シナリオを理解するための最低限の事実が淡々と述べられていつの間にか終わった感じ。どういう話だったかは理解できるのだけど、「結局それがどうしたの?」っていう感覚が残るのは否めない。もう一つTRUEENDに向かうような√が欲しかったです。
はっきり言って期待はずれな作品でした。
全√クリアしても消化不良な感じで、これで終わりというのはさすがに酷いと感じました。
どうもクライマックスでの盛り上がりが足りないというか、こんな一人の人間が私利私欲を貪るのを防ぐためだけの物語に付き合わされていたというのがどうも納得できない。
大風呂敷広げた割には安いシナリオだったなと感じました。
各√を見てみるとテレーゼ以外のヒロインの√が非常に雑。
とりあえず攻略できるようにしましたよという感じで、ヒロイン及び主人公の感情の移り変わりがきちんと描けていないので、いつの間にか好きになってよくわからないけどHしちゃったという展開になっています。
というか基本的に√自体が短すぎるし展開が唐突なので、ヒロインがシナリオのために使い捨てされた駒みたいになっている印象でした。
一方、テレーゼ√はというと他の√と比べて一応まともなシナリオではあるものの、あくまで「他の√と比べて」という相対的評価であって、単体で見てみると素晴らしいシナリオというわけではなく、もうちょっと掘り下げられることができたはずなのに無理矢理終わらせた感じがしました。
特に名もなき塔に降りた天使とかジョヴァンニの過去話とかいろいろ消化不良でした。
一応、天使がどういう存在かとかジョヴァンニが何者かとかは理解できるようにはなっているものの、もう少し掘り下げてもよかったと思います。
この作品の総評としては、一応完結はさせているもののなんかモヤモヤしたものが残ってしまう、そんな作品でした。
全体的にシナリオの展開もテレーゼ以外のヒロインの扱いも含めて雑だと感じました。
また、演出の面ですが、クリックして読み進めているとたまに二重にも三重にも音声が重なってしまうところがありました。
たぶんオートモードで読み進める分には演出上問題は無いと思うのですが、クリックで読み進めているとカオスなことになってしまいました。
クリック時の音声制御を「STOP」にしておけば簡単に回避できるのかなとは思いますが、一応気になったので書いておきます。
なんか悪い点ばかり挙げていますが、良い点としては笛氏が描く絵が可愛いということと、BGMが非常に世界観とマッチしていたということがあります。
この点に関しては安定していたとは思いますが、悪い点があまりにも目立ち過ぎていて残念な仕上がりとなっていました。
世界観や設定という素材の部分は良かったはずなのに、調理してみると何とも言えない料理ができあがってしまって、どうも私の口には合わなかったです。