的には最後にみちるのルート(【翼広げて】)をクリアするのが順番としては正解かなと思います。
少なくとも締めを真希奈のルート(【永遠の幸せ】)にするというのは後味悪いです。
全ルートが最初からいけるわけではなく特定のルートを攻略すると別のルートが開くという形にはなっていますが、別に強制的に最後にみちるのルートを攻略させても問題はなかったんじゃないかと思いました。
ここからは登場キャラクターの話ということで、結論から言うとキャラの中で一番好きなのは沙羅でした。
最初の登場からは予想できないほど可愛くて、この作品のダークホースと言ってもいい存在でした。
ルートもちゃんと用意してあったのでスタッフには感謝。
メインヒロインであるみちるについては、彼女なしでは語れない作品なわけで、メインヒロインとしての風格があったと思います。
ちなみに私は体験版の時点では知紗が一番気に入ってたのですが、プレイしたあとでは随分と株が下がってしまいました。
過去には同情できますが、それにしてもさすがにちょっと自分勝手すぎるかなと感じましたね。
あとは基本的に少しシリアスな感じで進んでいく話なわけですが、その雰囲気を上手く作り出していたのはBGMのおかげかなと思いました。
主題歌も含めてBGM全般はこの作品を彩っていたなと思います。
タイトル画面で流れるOPのイントロを聴くだけで雰囲気に飲み込まれる感じがしました。
結局この作品が伝えたかったこととしては、幸せは自分で見つけ出すものだ、ということでしょうか。
誰かが創り上げた幸せにのうのうと浸っているだけじゃいけないわけで、自分自身で行動して見つけた幸せこそが本当の幸せなんでしょうね。
選択肢でも今いる状況を受け入れてしまうと悲しい終わりを迎えるルートに分岐してしまいますし、「翠の海」が伝えたかったのはそういうことなんだと思います。
兎にも角にもなかなかの良作だったと思いますし、出るとしたら次回作にも期待したいです。
っていうかSKYFISH系列安定のワゴン行きにならなそうで良かったですね。