大丈夫?クドリャフカのファンディスクだよ?
さて、ファミ通の攻略本並に出る前から「大丈夫なのか?この作品は……」という不安が渦巻いていた本作だが、
もし今この作品を買おうかどうか迷ってこの感想を見てくださっている人がいるなら購入前にしっかりと考えてほしい。
この作品はあくまで「クドの」ファンディスクである。
「リトルバスターズ!(以下リトバス)」本編に存在した「筋肉」や「しゃかしゃかへいっ」などの要素は存在しないということをご理解いただきたい。
その上でこの作品の購入を決定した方は、購入理由として
①リトバスが好きでその中でもクドが大好きだから
②その他の登場キャラに好きなキャラがいるから
③Rewrite体験版に釣られて
という3つの理由が主に挙げられるだろう。
もちろんその他の理由として、KEY作品は毎回買っているのでという方もいるかもしれないが、
私がKEY作品をリトバスしかやったことがないので他作品と比較することができないためにその辺に関しては割愛させてもらいます。
で、まず①の理由で購入を決定した方、「よくやった、褒美としてクドわふたーを買う権利をやろう」と言いたいのだけれど、残念ながらそうはいかない。
何故かというとこの「クドわふたー」、日常の面白さという部分についてはリトバスに比べて格段に落ちるからである。
一番声を上げて言えるのはギャグが面白くないという所だろう。
頭のなかで天使と悪魔が囁き合ったり、みんなで料理対決をして大混乱みたいなよくありがちなギャグシーンしかないのがイタい。
しかし、「ただクドとイチャイチャしたいんだ!」という方はHシーンもある程度豊富にあるので、日常に過度な期待をしなければ十分楽しめるのではなかろうか。
次に②の理由の方、クド以外のキャラは攻略できません、諦めましょう。
憂希だけには百合っぽいシーンはあるが、Hシーン自体はクドにしかない。
クドとそれ以外のキャラとの絡み自体もそれほど多いわけではないし、キャラの魅力を引き出せてない感があるが、それでも言えるのは
『有 月 姉 妹 が 可 愛 い』
ということだろう。
最後に③の理由の方。これに対する答えは単純明快、Rewrite体験版の方が面白いからそっちだけやっとけばいいです。
私はロミオも竜騎士も文章を読むのは初めてだったのだが、なかなかに面白かった。
下ネタが少し多い気もするが、私自身は許容範囲であったし、キャラも魅力的に描かれていた。
どの部分がロミオでどの部分が竜騎士かは分からなかったが(というか全部ロミオ?)、Rewriteという作品を期待させるには十分だったと思う。
さて、クドわふたーについての話に戻そう。
前述のように日常がつまらない作品である「クドわふたー」。
それでも私はそれなりの点数をつけているわけなんだけど、その理由はというとシナリオ自体は良かったからである。
このシナリオ、最終的には奇跡を起こすために全員で協力して試行錯誤するわけだが、この「奇跡」はリトバスにおける「奇跡」とは大きく違っている。
リトバスで起こった奇跡というのは普通に考えて起こる可能性の無かったもの、世界の仕組みによって引き起こされた奇跡であった。
しかし今回の場合はわずかな確率という障害を乗り越えて起こった奇跡、つまり少なくとも起こる可能性はあった奇跡である。
はっきり言ってこの「クドわふたー」はリトバスにおける世界観をまったく踏襲していない。
そのようにリトバス的要素を無視した中でも感動させるストーリーを作り最後にしっかりとまとめた部分は評価できると思う。
ただシナリオ構成自体はいいのだが、肝心なところで描写がおざなりになっているところも多く、ペットボトルロケット大会のところなんかはかなりあっさりと終わってしまった。
またこの作品に1週目は必要だったのかという所も疑問に残る。
私には1週目が存在した理由がいまいち理解できず、ただプレイ時間を伸ばす要因になっただけだった。
他に良かった所といえばクドのキャラクター自体にはあまり違和感がなかったことだろうか。
リトバスEX発売から2年近くたっているが、声優さんがキャラを崩していなかったと思う。
っていうかこういう役柄やってるからあれだけど鈴田美夜子さんけっこう演技上手いと思う。
あとBGMに関しては安定したクオリティだったし、システム周りにも問題はなかった。大きなバグも見つからないし。
この作品はタイトルが「クドわふたー」なだけあって、「クドリャフカ」という存在が必要な作品であることは確かだろう。
しかしそれは裏を返せばどこを取ってもほとんどクドということであり、リトバス本編でクドがそんなに好きではなかった方は回避することを推奨したい。
私自身はクドを好きな方ではあったが、それでも後半はほとんど惰性でプレイしていた。
だらだらと続く日常を抜けたその先に広がる光景は確かに美しいものではあったが、わざわざそこまで苦労して行く場所ではなかったように思う。
最後にあらためて言っておきたい。この作品は最初から最後までクドという存在がほとんどを占めている。
だからリトバスとは違う、まったく別物だと考えてプレイしてもらいたいし、クドが大好きだという人にこそ楽しんでプレイしてもらえると思う。