「『奇跡』は用法・用量を守って正しくお使いください」。シナリオライターにはそう言いたい。
このサイトで低い評価されている割には悪くなかったんだけど、さすがに奇跡が起こりすぎだろという感じがしました。
願いを叶えるシステムがこの作品の鍵となっているわけですが、こんな設定にしてしまったからこそいろいろ失敗しているような気がしました。
また、作品の雰囲気自体は良かったのにシナリオの方で少しインパクトに欠けていたと思いますね。
で、シナリオの方ですが、これは多くの人が推奨しているように由比子→茅羽耶→沙々羅の順で攻略しました。
最初に由比子ルートですがこれはけっこう酷いシナリオでした。
カードゲームのモンスターが実体化するってどこの遊○王だよって感じでしたね。
で、あと矛盾点っぽいのもありまして、最後に主人公が由比子が目を覚ますようにと願うことで奇跡が起こり由比子が目覚めるというシーンがあります。
この島のシステムとして願いが叶うには願う人間は二人以上という条件があるのですが、この場合一人は主人公としてもう一人は誰だったんでしょうね?
それは願いが叶うおまじないとして教えた仁木なのか、それともこの島を守るため巫女としてシステムに干渉しているフミオなのか、はたまたこの島のシステムとは関係なく奇跡が起きたのか、その辺がちょっと曖昧でした。
また、この話だけでは島の願いを叶えるシステムについては何も説明されていないため、いきなり何の前触れもなくファンタジー展開に突入したような感じで訳が分からなかったというのが正直なところです。
茅羽耶ルートに関しては3日間で記憶が消えるヒロインとの恋物語というもう感動するための要素しかないような設定でしたが、あまりにもところどころで感動させようとしすぎでした。
もうちょっと盛り上げる所で一気に盛り上げてほしかったと思います。
実際、中盤の茅羽耶が3日間で記憶が消えるというループを抜けられたところが一番感動しましたね。
この辺りまではホント良かったんだけどね、最後の方は結局こういう奇跡が起こるのねっていう感じでした。
とりあえず、茅羽耶のもう1つのENDの方の過去へのタイムスリップは流石にやりすぎです。
そして、沙々羅ルート。これはなかなか良かったんじゃないかと思います。
親子の確執の部分も上手く心情を描けていたし、この島のシステムやら話の核心部分がいろいろと分かるので最後に攻略するのを推奨というのも頷けます。
終わり方は悲しいものでしたが綺麗にまとめていたかなと思います。
この話の設定上、いろいろな奇跡を起こすことができるのですが、結末がほとんどそれというのはいかがなものでしょうか。
「奇跡」というものにもある程度その事象が起こった理由付けが必要だと思うし、その「奇跡」という最強の必殺技を使うタイミングが重要だということがよく分かりました。