素材は一級品。シナリオ次第で名作になり得ました
新ブランドの処女作の割に期待が大き過ぎたせいか、ここでの評価は芳しくないですが、
ただ“面白くなかった”で済ませるにはもったいない作品です。
次に繋がるモノは残せたのではないでしょうか。
ヒロイン5人中3人年上という配分にした意図はわかりませんが、それでも性格などのバランスは良いです。
それに1人1人の個性に魅力があります。
しかし、いかんせんシナリオが中途半端というか、極論を言えば未完成です。
朋夏が器械体操を辞めた理由、陽向・湖景姉妹の家族のこと、教官の足の怪我のこと・・・。
これらの伏線を、表面だけ回収して終わってしまっています。
もっと掘り下げてくれないと入り込めません。
すべては沙夜子シナリオ以外は大会終了でシナリオも終了、となっていることが原因なのですが。
そして麻里矢シナリオ。
麻里矢自身にはたいした見せ場はなく・・・完全に朋夏が主役になってますよ?
発売前の情報公開も麻里矢だけ遅かった気がしますし、正直あとから攻略可能ヒロインに追加した感がありますね。
さらに、他のシナリオでは『パイロット交替による機体の微調整がいかに大変か』を強調しているのに、
いつまでに決断をするかもはっきりさせず、大会当日にパイロット交替。
しかもそれで準備が間に合っちゃってます。矛盾してます。
システム面では、日付がプレイ画面に表示されないので、ゲーム内の今が何月何日なのかがわかりません。
ゲーム中に「誕生日がいつで」とか「予選会まであと何日で」とか言う場面があるのに、
開発時のテストプレイ中に、日付表示がないことが問題にならなかったのでしょうか。
それから選択肢以外でセーブした場合、ロードしたあと一度右クリックでメニュー画面を呼び出すか、
シーンが変わるかしないと、既読スキップが機能しないようです。
些細なことかもしれませんが、けっこう不便です。
あとは、湖景作のフライトシミュレーターをミニゲームとして遊ばせて欲しかったです。
エンドロールの先頭に【ABHAR PRODUCT phase01】とあるんですが、これは続編の制作を意味しているのでしょうか?
シナリオさえ良ければ、キャラやグラフィックがこのままでも大化けする可能性を秘めていると思います。