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melo1009さんのプリンセスラバー!の長文感想

ユーザー
melo1009
ゲーム
プリンセスラバー!
ブランド
Ricotta
得点
95
参照数
1100

一言コメント

10年ぶりに再会した初恋の人の話とか色々。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

10年越しに振り返る初エロゲということでこのゲームに手を出したきっかけとかつらつらと語ってしまおうかとも思ったのだけれど、
前置きにするには長くなり過ぎた上に誰も興味ないだろうということに気付いてしまったので割愛。
で、10年ぶりに再プレイしてみたはいいものの、驚くほどに内容を憶えていなかった自分に気付かされる。
理由は分かる。大方シナリオの大半をスキップでもしたのだろう。真面目に読もうとすると苦痛を感じてしまうから。
何に? 言うまでもない、主人公である有馬哲平君の思考にだ。彼を主人公として受け入れるだけの度量が、当時の私には備わっていなかったのである。
無論、10年経って彼がダメ主ではなく素敵主人公に見えるようになったかと言えばそうではない。
シャルとの初遭遇時に逃げ出す思考回路は今なお理解に苦しむところだし
(その哲平にシャルが恋心を抱く理由も)、ヒロインの話をまともに聞かず脳味噌ピンク色にしてるところは本当に気持ち悪いとも思うし、
ああ、そこでキレちゃうんだ…というところでキレるし、彼は本当に幼稚で、子供で、視野が狭くて、ヒロインのことしか頭にない少年である。
が、そこでもうこいつには付き合ってらんねえやと思ってctrlに手を伸ばさない程度には私も寛容になったというか、
第三者的視点から物語を楽しめるようになったというか、当時に比べてエロゲの楽しみ方が分かるようになったというか、
まあとにかく、何か知らんけど、許せるようになっていた。そして有馬哲平君を許せるようになるということは、
このゲーム自体を許せるようになったということである。
そうすると、10年前には見えてこなかったものも色々と見えてくるようになる。すっ飛ばしたテキストの数々も真面目に追いかけるようになる。
で、追いかけた末に結局真面目に語るほどのシナリオでもなかったという結論に至りはするのだが、
それでも登場人物の所感を書けるくらいには堪能させていただいたので、まずは聖華さん以外についてつらつらと。

・有馬哲平
先に触れた通り、彼はとにかく子供である。ただひたすらに子供である。時折大人ぶろうとしたりそれっぽいことを口にしたりはするのだけれど、
なりきれない上に薄っぺらいところまで含めてどうしようもないほどに子供である。
で、能力はない、頭もない、財力はあっても彼の物ではない、そんな彼の一体何がヒロインを射止めるに至ったのかといえば、
それはとにかくヒロインのことが大好きだという想いしかない。彼はその一本槍をぶん回すことしか知らずに4ヒロイン27セックスを駆け抜けてきた。
将棋の駒で言えば彼は歩兵である。香車ですらない。愚直に一マス一マス前に進むことしか出来ない存在。
しかも歩兵と異なり、彼は金に成ることが出来なかった。敵陣の中で右へ左へ後ろへ斜めへと立ち回る術を身に着けることが出来なかった。
その末路が4ヒロイン中3人における小林哲平への回帰であり、プリンセスラバーとは歩兵がひたすら前に進みながら
一マス先で股おっぴろげて寝転がってるヒロインという名の駒を食い散らかして、
それでいて他の駒に邪魔されることもなく王手に至る物語である。まあそんな対局見てても面白い訳がないですよね。
でも獲られる駒がこもりけい画の美少女揃いで濃厚なエロシーンの元きゃんきゃん喘いでおしっこ垂れ流してアへ顔晒してたら? 買いでしょ。
まあそんな例え話はともかくとして、彼が持っている武器というのはとにかくヒロインに対する愛情、ただそれだけです。
で、彼はそれを隠すということを知りません。なので四六時中脳味噌はピンク色だし、ベッドの上ではヤクザになるし、
何かにつけてヒロインの痴態を妄想しては「へへ…」とか一人笑いする気持ち悪い男であるし、
おじいちゃんに対しても絡め手とか一切使わず真正面からヒロイン好き好きアピールをぶちかまします。
が、この『ヒロインに対する愛情』というもの。これだけは最後まで捨てなかったからこそ(シャルルートで一度捨てかけたけど)、
有馬哲平君はかろうじて、エロゲ主人公としての面目を保つことに成功していると思うのです。
そんなの誰でも持ってて当たり前だろと思われるかもしれませんが、
たまにいませんか? こいつ本当にヒロインのこと好きなのかなとか思っちゃう主人公。いや人によっては哲平君に対しても同じこと思うかもしれませんが。
実際聖華さんなんかは作中ぽつぽつ不安を口にしています。あんたってただあたしとこういうことしたいだけじゃないのかと。
そういう不安の積もり積もった結果が聖華さんルートにおける彼女の決断ではないのかと…これは彼女の話のときに書こう。
まあとにかく私が何を言いたいのかと言うと、よくシナリオにおいて挙げられている4ヒロイン中3人が家出エンドという代わり映えのなさ、
ここは確かに批判されて然るべき部分ではありますが、同時に有馬哲平という少年の根幹がブレなかったことの証明でもあるのでは、
みたいな話です。その愚直さを愛せとまでは言いません。実際私も愛してはいません。彼の出来ることが少なかったから、
シナリオの幅もまた狭く似通ったものになってしまったことは事実であり、そこを一捻りするだけで幾らでもより面白いお話は書けたと思います。
その可能性の一つがアニメ版プリンセスラバーなのかもしれません。そっちは未見ですが。
ただこのPC版においていえば、シルヴィア以外の各ルートにおいて有馬の姓を捨てる決断を取れない哲平君は最早哲平君ではなく、
その不器用でただひたすらにまっすぐな姿勢こそがヒロインの心をも射抜くに至ったのではないのかなあ…みたいな。
『こんな主人公に何故惚れるのかが分からない!』という批判が多く見受けられる有馬哲平君ですが、
シルヴィア聖華さん優の三人についてはこれで説明がつくと私は思っています。じゃあ誰に納得がいってないって? そりゃ勿論…

・シャルロット=ヘイゼルリンク
この出会ったときから好感度MAXのお姫様だよォ!!
PS2版では二人が出会った時の描写が追加されているそうですね。さもありなん。原作では描写不足だったとライターが認めたようなものです。
そこを必死に擁護してもアホらしいだけですので悪足掻きはしません。
原作シャルは異星人を目の当たりにして逃げ出した原住民を見て恋に落ちたエイリアンです。
でもエイリアンがこもりけい画の以下略ということで許されました。三回目の野獣SEXと四回目の保健室騎乗位がお気に入りです。
『女の子に襲われちゃう』のコメントでも書いたのですが、ベッドヤクザと称される哲平君がシャル相手だと成すがままの赤ちゃんになってしまうんですよね。
シャルの老け顔と合わさって気分は一種のおねショタ物です。おっぱいも垂れてるし。垂れてますよね? バックの時とかもうだるんだるんですよね?
エピローグの腹ボテSEXも妥協なく膨らんだお腹を晒して母乳まで垂れ流したヨゴレを厭わない優さんに対して
これどこが膨らんでんの…? むしろ腰の細さが強調されてない…? って思った2枚目のCGとか、
黒く焼け焦げたはずのオムレツは何処へ行ったのかと問いかけたくなるお料理CGとか(ドレス+エプロンの組み合わせ自体は好き)、
他ヒロインのルートだと哲平君に若干お邪魔虫扱いされているところとか、
作品看板のように見えて要所要所で雑な扱いを受けているような気がするよくわからない娘でした。
PS2版じゃ聖華さんと揃って声変わっちゃいますしね。聖華さんと揃って…聖華さんと…この悲しみもそのときまでとっておかないと…。

・シルヴィア=ファン・ホッセン
4ヒロイン中唯一家出エンドではないという理由で評価されてる感のある彼女のルートですが、
実際のところ彼女のルートで哲平君が他ルートと比べて成長したかといえばそうでもないと思います。
ただ有馬哲平でなくなる必要がなかったから有馬哲平でい続けただけみたいな。作中哲平君は否定していますが、
結局のところおじいちゃんの敷いたレールの上から逸れなかったおかげでボロが出なかっただけではないかと。
じゃあシルヴィルートの哲平君が他に比べて立派に見えた理由は何だったのかといえば、ヒロインのシルヴィもまた、
哲平君と同レベルの子供だったからに他なりません。まあそうなった元凶はヴィンセントの育て方にあるんですが。
飄々とした態度に誤魔化されてしまいそうになりますが、ヴィンセントも一心やアルフレッド同様、この作品に登場する典型的『大人』の同類です。
子供である哲平やシルヴィとの間に明確な一本の線を引いています。あ、ヴィンセントに対する批難という訳ではありません。
彼もまた前述の大人たちと似た者同士というか、器用に見えて不器用な頑固者というかそういう話です。だからシルヴィとも喧嘩するんです。
じゃあ多くのルートで袂を分かった哲平一心とシルヴィンセントの何が違ったのかといえば、
全ては『私はファン・ホッセンの女だ』という一言に集約されるのではないかと思います。
哲平君は何処までいっても有馬の姓の下に小林という庶民の血を隠していましたが、シルヴィにはそういったものはありませんでした。
故に覚悟決めて国に帰ることを選んだ父ヴィンセントの姿に彼女が心打たれ同じ決断を選ぶことは必然であり、
哲平君はただその後押しをしただけに過ぎません。なのでシルヴィルートは彼女の成長物語です。哲平君がやってたことは他ルートと何も変わらず、
ただ愚直にヒロインを愛し続けることだけです。その結果シルヴィも立派な尻穴奴隷に調教されてしまいました。
他ヒロインには存在しないわざとらしい太眉をもって私はセイバーのパクリではありません! と虚しい主張を続ける彼女ではありますが、
本家セイバーもあれこれ派生が増えた今ならこっそり混じってもバレないんじゃないでしょうか。
そもそもセイバーがセイバーと呼ばれる時代自体もう過去って感じですからね。私は未だにセイバーをアルトリアと呼んだり
ランサーをクーフーリンと呼んだりライダーをメドゥーサと呼ぶことに慣れないのですが。あ、でもメディアさんはメディアさんでいいと思います。
「私は葛木メディアです!」って高らかに喧伝してたシーンの印象が強いからかもしれません。完全にシルヴィ関係ねえなこれ。

・藤倉優
そのフェラ顔が、俺の心を狂わせた――――――――。



精液を飲むために生まれてきた女なのだとしか思えません。わざわざ口内射精時のCGまで用意されているのがその証拠です。
本当に幸せそうな表情で亀頭を舐め咥え込むんです。奉仕精神の鑑? そんなものではありません。伽役の話だって嘘だったのです、
単にこの娘が精液飲むのが大好きな変態淫乱糞ビッチだったというだけの話です。本当に大好きです。ありがとうございました。
おしっこティーカップに注いだ後で哲平君にブランデー勧めるシーンあるじゃないですか、あれ絶対飲尿の暗喩だと思ってるんですがどうなんでしょう。
確かワルロマにはありましたよね。あっちはちょっとこもりさんの性癖露出ブレーキがぶっ壊れてしまった感あってついていけなかった私なので、
優さんが今作のキャラで本当に良かったなあと思います。
プリラバのフェラとかアへ顔なんて、あっちと比べれば可愛いもんですよね本当に。大丈夫! 私はまだノーマル!

エロの話ばっかりというのも不憫なのでシナリオ面についても少々。
シルヴィルートで彼女はこう語ります。デートの時に連れていってほしい場所はそのひとにとっての思い出の場所だと。その理由がこちら。

>「はい。その場所を私も好きになることが出来れば、とても幸せなことだと思いますので」

そして優ルート終盤、彼女が育った孤児院に帰省するという話に全力で食いつき同行を求める哲平君。
泥団子を投げつけてくる子供達にもめげずに接し、笑顔を見せ、良いところだったと口にする哲平君。
まあ、こういうとこですよね。彼のいいところは。優ルートでは他にもシルヴィがちょくちょく哲平君の背中を押したりサブヒロイン的な立ち回りを見せるので、
この2ルートは続けてプレイすることをお勧めします。となるとやっぱり聖華さん→優→シルヴィ→シャルなのかなあ…
そしてシャルルートやるとまた聖華さんルートやりたくなるんだよなあ…つまり聖華さん二週するのが正しい終わり方…今の私のように…。
あと優さんが哲平君に異常なまでの献身を見せる理由は彼女の父親が哲平君の両親轢き殺した張本人だからとか
そういう妄想をしていたけれどそんなことはなかった。事前にキラ☆キラなんかやってたからそういう贖罪思考になるんですねきっと。
でもそんな彼女だったら私欲のために精液飲みに走ることを優しい目で見ることが出来なかったと思うので
優さんがただのビッチで本当に良かったなあと思いました。
これからも心からの笑顔を湛え息子にしゃぶりつく貴方でいて下さい。

・金子綾乃
ドヘタレ哲平君に対する憤懣の数々を我々プレイヤーに代わって彼にぶつけるべく作中世界に遣わされた天の御使い、
というには理不尽な場面での暴言が多過ぎた感。でも聖華ルートでの彼女の役回りってそういうことだったんじゃないですかね。
でも実際こうやって哲平君に対して好き放題言ってる我々プレイヤー勢が本当に彼女の言う通り『私の方が上手くやれる』かというとどうなんでしょうね。
多分プレイヤーの殆どが哲平君になったらシャルや聖華さんや優さんにちょくちょく靡きつつもおじいちゃんの言う通りにシルヴィアとくっついて、
でもシルヴィアは作中初期のようなお堅い態度を崩さないままでみたいな、冷え切った夫婦生活を送る羽目になるのが関の山ではないでしょうか。
所詮私達エロゲプレイヤーなんてそんなもんでしょう。散々悪く言ってごめんな哲平君。でも私は主人公じゃないんだよ。物語の傍観者なんだよ。
だから綾乃ちゃんに倣って虫けらって呼ばせてもらうね。
本当にこんなこと言う娘がどうデレるんでしょう。PS2版楽しみです。今は届くのを待っている段階です。

・竹園エリカ
壮大な五行なずなの無駄遣いというかこの娘は一体何のために存在したんや…。

・根津晴彦
アイキャッチで出てきたときこいつ喋らなければ普通に美形なんだなってことに気付いて驚かされたただの白石稔。
シャルルートでわずかながら見せたこいつと綾乃ちゃんの掛け合いが思いの外愉快だったのでこの辺もっと上手いことやれてたら
プリラバはキャラゲーとしてもある程度の評価を得られたのではないかと思ったり。最後の方哲平君に普通に内心で馬鹿とか呼ばれてる不憫な男。
でも悪い奴ではなかったと思います。シャルに最後の最後で苗字呼んでもらえてよかったね。今作一の感動シーンだったかもしれません。

・マリア=ファン・ホッセン
この娘にはヒロイン昇格希望するほどの底の深さを感じなかった私なのですが、
私はどうもこういう声出してるときの桜川未央さんに縁がなかったらしく(これ以外で遭遇したのはアペイリアの久遠のみ)、
そういう意味では今振り返ると希少な存在です。こんなこと言うと声オタガチ勢からは失笑を買うのでしょうけれども。
桜川未央さんはどうも喘ぎが抜けないという印象が強くて…今作で言えば楠鈴音さんもそう…
シルヴィの紹介を『声がね…』の一言で済ませようかと思ったレベルで…。

・有馬一心
今作の真ヒロイン。
最近だとやはり『キラ☆キラ』の紗理奈ちゃんのおじいちゃんが記憶に新しいのですが、
上流階級を題材にした恋愛物において子供の交際を認めない親というのは切っても切れない存在なのでしょうか?
絶対何処の主人公かヒロインにも一人は付いてるんじゃないでしょうか? やはりシナリオ上壁として用意する上で一番安易な存在だからでしょうか?
私が今作において推奨する攻略順、聖華さん→優→シルヴィ→シャルですが、これはこのおじいちゃんのデレ具合が基準になっているところがあります。
だったら最後は哲平君が家出しなかったシルヴィなんじゃねえの? って思われるかもしれませんが、
ただおじいちゃんの意向に逆らうことなくくっついたシルヴィルートよりも、
哲平君のみならずシャルロットまでもがヘイゼルリンクの家を捨てるという有馬家のみの問題に留まらない選択でありながらも、
その道を往くことを選んだ哲平君に最終的には味方し、優さんを連れてホテルへと殴り込み、
エピローグでも陰ながら二人の行く末を見守っているらしきことが描写されたシャルルートのおじいちゃんの方がデレ度高いんじゃないかなあ…という次第。
エロゲの感想で爺さんのデレについて語ってるのおかしいってキラ☆キラのときにも言った気がします。
そして流石にこっちの爺さんでは泣けなかった。そもそも泣くようなポイントもなかった。そういうゲームではなかった。

ヴィンセントはシルヴィのところでちょこっと触れたので割愛。アルフレッドは…まあいいかなあ…。
ただ秋元羊介さんの声って本当に苦しそうで心配になるんですがこっちもこれがデフォなんでしょうか。ただただ御壮健を願うばかりです。
まあとにかく、何だかんだ聖華さん抜きにしてもこれだけ語ることがあるゲームでしたプリンセスラバー。
で、散々語った末に総括的なことを述べるとすると、結局のところシナリオと主人公には目を瞑るか寛大な心で見守りつつエロに浸って下さいという
ありきたりなことしか言えなかったりする訳なんですけれども。私が悪いんじゃない。それ以上掘り起こせる要素がこのゲームに存在しないのが悪い。
75点という中央値は妥当だと思います。むしろまだ甘いとすら思います。シナリオ10点キャラ60点エロ90点で3で割って50点ちょいでもいいくらいです。
それを100点まで引き上げたのは一体何だったのか。初プレイ補正、勿論それもあるでしょう。ですが初めてだろうが何だろうが、
彼女の存在がなければ今に至るエロゲ―ライフはなかったであろうことを考えると、やはり私はこのゲームに100点以外の点数を付けることが出来ません。
DEARDROPSと違って散々欠点突っついた後なのでもう迷うことはない筈です。いやあっちも結構ボロクソ言ったか。
まあ終わったゲームの話はいい。私がしたいのは彼女の話です。10年ぶりに再会した初恋の人の話です。
ご紹介しましょう。
鳳条院聖華さんです。

・鳳条院聖華
とはいったものの、彼女のキャラクターやシナリオが他三人に比べて特別濃かった訳では勿論ない。
むしろ攻略順でいえば一番最初を推奨しており、第一ヒロインといえば言わば前座、刺身のつまのような存在である。他ゲーで言うなれば。
もっとも私に勧められるまでもなく、普通にプレイしていれば多くのプレイヤーは最初に彼女のルートを通ることになるのではないかと思う。
というのも、『二人がいるなら大丈夫』『部活について聞いてみる』『なんとかしないと』『認めてくれるかな』
といった社交部入りに前向きな選択肢を選んでいるうちは、
彼女のフラグは折れない。で、初めてヒロイン分岐らしい選択肢が提示されるタイミングが、最初に哲平君が聖華さんとの約束を取り付けた直後のことなのだ。
ここで『聖華との約束を守る』を選択すると、哲平君も内心でこう続ける。『考えるまでもないことだよな』と。
そう、考えるまでもないことである。ただでさえそのちょっと前に哲平君はおじいちゃん次第で自身の交友関係が揺らぐ可能性に気が付いたばかりだというのに、
ここでおじいちゃんの言いなりになってシルヴィとデートする選択肢は選び辛いはず。シャルに相談? そりゃドラえもんに頼るのび太の思考ですよ。
そうやって二人のフラグを折りながら学園へと向かい、そこで眠っている聖華さんにそっと制服をかけたら後は一直線の筈。
うっかりどこかで選択肢ミスってあのフェラチオの如き優さんバキュームに吸い込まれた人もいるかもしれませんが、
シャルシルヴィは狙わなければ中々入れないルートの筈です。シャルに至っては何気に二人っきりになった後でもフラグを折りに来る厄介者です。
シャルの項目で言及し損ねましたが、彼女の選択肢で『自分も冬は苦手だと打ち明ける』だとフラグが折れるところは
何気にこのゲームの大事なところの一つだと思います。
シャルロットの場合、ただ同調するだけでは彼女を攻略することは出来ません。彼女が嫌っている冬にも楽しみがあることを教えてあげたい、
そういった前向きな意思を哲平君が示すことで初めて彼女を落とすことが出来ます。こういった前向きなエネルギーの塊こそが、
彼女たちが恋した有馬哲平君なのだと思います。彼女『たち』、勿論聖華さんに関してもそうです。
憎き有馬家の跡継ぎということでボロクソぶっ叩いてみたら実は両親が死んで拾われたばかりの右も左も分からないお子ちゃまだということが判明して、
こっちが自己嫌悪で苦しんでるにも拘らず相手の方は変わらぬ調子で聖華さん聖華さんと慕ってくるし、
自分と仲良くしてたら爺に睨まれるわよと釘を刺してももっと仲良くなりたいとか自分に憧れてるとかいう始末だし、
メイドに横槍入れられてやっぱ私達くっつくの無理なんじゃん…と諦めかけてたところでダメ押しの告白を貰う。
聖華さんから見た哲平君というのは引き剥がしても引き剥がしても懐いてくる子犬みたいな存在だったのだと思います。
男からしたら気持ち悪く見える哲平君のキャラも女性的には母性本能をくすぐるというか、まあそんな風に見えないこともありません。
アニメ版の哲平君は剣道を習っている硬派キャラだそうですが、PC版ヒロイン勢はもしかしたらアニメ版哲平君にはあんまり靡かないんじゃないかなーとか。
エア視聴なので断言は出来ませんが。なんとなくそんな気がしないでもない。

10年ぶりのプレイで内容ほとんど覚えてなかったと冒頭に語りましたが、聖華さんルートに関してはちょっとだけ覚えていたことがありまして。
ルート終盤、こそこそと交際を続けていた二人、というか聖華さんの前に直接現れるおじいちゃん。
おじいちゃんの提示した条件を飲み、哲平君から身を引くことを決める聖華さん。
話を盗み聞きしておきながら顔を出すことも出来なかった癖に全てが終わった後で被害者ヅラしてノコノコと顔を出す哲平君、
そんなどうしようもない彼にとうとう聖華さんが放った「哲平は任せろって言ったじゃない!」という叫び。
この聖華さんに怒鳴られたという認識だけが10年後の私に残っていた聖華さんルートの記憶であり、
今回の再プレイというのは哲平君がどういう流れでそういう言葉を浴びる羽目になったのかという確認作業みたいなところがあった訳です。
でまあ、うん、残念でもないし当然でしたね。俺が守るとか言っときながら具体的な策は何も打ち出さず一生発情してるだけだし、
聖華さんが時折零す将来への不安とか今の時期をもっと大事にしたいとかいう願望にも返せる答えが性欲しかないし。
マスコミに交際すっぱ抜かれたとき哲平君は何も出来ず聖華さん一人で解決してしまったことも哲平君の無力を象徴しています。
普通こういうのは主人公が何とかするものだと思うのですが、哲平君はただ自らの無力さを嘆くだけです。有馬の姓は飾りみたいです。
いや実際彼にとっては飾りというか、それをアテにする発想が出てこないからこそ彼は何処までも小林哲平なのだというか、
哲平君にもうちょっと能力と気概のようなもの、例えるなら海馬瀬人とかディオ=ブランドー的なハングリー精神が備わっていたら
「将来なんて気の長いことは言ってられない! 今から有馬の家は俺の物だ!」とばかりにおじいちゃんと権力闘争始めて御家騒動に発展するみたいな
そういうプリラバも拝めたのかもしれません。でも何処まで行っても哲平君にとって有馬の姓は重荷であり、そんな彼を好きになってしまったからこそ、
『有馬哲平』とは幸せな未来を築くことは出来ないと気付いてしまったことが聖華さんの決断にも繋がったのでしょう。
だからこそ空港で哲平君に再開し、彼が有馬の姓を捨てたことにあれほどわざとらしい説明口調で驚いたのです。
いや本当あの台詞回しもう少しどうにかならなかったのかなと思うのですが、まあ聖華さんが受けた衝撃の表れということで納得できないこともなく。
じゃあまあ聖華さんルート全肯定出来るのかといえば微妙なところなんですけども。哲平君、再起までに一ヶ月は時間掛けすぎです。
その間惨めったらしくマフラー巻き続けてる女々しさも最高に気持ちが悪いです。
君のその姿を見るたびに聖華さんがどんだけ辛い思いしたか想像したことはあるんでしょうか。
このもやもやと同じものを綾乃ちゃんが抱えていたのだとしたらあのガチ切れようにも納得です。ていうか結局綾乃ちゃんが尻蹴っ飛ばさなかったら
最後の最後までウジウジしたまま聖華さんを見送るだけだったのだと思うとつくづく聖華さんルートの哲平君は終わっています。
前向きなエネルギーがどうとか言ってましたがこのルートの哲平君は聖華さんに見限られたときそれ全部手放しちゃったみたいです。
裏返せばそれだけ聖華さんにフラれたショックが大きかったんだということにもなるんですが、でもやっぱり一ヶ月は長過ぎます。
普通そんだけ放っとかれたら聖華さんの方だって気持ち冷めてます。実際少しくらいはマフラー巻きながら泣きそうな顔でウロチョロしてる哲平君を見て
怒りのようなものを覚えたのではないでしょうか? いつまでそんな顔してんのよあたしが悪いみたいじゃないふざけんじゃないわよ! みたいな。
じゃあ聖華さんに一切非がなかったかというとそもそもそんな哲平君を好きになってしまったことこそが彼女最大の過ちと言いますか、
「哲平は任せろって言ったじゃない!」も何も本気で哲平君が何とか出来ると思っていたのかと言いますか、
いやまあ好きになった男の言うことなんだから信じられなくても信じたかったんだろうとは思うのですが、
それで案の定この様なんですからやっぱり『聖華さまは……殿方を見る目がありません』みたいな。
うーん、綾乃ちゃんとどんどん気持ちがシンクロしていく。PS2版が楽しみである。実際のところ聖華さんの声変わった時点で0点スタート待ったなしなのだが
綾乃ちゃんルート次第では幾らか底上げ出来るかもしれない。頑張れ綾乃ちゃん。PS2版の未来は君に託された。

とにかく、聖華さんルートというのはしょうもない男としょうもない男に惚れてしまったしょうもない女のしょうもないお話でしかなく、
感動とかそういう気持ちに浸るのは至極難しい。聖華さんに限らず全員そういう話じゃないかと言われても正直否定はし辛い。
それでもプリラバにはエロがある。あるのだが実は聖華さんはエロの内容も一番薄い。何しろにょげーと呼ばれるこのプリラバにおいて、
彼女はただ一人、おしっこをしない。おしっこをしないのである。
ご丁寧にトイレで股開いてるCGまで用意されておきながら潮吹き止まりだ。おしっこはしない。
詐欺じゃないのか? アイドル気取りなのか? 聖水だの何だの呼ばれておきながら結局尿とは人体にとっての不要物でしかないのか?
聖水タグ圧倒的一位の実績を信じてプリラバを踏み抜いた者達の怨嗟の声が聞こえる。しかし私はそんな彼らの怒りを受けてなお、
聖華さんこそが今作ナンバーワンヒロインであると声を大にして言いたい。確かに彼女には胸もない、尿もない、腹ボテもない。尻はある。
聖華さんの存在こそがプリラバを100点にしたとはいったものの、
実際彼女のキャラもシナリオもそれに値するものではないというのはこれまでに語った通りである。
そんな彼女に残された最後にして最大の武器がこれだ。

CV佐本二厘。

という訳で、はい。私を底無しのエロゲ沼へと引きずり込んだのはこの人だったんです。聖華さんの声がふーりんだったのが全部悪いんです。
もっと言うとこの後の智ちんが決定打だったかもしれません。るい智もFD共々いつかは再プレイしたいなあとは思っているのですが
気軽にやり直すには向こうは長さが何とも…ていうかプリラバのすぐ後るい智に手出した筈だから
プリラバやったのって10年前じゃないな…るい智FD出たの2010年だもんな…でもキリが良いから10年前ってことにしとこうそうしよう。
声の魅力というものを伝えるにあたって、我々レビュアーという存在はあまりにも無力である。サンプルボイスでは到底足りない、
何しろ喘ぎのサンプルがない。そう、私にとってのふーりん最大の魅力は喘ぎ声である。エロゲ声優としてこれ以上の武器など存在しない。
日常演技は問題なくてもエロに突入した途端ボイススキップの対象になる声優は数知れず、
中にはどんなテキストだろうと喘ぎの入り方が毎回一緒なエロゲ声優の風上にも置けない役者すら存在するこの界隈において、
ふーりんの喘ぎは全力である。全力過ぎてたまに踏み潰されたカエルのような声すら出ていて心配になるレベルで全力である。
公式HPのキャストコメントにて『内容的には、汗だくで、かなりボリューミーな感触でした』と語っておられるふーりんであるが、
ただでさえその全力投球で7セックスも演じたらそうもなろうというものです。魂削ってます。削り過ぎた結果エロゲで声を聴けなくなって早5年…嗚呼…。
NEXTふーりんの発見及び育成はエロゲ界における急務であり、
今のところ私が可能性を感じた人材はバルドハートにてカンナちゃんを演じられた北條みかん嬢くらいのものなのですが、
サブヒロインかつエロ超短いかつ出演作これ一本のみかつ別名義不明という。幻のポケモンかな?
後は夏の色のノスタルジアでみさきちゃんを演じられた北板利亜さん。続けてランス03に出たときはブレイク来たかと思ったらそんなことはなかった、
と思って今調べたら知らない間に対魔忍になってた。まさかのまさかです。twitterを見る限りお元気そうで何よりです。

閑話休題。

ふーりんの声というのはそれこそ砂糖菓子のように甘ったるくて、キャラによってはその甘ったるさが過剰なところまで達してしまって
正直ちょっと重い…なんて場合もあったりしたのですが、この聖華さんの場合はHの時やデレ期において時折漏らす貴重かつ上質な糖分として
実に上手いこと機能しています。最初の頃哲平君に散々辛く当たってきたあの聖華さんが『有馬ぁ……♡』言いながら
哲平君の胸に手を添えて首を持ち上げ(この二人の身長差がよく分かる構図がまた良い感じ)ちゅっちゅする。CV佐本二厘。
ふーりんのキスというのは多分その気になれば一生聞いていられる代物で、『くすぐったい……』の時の声とか普通に地声っぽいのがまたドキッとして、
哲平君が赤ちゃんと化して聖華さんのおっぱい食べ始めたときの『駄目えぇ~……っ!!』とか駄目になるのはこっちだし、
舞踏会後のフェラではこぉちゃんかな?と思うレベルの強烈バキュームを披露し、精液口に出されたときの咳き込みが自然なのがまた好き
(そろそろ文章が取り留めも無くなってくる)、無理に飲まなくていいと哲平君が言ったときの『うるひゃい!』だけでこのゲームの全てを許せる気になるし、
というかもうこの舞踏会フェラで哲平君が射精した後の聖華さんの一連のボイスは国宝として未来永劫語り継がれるべきなので
語り部の一人になりたいのであれば貴方も聴きましょう。そして祈って下さい。佐本二厘よ永遠なれ。
永遠なれで思い出しましたがふーりん最後のエロゲ出演は魔女こいにっきでした。あっちもvita版が気になっていたので
このレビュー書いた勢いでついポチってしまいましたが果たして聖ちゃんに追加ボイスは存在するのでしょうか。
カタハネの方にはあったという話を聞きました。更に言えばその時のインタビューでふーりんは実はまだ引退していないという情報も耳にしました。
我々エロゲユーザーは信じてもいいのでしょうか。奇跡が起こることを。神の復活を。佐本二厘の新作出演を。
その時を今や今やと待ち望みながら私はこれより神のいなくなった世界へと降り立とうかと思います。
佐本二厘とエロを失ったプリンセスラバー。果たしてそこには一体何が残っているのか。
PS2版レビュー、こうご期待。