登場人物は全員紛うこと無くクズ! でも、ちょっと自分を省みてしまう
何というか、やっていてとても胸が痛くなってしまうゲームだった。
最初の内は主人公の性格や他のオタクたちの性格もそこまで気にならない。
分かりやすい、オタサーの姫を囲ったサークルのオタクたちという感じ。
だが、ストーリーが進むにつれて主人公の幼児性や我が儘さ、美優の自分勝手さや、他のオタクたちの性格の破綻具合が目立ち始める。
この作品においては全員が被害者であり加害者でもある。
特に主人公はあるルート以外では、自分が他者よりも優れた人間だと思い込んでいる。
その思い込みが、ある意味このゲームの肝になる部分なのだ。
自分がこのゲームをやっていて思ったのは、主人公を見て、「うわ、こいつヤバすぎだろ……何だよこいつ、オレだったら絶対こんな風にならないわw」とか思っている人ほど、この主人公との精神性が近いんじゃないか、ということ。きっとこのゲームの主人公も、出てくるキャラの名前を変えてこのゲームをやった場合そういう感想を抱くんじゃ無いかと思う。
エロゲーでは、主人公とヒロイン以外は脇に置かれるモノだが、野崎、平沢、辻、全員きちんと美優に対して思うところがあり、しっかり悩んで行動していた。
あるルートで、主人公が本当は自分がイケないのではないかと気付くところでは、胸が痛んでしまった。
エロシーンにも、自分は不満は無い。バランスとしてはあれくらいがちょうどいいと思う。
ただ、どこにでもあるような抜きゲーではない。
みさくらなんこつと、シナリオの山野の主張、わかり合えない人たちのすれ違いが産む悲劇、というのを堪能させてもらった。