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mafuterさんのPriministAr ミニファンディスク 枝那森千里&駒萱野 Verの長文感想

ユーザー
mafuter
ゲーム
PriministAr ミニファンディスク 枝那森千里&駒萱野 Ver
ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
得点
70
参照数
3569

一言コメント

一部の人はブチギレしかねないので注意しましょう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

千里ルートをやってないけどFDの感想を読みたい!とかいう奇特な方は、そんな重大すぎるネタバレを踏むような危険なマネはしなくて良いので早く本編を終わらせましょう、というのと同時に、「千里には何か手に掴めるような幸せな未来を与えてほしい」と本編プレイ後に感じた人は、PriministArビジュアルファンブックに6ページ分ほどの枠を占めているショートストーリー「世界で一番とうとい光」を読むだけに留めておいた方がよい、ということを私からはオススメしておきます。でも千里の行く末をきちんと見届けたいと思う人は全然止めないです。色々感じ取ってくれた方が千里も幸せでしょう。作者じゃないのにこんなこと言ってるのなんか気持ち悪いですね。桜城なおさんごめんなさい。千里を届けてくださってありがとうございました。

以下、PriministAr本編をやっていない人向けには書いてないです。思いっきりネタバレしているので気をつけてください。











雑感
萱野さんは攻略したかった人おめでとうございます!と言った感じでした。学園時代の萱野さ……これは禁句ですね。でも茶目っ気が顔を覗かせているのは好きでした。最後のCGに関しては、主人公を極力描かないHOOKSOFTのスタイルではなかなか難しい構図だったんじゃないかなぁと思っています。小糸ちゃんが主人公・萱野さんと手をつないでるっぽい描写でしたがなかなかそれを絵から感じるのが難しかったようにも思えます。


さて、千里ルートですが、(一部CGの塗りが大変になっていたことは除いたとして)はっきりいって感想は、最高か最悪、に二分されたんじゃないかと思います。
内容としては、本編後とビジュアルファンブックに掲載されているショートストーリーの間のお話ですね。FDやるくらいですし(まぁ本編千里ルートが良い上にFD=短いとか思って手軽にやる人も多いかもしれませんが)千里大好きマンしかいないでしょうし将来の夢をかなえてそして約束である挙式もしてそして千里ちゃん妊娠おめでとう! ふっふ~い! と話の概要を摘めばこんな感じになりますし、ぶっちゃけ私はプロットだけ追っていたら完全に前者の感想でした。
なんですけれど、ではその出来事の間を見てみるとどうでしょうか。まずですね、結婚式のシーンが無いんですか。こういうと非常に勝手で、そんな同情をしながら千里ルートをやっていたのか、と批判されるのかもしれませんが、プレイヤーは千里に対して何か救いを与えてほしいと思っていたはずです。それをこの作品では、「みんなを集めて挙式をする」ということを千里に伝える形でその後愛を確かめ合ってそしてエピローグ、という中途半端な表現をしてしまった。固い決意を持って盲目のヒロインと式を挙げるというのはヒロインにとってもそして多分プレイヤーにとっても、最高に幸せなことのはずです。なぜ何も式中の描写が無かったのか。式中に主人公が過去を振り返って、千里も過去を振り返って、二人とも涙を流しながら幸せな誓いのキス、というような完全お涙頂戴シナリオがどうしてなかったのか。一生付きまとうであろう困難を上回るような幸せ、ほしかったです。
そして、ちょっと重要なんですが、最後のCGの千里の左手の薬指を見てみましょう。結婚後なのに指輪が無いですね。はい。名前を刻んでもらった、そして光を失う前に渡された指輪。無いんですね。右手につけてるんですかね?ちょっと不思議ですね。えぇ。まぁこれは本編最後の編み物してるシーンでもちょっと気になってはいたんですけれど。えぇ。悲しいです。聞くところによるとプライマルハーツでもナントカカントカ。
最後に、式を挙げる、と言った後のところですね。別にこれはどっちでもいいだろって感じですし、千里らしいっちゃ千里らしいような気もするのでなんとも言いがたいんですけれどとりあえず感じてしまったのは、春近にも向けた手紙サプライズの場、あんな感極まってるところで「赤ちゃんほしい」というのをネタの方向にもっていっちゃダメですよね……ということでした。春近は目頭を抑えます。千里も「あの日」以来の初めての涙を見せます。春近が千里の言葉を伝えた後、結婚式で花嫁として出ることにOKを貰います。ここで感動は最大限まで引きあがるでしょう。そしてその後、クーリングタイムに入るわけですが。その熱から得られた甘ったるい時間が終わった瞬間に、千里は、これまでの話をぶった切るようなニュアンスをこめて、「赤ちゃんがほしい」と発言するわけです。いきなり冷水を全身に浴びてしまったような気分になりました。発言そのものに問題があったわけではないですし、むしろあってほしい台詞でありました。問題はムードでした。甘ったるい時間が続いているうちに、その空気のまま千里にその台詞を言ってほしかったと思いました。
手紙のサプライズも主人公が目頭を抑える描写も、出来事としては前作を彷彿とさせる表現で良かったと思うのですがいかんせん中身が薄っぺらいような……表現しきってしまうとそれはそれで面白くないなとは思うのですが、せめて主人公が具体的にどんなエピソードを思い出して目頭が熱くなったのかは描写があると良かったなぁなんて思います。あとFDはCrossViewingがないんですね。

監督プロデューサーがいつもと違う人だったんでしょうかね? 千里ルートでは千里しか、萱野さんルートでは小糸、萱野さん、モブ数名しか出てこなかったのでちょっと悲しかったです。


HOOKSOFTの次回以降の作品で結莉ちゃんがいたらこのPAの記憶を大切にしながら攻略したいですね(小並感)