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melo1009さんのプリンセスラバー! ~Eternal Love For My Lady~の長文感想

ユーザー
melo1009
ゲーム
プリンセスラバー! ~Eternal Love For My Lady~
ブランド
COMFORT
得点
25
参照数
298

一言コメント

顧客(わたし)が求めたもの 1:エロを失った分のシナリオ面の補強 2:キタエリ聖華さんがふーりん聖華さんを超えること 3:綾乃ちゃんの魅力を堪能出来る綾乃ちゃんルート 得られたサポート→

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

はい駄目でしたァー!!



1:エロを失った分のシナリオ面の補強
シャルの描写追加:転校前に街で出会うイベントが追加されたけど哲平君はシャルに振り回されてるだけで惚れられるようなムーブ一切してません
結局彼女は何故この男に恋を…? 謎が深まっただけ…ていうかぶっちゃけ先の展開ちょっと前倒ししただけでは…
聖華さんルート:なんか執拗に聖華さんが信じてる信じてる言ったり綾乃ちゃんルートで間接的にフォローみたいなの入ったんですけど
結局おじいちゃんに押し切られて身を引く流れはそのままなんで描写を増やしたことがかえって裏目に出ているというかすごい言い訳がましくなった感
おじいちゃんにも同情的っぽく思わせる描写足されてたけどそれより一番フォローが必要だったのは哲平君だったのでは…
優さんルート:何故か孤児院の子供BとCが入れ替わっていた Bちゃんの方が可愛かったからそっちが哲平君寄りの方がユーザー喜ぶやろ的判断…?
あと白ワンピ姿とか水着背中流しとかラストの赤ちゃん抱いてるCGとか見てやっぱビジュアル面だけなら優さんがプリラバ最強だなあと思いました
シャル&シルヴィルート:前二人の時点でエロの代わりに用意されたイチャイチャが中学生レベルなのは分かっていたのでほぼ飛ばした
シルヴィルートはマリアちゃんに大分浸食されていて実質姉妹ルートみたいな感じだった気がする でも全然読んでない

2:キタエリ聖華さんがふーりん聖華さんを超えること
まあサンプル聴いた時点で無理だってことは分かってたんですけどボイスOFFにまで至る決定打になったのは
『なぁにっ、よぉ……あらひがそうだったらあんたは……お肉』のとこが××××
(キタエリファンに喧嘩を売る綾乃ちゃんレベルの暴言につき検閲)だったこと
ていうかPC版感想で書き忘れたんですけどふーりんの全力投球演技はエロのみならず通常時においても同様で
そこが『いつでもトップギア』と称される聖華さんのキャラに合っていたというのもあったんですけど
キタエリ聖華さんはどことなくローテンション気味っていうかさやかちゃんみたいっていうか…コレジャナイロボ…
ちなみにもう一人声変わってるシャルの方はまあ元々自分がシャルそんな好きでも嫌いでもなかったので可も不可もなくといったところ
ただ思っていたより遠藤綾さんの演じ方が若かった EOEのリーンベルちゃんみたいな感じ 老け顔だからってシェリルみたいな演じ方されなくてよかったね

3:綾乃ちゃんの魅力を堪能出来る綾乃ちゃんルート
今レビューの本題。

PS2版の目玉として用意されただけあって、このルートは他四人のやっつけ移植ルートとは一味違います。
何が違うってライターが違います。綾乃ちゃんルートはPC版ライターの尾之上咲太さんに代わり木村ころやさんが担当されたそうで、
それに伴い我らが主人公有馬哲平君にも大きな変化が生じることとなりました。
PC版では備わっていなかった料理スキルが生えたこともそうですが、一番の変化は彼に知性と呼ばれるものが芽生えたことです。
なんとあの哲平君がヒロインの一見無茶苦茶に思える行動に隠された真意を読み切り、それを制する立ち回りを見せます。
その後『本当は俺もっと後先考えて行動する筈なんだけど…』とか内心語ってるところは笑いどころです。PC版哲平君に対する皮肉にも程があります。
また、綾乃ちゃんルートの哲平君は怒りません。怒りという感情を母親の胎内に置き忘れてしまったのではないかと思うレベルで怒りません。
綾乃ちゃんの暴言に対する耐性の話ではないです。おじいちゃんに将来の夢を打ち明けたシーンでのことです。
PC版哲平君だったら絶対おじいちゃんとのやり取りの中でどっかで逆ギレかましてます。それが我々の知っている有馬哲平君というものです。
また、綾乃ちゃんと一緒にテスト勉強頑張ったり社交部での活動描写がちょこっとだけ追加されたりラストの料理対決における判断なんかもあり、
今ルートの哲平君は人によっては良主人公認定してあげてもいいんじゃないかと思えるくらいには株を取り戻したのではないでしょうか。
ではシナリオの方はどうだったのかというと、哲平君に料理スキルが生えたことに伴いジャンルも変わりました。
美味しんぼとかミスター味っ子とかそっち路線になりました。プリンセスラバーっていうかクッキングラバーでした。
正直ご都合主義度で言えばPC版以上かもしれません。でも他ルートで散々やった身分違いの恋に基づくグダグダを早めに流したのは好判断だったと思います。
聖華さんルートから派生しただけあって聖華さんが縦横無尽の立ち廻りだったのでつくづく声が変わってしまったことが悔やまれます。
途中ちょっと三角関係物みたいになったりするのかと思いましたがそんなことはありませんでした。ちょっと残念。

問題はヒロインの綾乃ちゃんです。
彼女のヒロイン昇格にあたって、私が注目していたポイントは二つ。デレるまでと、デレた後。
前者は割といい感じでした。数々の後付け新設定が二人の仲を後押ししたおかげでもありますし、
流石に若干のチョロさは拭えませんでしたが、それも前述の哲平君の有能ムーブである程度上書きされました。
問題はその後です。

>「もしもし! 綾乃!」
>「あ、哲平さん」
>「ごめんね、すぐに出られなくて」
>「食事会の最中でした?」
>「ううん、今帰ってきたところだよ」
>「そうですか」
>「どうしたの?」
>「特に用はないです」
>「え?」
>「用がないと電話をしたらいけませんか?」
>「そ、そんなことないよ」
>「ふふ、冗談だから、そんなに慌てないで」
>「あ、その話し方いいね」
>「え?」



私「え?」



>「丁寧すぎない感じ」
>「やだ……」
>「それくらいフランクに接してくれると、俺も嬉しいよ」
>「下品に思われたら……」
>「そんなことないって」
>「わかりました。心がけてみます」
>「違う違う。今のところは、わかった、だよ」
>「わかった……こう?」
>「そうそう」
>「ふふ」
>「綾乃は今、どこにいるの? 家」
>「えっと……」
>「ん?」
>「い、家の近く。社交部の仕事に結構な時間が掛かっちゃって」
>「お疲れ様。ごめんね。手伝えなくて」
> 意外とすぐ順応してくれたぞ。
> ひょっとしたら、こっちの方が自然なのかもしれない。
> そして、何事も自然な方がいい。
> 話し方がちょっと変わっただけで、また綾乃のことをかわいいと思ってしまった。



唐突に話が変わるのですが、私のお気に入りユーザー様にvicinityofobscenity様という方がいらっしゃいまして、
その方がとあるゲームについて書かれたレビューを引用させていただきたいと思います。

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・誰だよお前
From Friend To Loverつーことで関係性の変化に萌えを見出したらしい、フレラバ。
共通ではお友達、告白してキスして恋人になって個別ルート。その推移とか前後のギャップとかじわじわ女の子が染まっていく感じは、眺めていてたぶん達成感・征服欲に近い脳下垂体的なところをガツンと刺激してくれるんだと思う。ゆずゆさんも陽茉莉さんも序盤とエンディングを見比べるとその変貌具合はすごいものだった。別人だった。コンセプトの通り。

The point of Friend to Lover
<Point-1>主人公に恋心を貯める毎に変わっていくヒロイン
恋をすれば女の子は変わっていくものです。友だちに見せる顔と恋する人に見せる顔は違います。フレラバのヒロインたちはあなたに恋心を蓄積するたびに様々な表情・性格・特徴を見せてくれます。これらの変化は主人公のことを信用し、主人公に愛されたいというヒロインの願望によるものなのです。
(フレラバ公式HPより)

恋をすれば女の子は変わっていくものです。オーケー。それは理解できる。友だちに見せる顔と恋する人に見せる顔は違います。その通り。
でもさあ変わりすぎじゃないかな。

別人ってより他人。ゆずゆさんの頭が日を追うごとに悪くなっていく。アルジャーノンかお前は。ゆずゆさんがゆずゆさんではない誰かに変わっていく。どうもこんな子を好きになった覚えはないのだがと個別に入ってちょっと思う。

(http://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=18018&uid=vicinityofobscenity)

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私が綾乃ちゃんルートに対して言いたいことはまんまこれです。
他ゲーの話を持ち出すなよと思われるかもしれませんが、何の因果かはたまた必然か
この『フレラバ』のメインライターも木村ころやさんだそうなので無問題です。
そういうコンセプトのゲームでそういうことやる分にはいいでしょう。しかし一作のゲームで最後まで毒舌敬語キャラ貫き通した娘をですね、
こうまで原型なくしてしまったらそれはもう原作レイプでしょう。

>「料理課題は自由でしょ?」
>「うん」
>「だったら料理は、素材の味を活かせる物がいいと思う」
>「素材の味を活かせる物?」
>「優れた料理人は、ありきたりな食材で美味しい料理を作る人のこと」
>「そうだね。例え同じ食材を使って同じ料理を作ったとしても、技術で味の差をつけることができる」
>「うん。でもね、どんなに優れた料理人でも、腐った食材で美味しい料理は作れない」
>「あ、つまり食材の質で勝負するんだ」
>「そう。それであまり手を加えない料理がいい」
>「工程が加われば、それだけ技術の差が出てくるからね」

綾乃ちゃんルートの綾乃ちゃんは、料理人によって手を加えられ過ぎた料理です。
或いは料理人に『腐った素材』と判断されて、PC版の綾乃ちゃんは捨てられてしまったのかもしれませんが。
いずれにしても、食べ終わる頃には素材の味はすっかり薄れて何も残らなくなっていました。これがアク抜きという奴でしょうか。
毒舌はまだしも敬語まで抜く必要はあったんでしょうか。赤ちゃんできても哲平君を哲平様と呼び続ける優さんの爪の垢を煎じて飲むべきです。
ちなみに上記の会話ですが、これ哲平君と綾乃ちゃんですからね。どっちが綾乃ちゃんの台詞か分かりますか?

>「哲平よ。純粋な料理の技術は、橋本の足元にも及ばん」
> やっぱり……。
> ダメだったか……。
> 今の俺の技術じゃまだまだ伝われないってことなのか……。
>「じゃが、今のワシが『美味しい』と思える料理を作ったのは哲平じゃ」
>「え……」
>「それじゃ……勝負の結果は……」
>「引き分けじゃの」

今の私の心境はこのおじいちゃんと同じ感じです。哲平君が尾之上咲太さん、橋本料理長が木村ころやさんって感じです。
足元にも及ばんって言うほど差があるとも思いませんし、哲平君の料理が美味しかったとも思いませんが。でも引き分け。とても低いレベルでの引き分け。
ただ何だかんだ飛ばさずに最後まで読んでしまったので0点は付けずにこのくらい。
45点を有馬にしては上出来だと語った聖華さんの気持ちが今なら分かる感。



~おまけ~
竹園エリカさんは移植にあたって存在を抹消されました。
まさか綾乃ちゃんルートで影も形もないなんて…今作でオノリョーにギャラは発生したのか…?