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matayatoさんのハナヒメ*アブソリュート!の長文感想

ユーザー
matayato
ゲーム
ハナヒメ*アブソリュート!
ブランド
mirai
得点
55
参照数
1588

一言コメント

クルくるの大ファンだっただけに残念すぎる・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※注意※
この感想では今作「ハナヒメ*アブソリュート」と実質前作である「ティンクル☆くるせいだーす」を比較する内容が多く含まれております。
そういった比較を気にせず購入を検討したい。あるいは比較といった行為を良しとしない方は、すぐにブラウザバックすることをオススメします。


□前書き□
 結論を言ってしまえば「期待ハズレなゲーム」でした。
 個人的に神ゲーだと思っている「ティンクル☆くるせいだーす」。それを手がけたスタッフがクルくるのシステムをほぼ流用して作る作品ということで、このゲームの製作が発表された当初はかなり心が躍ったものですが、実際にプレイしてみるとかなり雑な部分が目立つゲームでした。
 他の人の感想を読んでいると、そのクルくると比較した感想が目立ちますが、そもそもの問題として、評価の高かった「クルくるのスタッフが作る」という文句が公式HPにて公言してしまっている時点で、クルくるとの比較は避けられないものと思います。
 いろんなレビューを漁っていると「クルくると比較しなければ」といった感想を書く方がいらっしゃいましたが、そもそも「クルくる」という言葉(もしくはタイトル)を感想に書き込んでいる時点で意識してしまっているのではないでしょうか。
 本当にクルくるを意識しないという行為は、それこそクルくるをプレイしていないユーザーくらいにしかできないことだと思います。
 なのでハナヒメがクルくると比較されるのはもはや運命のようなものです。仕方ないことだと思います。
 まぁそんな感じで言い訳しておいて、とりあえず本題に移ります。

□ストーリー評価□   ※各ルート評価は別に記載しております。
 近未来都市を舞台とし、VRゲームを主軸に置いた作品。雰囲気は明るめで、若干シリアスもあり。スタッフ曰く「クルくるの雰囲気を引き継いだゲーム」ということ。まぁはっきり言ってしまえばそんなことはなかった。
 そもそもクルくるの雰囲気を引き継ぐには主人公が平凡すぎる。達観した感じで冷静。鈍感で割と多才。なんというかマニュアル通りのエロゲ主人公といった感じ。さらにこの主人公はシナリオ中で特に何をするわけでもない。戦闘には参加できず、ただヒロイン達の戦闘に指示を出し、何故かヒロイン達に好かれているため、そこにいるだけで彼女達の士気が上がるという立ち居位置。置物と言われてしまうのも無理はない。
 また、クルくるは萌えの中に燃えがあったのだが、今回は主人公が戦闘に参加できないこともあってか、それを感じられず。バトルパートがなければただ絵に萌えるだけのエロゲーでしかなかった。
 また、ストーリーに関してだが、内容がすっかすかである。特にそれを感じたのが肝試しイベントだ。このイベントではヒロイン一人を選んで主人公と二人きりで行動できるというありがちだが王道なイベントとなっていて、プレイしている当初は「萌えが見れる」とワクワクしたものだが、まさかの5分足らずでイベント終了。しかも終わり方がかなり中途半端。萌えなんてなかった。さらに各ルートに入ってからは展開がほぼ同じであり、とりあえず悪役はロキという一度見たのと同じようなシナリオを5回連続で見せ付けられる(一部ルート除く)。
 さらに酷いのが、シナリオ中盤までの各キャラの戦力差である。途中までハナヒメサイドは5人(王除く)で行動しているのだが、その途中で杏子と戦うことになる。5対1で戦うことになるのだが、なぜか5人側が敗北。まぁここまではそういうものなのかと納得できないでもないが、その後杏子を倒し、仲間に加えて星王子の一人と戦うことになるのだが、何故か6対1で互角(若干ハナヒメ側が優勢?)という展開。星王子サイドは4人で固まって行動しているのだが、一人一人がそれくらいのレベルだという。戦力差が酷い。
 それだけならクルくると同じく「強敵が立ちはだかっている」ということで納得できないでもなかったが、しかし今作では「クラウンハーツ」というゲームのイベントとしてハナヒメvs星王子という構図ができるイベントを(作中の)ゲーム製作者が企画したものであり、ハナヒメと星王子はそれぞれ7人しか存在しないという設定になっているというのに、ここまで戦力差が激しいのであれば、このイベントはクソゲーと呼ばざるを得ない。ちなみに4人の星王子の内一人は開発者代表であり、イベントの企画者のようなものである。当然、ハナヒメ側との戦力差も把握しており、それを踏まえたうえでイベントを実行したということになる。いかにゲーム上の設定とはいえ、これは酷い。
 ここまで批判しか書いてこなかったが、ストーリーに関してはもはや擁護のしようもない。コンセプトと設定を活かせぬまま死んだゲームというのが正直なところ。


□各ルート評価□   ※自分が攻略した順番に行います。

●ポリーナ・ミーロヴナ・フォン・シュヴァルツハーゼ●
 Fateやってる人なら割と知ってる知識だと思いますが、「フォン」というのは貴族の位を持つ者に与えられるものらしい(詳しくは知らない)。だが、ポリーナは貴族というわけではなく、神様の子供という(ゲームの)設定らしい。神様の子供ならギリギリ貴族なのだろうか、とどうでもいい疑問を抱いた。
 とりあえず最初にツッコみたいのは、ポリーナルートに入る直前、敵キャラのフレースヴェルクがポリーナに何かを語りかけ、それを聞いたポリーナが錯乱して走り出すというシーンがあるのだが、何故かその内容についてはルート入った後も語られず。展開から予測も不可能。マジで何言ったのかわからない。
 そしてこのポリーナであるが、ゲーム内のキャラでありながら、ある事件をきっかけに何故か現実世界に肉体を持って出現する。ゲーム序盤のことなので「原因不明」の一言で片付けられるが、ストーリーが終わっても何故現実世界に顕現できたのかは一切不明。
 今作品では主人公達の住む「みさきみらい」の街全体に、人気ゲーム「クラウンハーツ」をVRゲームとして楽しめるような空間「スクリーン」が展開できるようになっており、その影響下でならポリーナが顕現できるのでは、と考えたが、ストーリーの途中で普通に沖縄へ。合宿という名目で登場人物の所有する島に行くことになり、その島ではスクリーンが展開できるようになっているが、道中では不可能だろう。よって、ポリーナは完全に受肉(Fate的な表現)したと考えて良い。だが、終盤でポリーナのデータを消去し、それと同時に彼女も消えるという展開がある。よって電子的なものと繋がりを持っていると考えるべきだが、めんどくさくなってこれ以上考えることを放棄した。

・戦闘面
 ハナヒメサイドの弱キャラ。下から数えて二位(個人的評価)。攻撃力が優秀なアタックタイプだが、それ以外の全てを捨てている。
 EX技の「ヴァイズ・ブリッツ」は敵全体を可能で、スタン数を稼ぎやすく、かつEXゲージの回復に大きく貢献できるが、そもそも高得点を狙う場合スタン稼ぎはユニゾンの連続攻撃で可能であり、あまり気にする必要はない。EXゲージ稼ぎについては杏子の「紅蓮鳳翼蹴」の方が優秀だろう。EX2の「ブリリアント・ゼクス」は相手を強制スタンさせ、バリアも貫通できるという性能だが、前述の通りスタンはあまり気にする必要はなく、高得点を狙う場合そもそも相手に何もさせないのが基本なので、バリア貫通も無意味。せいぜい単独で行動せざるを得なくなった時、スタンを含めて大幅ノックバックを使わざるを得ない状況くらいでしか役に立たないだろう。コスEXの「グラント・コンプレッサー」は、相手の防御力を下げる程度の機能しか持たないと思う。これをEXゲージ200も消費して使うのは非効率的。以上から脳筋ではあるがこの戦闘システムであまり力を発揮できないタイプといえる。

●猫屋敷メア●
 幼馴染キャラ。定番として初期状態で主人公に好意を抱いている。ピンクの髪といいおおよそクルくるのナナカと被っているが、料理はできるらしい。
 主人公に好意を抱いているが、ルートに入ると何故か突然「やっぱり私、ハルのことが好きなんだ」とその時初めて自分の本当の気持ちに気付けたような発言をする。やっぱりも何も、最初から好き好きオーラ全開で自分の気持ちに気付けていた様子なのだが・・・。
 しかしさすが幼馴染キャラというだけあって、主人公に対する好意のぶつけ方が健気でかわいい。それ以外は特に何もない。批判があまり出てこなかったという意味では、ある意味まともなルートだったのではないだろうか。

・戦闘面
 バランスの取れたアタッカー。ルートでは単独で戦わなければならないということもあり、EX技もある程度使えるものばかり。
 EX1の「ドレッドノートアサルト」は敵の防御力を無視した火力技。トドメのオーバーキルラッシュで使えばかなりのボーナスをもらえる。ヒット数は稼げないので、中盤で使ってしまうと予想外のダメージをあびせてしまい、オーバーキルラッシュのための調整が難しくなるので注意。EX2の「ディスグレイスバースト」は複数の相手をノックバックさせられる優秀なEX。メア単独で戦う場合、これを常に撃ち続けることで(運が良ければ)相手を完封することも可能。さらに複数にヒットする技なので、スタンとヒット数が稼げる。コスEXの「ハーレムブレイカー」は敵にダメージを与えつつ大幅にHPを回復できる。単独で戦う場合、どうしてもHPが厳しくなってしまったら迷わず使うことをオススメする。それ以外で使うことはない。

●玲奈・リル・レーフェン●
 この作品の設定について、一番詳しく語るルートを担当するヒロイン。一番詳しく解説されるが、ツッコミどころは多く存在する。まず作中には「クラウンハーツ」を始めとし、みさきみらいのインフラなどを制御している「ユグドラシルシステム」なるものが存在する。それを管理している三つのAI「ロキ」「オーディン」「フレイヤ」が存在するのだが、ある時「ロキ」が他の二つのAIをなんらかの方法で追い出してしまう。そのオーディンにあたるのがポリーナで、フレイヤにあたるものが陽良子の持つ「フーたん」になる。ちなみにロキの正体は女王。三つのAIはお互いにお互いを監視し合う存在でありながら、どうしてかロキは他の二つのAIを追い出すことに成功する。どうやったかが語られることはない。三つのAIの開発者である竜宮寺ナオはその事態を完全に把握しながらもこれを無視。ロキの成長のためという理由はあるが、みさきみらいのインフラを担うという繊細なシステムがこれほどの暴走を起こしておきながらそれを無視するとは大した度胸である。結果、たくさんの人を危険に晒す事態を招いてしまい、そこになってようやくロキのデリートを決心する。これはほぼ全ルート共通の設定で、よって戦犯はコイツ。他にもいろいろとツッコみたい部分はあるが、キリがないのでこれを一例としておく。
 ヒロインの魅力についての話になるが、どこぞの艦娘を連想させるような「デース」口調。エセ外国人感が半端ないが、これでもフランスから来たらしい。そしてそのふざけた口調のせいか、自分は受け入れられずにこのヒロインには一切魅力を感じなかった。ここは人の好みによるところだろう。

・戦闘面
 最強キャラ。スピードが高く、メンバーに加えてリーダーにするだけでこのバトルシステムでは一番重要なスタートダッシュを容易に行うことができる。防御力は低いが、ハイスコアを狙う場合は相手に何もさせないことが前提なので問題はない。さらにEX技が総じて優秀であり、メンバーに加えられるなら加えない手がないキャラである。
 EX1の「リュミエールソレール」はヒット数を稼ぎ、スタンも稼げる優秀な技。また、ヒット数を稼げるということはEXゲージを溜めるのにも適しているということであり、非常に使い勝手が良い。EX2の「ベゼドランジェ」は攻撃力が高く、相手をノックバックさせられる超優秀な技。さらに相手のEXゲージを200減少させることができ、高スコアを狙う場合はこの技をうまく使うといい。コスEXの「ディアマンアマデトワール」は敵に複数ヒットし、さらに多数の敵をノックバックさせられる優秀な技。「ベゼドランジェ」を使っている余裕がない時には重宝する。

●狼谷イヴ●
 一人を攻略しなければ出てこないという裏のメインヒロイン。主人公の因縁の相手ということもあり、その風格は他のキャラとは一線を画しているが、ルートに入ってからのシナリオはかなり短い。裏のメインヒロインとは・・・。
 神冠対戦中はロキに意識をのっとられ、女王として君臨する。だが、なぜロキに意識をのっとられたのかは不明。思わせぶりなセリフが女王とイヴの間で飛び交うことはあるが、作中で語られることはない。さらに開発者である神宮寺ナオはこのことを黙認。どころかロキの味方をしているというもはや犯罪者である。また、生徒会のメンバーである三人の星王子に慕われているが、その理由も不明。作中で語られることはない。
 イヴルートのツッコみどころとしては、ロキに反発してイヴが神姫としての力を全て奪われてしまうのだが、なぜか主人公とのキスで力が戻る。ゲームシステムは完全にロキの支配化にあり、どう考えても力が戻るわけがないのだが、理由について一応語られてはいる。ただ理屈が適当すぎてボクハシコウヲホウキシタ。また、神姫シキとして戦えるのはこのルートでのラスボス戦のみである。貴重な戦闘になるので十分楽しもう。

・戦闘面
 バランスの取れた良キャラ。ノータイプという特殊なタイプを持ち、その闇色からクルくるをプレイしている人は闇属性と勘違いしてしまうかもしれないが、これはノータイプである。神属性には勝てないのでうっかり単独同レベルランブルしてしまわないように注意しよう(もっとも、クルくるでも神属性に勝てる属性はなかったが)。
 EX1の「アークザイン=レヴォルト」はヒット数を稼げる優秀な技。10ヒットするがスタン数は稼げないので注意。EX2の「ディオレイドアポリアス」は相手のバフを打ち消し、サポートを封印する技。雑魚戦では役に立ちそうにないが、神姫シキが唯一戦闘に参加できるロキ戦では、ロキのHPは99999というカンストレベルであり、タイムボーナスのためにこの高いHPを速く削る必要がある。しかしロキはサポートスキルでこのHPを5000くらい回復してくるの。そうなるとタイムボーナスが稼ぎにくくなるので、高スコアを目指すならなるべくサポートを封じる必要がある。その意味でこのEX技は重宝するだろう。コスEXの「レイサイス・フリージア」はEXゲージを300消費する変わりに相手のHPの33%のダメージを与えるチート技。最初に使えばその威力は30000万を超える。もっともこれを最初に使ってしまうと他のEX技が一切使えなくなり、一番重要な戦闘序盤での相手行動の封じ込めがやりづらくなってしまうので注意。

●愛内陽良子●
 主人公の実妹。公式のキャラ紹介では「主人公との結婚を信じて疑っていない」と書かれてあるが、実際にルートに入るとやはり兄弟愛がおかしいと言い始め、主人公への愛を否定しようとする。それよりもおかしいのが、ルートの途中で恋仲になっていないにも関わらず主人公とのエロ行為に及ぶのだが、主人公もヒロインも翌日になると何事もない様子で会話している。コレガワカラナイ。
 さらにルートの途中でなぜか女王が苦しんでいるシーンがあるのだが、その理由は一切謎。別ルートでそういった表現もない。後にロキが陽良子に乗り移ったことから、元の器であったイヴがロキに反発していたと推測するが、謎。さらにフレイヤであるフーたんの所有者であるルートであるが、フレイヤには一切触れられない。どうしてフレイヤはフーたんに入ったんだ・・・。

・戦闘面
 ハナヒメサイド最弱キャラ。まずスピードが最弱値なので、スタートダッシュのために使えない。EX技は防御のためのものがほとんどで、攻撃こそ最大の防御とするこのゲームの戦闘システムでは使えない。
 EX1の「リカバーワンズスピリッツ」は回復技。スタンゲージも回復できるが、そもそも攻撃を受けないので使えない。EX2の「ファンタスティックカーニバル」は3ヒットする攻撃で、さらに相手の攻撃力も減少させる効果を持つが、そもそも相手に攻撃させないので使えない。コスEXの「シャッフルアデセーション」は相手のEXゲージを減少させる攻撃。ただEXゲージ減少は玲奈で間に合っている。さらに追加効果として運も減少させるらしいが、そもそも運のステータスは戦闘にほぼ関係していないと推測させるので使えない。

●熊埜御堂あやね●
 サブヒロイン。攻略可能ではあるが、恋人関係にはならない。さらにこのルートでは戦闘もないため、本当にただのエロゲヒロインである。ただ5人のメインヒロインルートに共通してあった「悪役のロキを倒して終わり」という一辺倒な展開ではないため、気分転換にはいいかもしれない。
 普段活発でおふざけ全開のヒロインが主人公を前に照れたりドギマギしたりする様子には萌えるものがあり、共通ルートで抱いていた「こいつ明るくてお馬鹿キャラなだけかぁ」という感想から一転、今作個人的良キャラランキング2位にまで上り詰めた。正直ストーリーはそこまでいいものではないが、共通ルートとのギャップがかなり良いのでメインヒロインを二人ほど攻略したら、口直しに一度あやねルートに入ることをオススメする。

・戦闘面
 スピードの低いディフェンスタイプだが、スタメンの一人。いざという時にアタックタイプの同レベルランブルを取れるのは大きく、また防御に関して最強ともいえる技を有しているので重宝する。
 EX1の「ラピッド☆サーキュレーション」は防御結界を張る技。体験版ではこれを張っても攻撃されればヒットは途切れたが、本ディスクではヒット数すら守れるというスグレモノ。どうしても相手の攻撃を受けなければいけない状況になった時にこれを張っておくと安心。一応EX技を使うとEXボーナスがもらえるので、他に使うEXがない時はとりあえずこれを使っておくのもアリ。EX2の「情熱☆オーヴァードライヴ」は、そのフレーム限定で味方の攻撃力を1.5倍にする技。これはオーバーキルラッシュの時に使おう。最後のユニゾンアタックでおもしろいほど高ダメージが出る。コスEXの「恋のパーティクルアーチ」は相手全体を攻撃し、スタン状態にさせる。スタン状態の時間は短いが、軽いノックバック効果だと思えばかなり使える技だ。さらに敵サポーターもスタン状態にできるが、サポーターをスタンにした時の効果をあまり感じない。

●鳳杏子●
 人気投票一位のキャラ。ただしアペンドパッチが来るまではサブヒロイン。シナリオに関しては他のルートと同じくお察しだが、クーデレなボクっ娘はかわいい。ただあんまりクーデレじゃないような・・・?
 ツッコミというか唯一気になるのが戦闘ステータス画面で彼女を表示すると、「天覇涛砕の紅き閃牙、舞花姫、アンアン!」というセリフが聞けるのだが、その・・・「アンアン」というキャラネームはどうにかならなかったんですかね・・・。ダサいというか若干エロいというか・・・。いや自分の頭が腐ってるだけかもしれませんが・・・。

・戦闘面
 このゲームにおいてスピードタイプのキャラクターは総じて優秀であり、彼女もその例に漏れない。他のキャラと違い、EX技が三つあるという点においてもかなり優秀である。
 EX1の「紅蓮鳳翼蹴」はポリーナ考察でも記述した通り、ヒット数、EXゲージ稼ぎで優秀な技。スタンこそ奪えないが、ちょっと余裕がある時はこの技を使うといいだろう。EX2の「烈刃閃」はメアの「ブロードエンドアクセル」と同じような技。ステータス画面での説明はちょっと違うが、具体的にどう違うのかは不明。少なくとも自分には同じ技のように感じられた。EX3の「絶纏招」は味方を一番先頭にいるキャラに合流させる技。次の戦闘キャラともう一人のキャラが遠くにいる場合や、最後のオーバーキルラッシュを行う時の準備として優秀。コスEXの「灼炎葬火」は大ダメージを与える技。スタンゲージを二つ奪うことができ、さらに継続ダメージ効果もある。この技を使う時、ちびキャラの杏子が剣をブンブン振り回しているのがかわいいがダサい。


□戦闘パート評価□
 クルくるの戦闘システムを引き継いでくれているのは嬉しいが、正直クルくるの良いところを全部削って、いらない要素を加えた感じ。まずレベルがストーリー全体を通して1であり、チャージやサポートで2にできる(それ以上は上がらない)。レベルはたとえタイプ相性で勝っていてもこちらが有利になったり不利になったりして、戦略上かなり考えるのが楽しくなる要素だった。さらにレベルが上がると「あ、ヒロイン成長したな」となんだか嬉しい気分にもなれたので、できればあってほしいシステムだった。
 また戦闘に参加できるキャラが四人だけであり、しかもスタートダッシュのためにリーダーを玲奈にしなければいけないという謎の縛りがあった。スタメンは玲奈、杏子、あやね、メアという構成で安定したが、評価GOD狙いのためにポリーナや陽良子ルートで攻略中の彼女達を使えないのは結構つらかった(まぁヒロインより高評価の方が大事だったわけですが)。
 さらにクルくるでいうところのメリロットさん的な詰みポイントがなく、唯一負けイベントである玲奈ルートのロキ戦もどう頑張っても勝てない仕様。
 クルくるの戦闘システムはかなりおもしろいのでプレイ自体は楽しかったが、正直クルくるの方が面白かった。


□音楽評価□
 まずOPの「abusolete wish」はfrip sideが歌う曲だが、過去ほどの勢いは感じられない。というか盛り上がりに欠ける。そもそも明るいこの作品にしては若干暗く、合わない。PSSはシリアスが基本だったのでfripsideが合ったが、miraiスタッフは多分一部作目では明るく、徐々にシリアスを増やしていく戦法が得意そうなので、初っ端からfrip sideの曲を使うのはやめた方がいいと思う。
 他のBGMは作品と合った感じの明るい曲。序盤のチュートリアル感漂う「Wake Up Girls!!」や中盤のちょっと強敵が出てきた感じのある「Duel With Princess!!」は特に場面に合っていて良かった。


□総論□
 クルくるに生かされていて、クルくるによって殺されている作品といえる。シナリオや設定はてんでダメだが、イラストはかわいいし戦闘も(クルくるには及ばないが)楽しい。
 プレイしてみて感じたことは、何がしたいのかよくわからない作品ということだろうか。エロゲーというものは何かをしたい、プレイヤーに何かを訴えたい(あるいは見てほしい)ものがあるから作るものだと自分は思っているのだが、そういうものが一切感じられなかった。それどころかシナリオや設定の酷さから、「クルくるのスタッフが作った作品だから適当に作っても売れるだろ」という意図が製作側にあったのではないかと疑ってしまったほどだ。そういう意図があったにせよなかったにせよ、クルくるの大ファンであった自分からしてみれば今作の出来が残念で他ならない。ひどいバグやストーリーの破綻がなかったので、自分はクソゲーとまで言うつもりはないが、KOTY入りしてもおかしくない作品だと思う。
 最後に、この作品をプレイするとクルくるをプレイしたくなるので、ハナヒメをプレイする際はお手元にクルくるを用意しておくことをオススメします。


□総合評価□
※ランクはS~F

OP評価:D
ストーリー評価:F
演出評価:C
設定評価:F
世界観評価:D
システム評価:C

総合評価:D