－１点は…そうだね、「ゲーム」じゃないからね
この作品はホラーでもあり、グロテクスな純愛ロマンでもある。
「人間の倫理」と「外道の恋」が対立し、絡まり合う物語。
かくも残酷で美しく、また純粋で鬼畜な世界を生み出したスタッフの才能と努力を称えたい。
…とまあ、それぐらいハマった作品です。
虚淵氏のシナリオもさることながら、今作で特筆すべきは丁寧な「演出」でしょう。
とくに音効面が工夫されていて、緊張感を生み出しています。
また、声優の演技（演技指導）が巧みで、何度も唸らされました。句読点や息継ぎで台詞が意味もなく止まってしまう（または、台本を“読んでいるだけ”）ボイスがほとんどのこの業界で、ここまで真面目に「演技」している作品を寡聞にして知りません。
あとは、やはりテキストの流麗さを褒めたい。
（何とは申しませんが）素人に毛が生えたような、まるで文体で読み手のことなど無視した作品が跋扈するなか、氏の無駄を削いだ文章は光ります。また、台詞が適度な長さであるからこそ、声優さんも無理せずに演技ができるのだということを強調しておきます。
・最後に
本編でも触れられていたように、発想は「火の鳥」からでしょう。
しかし、壮大な背景を持ちながらも場面や登場人物を絞り、あくまでエンターテイメントで踏みとどまっている点や、巧みにプレイヤーの「感情」をコントロールする手腕は、まさしく「プロの仕事」です。
自信をもって、本作を「最高の娯楽作品」として勧めたい。
…不毛で無為ではあるけど、こんな素敵な作品に出会えるからこそ、エロゲに時間を費やす…