玲愛とかすりさんに関する一考察(長文はネタバレ大)
里伽子シナリオはもちろんだが、個人的にはかすりさんと玲愛さんが気になった。この二人、シナリオの中ではほとんど絡まないが、立ち位置的には好対照だと思う。
玲愛はおそらく、男の考える最高の「嫁」なんだろう。かわいくて、優しくて、一途で、それでいてしっかりしていて、男を時に励まし、叱ってくれる。さらに、惚れた男の夢にとことんまでついてきてくれる。
そう。玲愛は自分自身の夢を持っていない。少なくとも僕の記憶が定かならば、ゲーム中で語られることはない。彼女のようなタイプなら、夢というか将来へのヴィジョンを明確に持っていて、そのための計画をきちんと立てていてもおかしくないはずなのに。
その理由は簡単だろう。仁の夢と抵触させてはならないから。彼女は、男の夢を支え、実現させるキャラクターとして設定され、その役目を十二分に果たした。
「頑張れ仁、私の、店長!」という名言は、玲愛そのものを象徴しているように思える。
人気が出るのも分かる。
一方のかすりさん。脳天気な性格やバカップルぶりにまぎれているが、仁から一番自立しているヒロインは間違いなく彼女だろう。僕の考え過ぎかもしれないけど、彼女は「働く女性」の代表格として設定された気がする。自分の夢を明確に持ち、それにむかってがむしゃらに頑張る姿は世の女性にとっても共感できるものではないでしょうか。シナリオ中の悩み一つ一つをとっても、現実的なんだよね。身につまされるというか(笑)
エピローグで、彼女はファミーユ本店の経営(仁の夢)には関わらず、「私も店長」になることによって自分の夢を実現する。上記の玲愛の台詞と比べると、二人の違いがよく分かる。仁の「またコンテストに出るんだって?」という又聞きのような発言からも分かるとおり、パティシエとしての彼女は、ほとんど独立して活躍している。
こう考えてみると、二人のエンディングのCGは非常に示唆的。どちらも左手を仁に向かってさしだす、狙ったような似た構図。
玲愛は「お帰りなさいませ、旦那様」という、これまた玲愛を象徴する台詞とともに、仁を二人の家に迎え入れる。その薬指には輝く指輪。
一方、かすりさんの指には指輪はない。そして二人はそれぞれの仕事場へ別れていく。
この違いは何を象徴するのか・・・というのは深読みすぎですかね(笑)