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mafuterさんのGolden Marriageの長文感想

ユーザー
mafuter
ゲーム
Golden Marriage
ブランド
ensemble
得点
73
参照数
2372

一言コメント

透子という素晴らしい幼馴染。シナリオは少し物足りない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

御曹司である主人公渚がお金で買えない大切なもの(恋愛)を探していくストーリー。スコットランドの詩人の引用が1度出てくるがその他に偉人の名言の引用が無かったことから、テーマをそれ1本にするつもりだったのだろうとプレイ後に思った。
主人公が遊び人だった設定が作中で出てくるが、個別に入った後はヒロインのことを大事に想っているような描写が良く目立っていたと思う。主人公が部屋でヒロインと2人きりになってもまず主人公がヒロインを思いやって行為には及ばないなど、作品全体で「割と健全な」お付き合いというのを重視しているような感じがした。例えば透子√の中で、透子が「渚成分を吸収したい」と言って空き教室に入る話があったが、そのときはハグだけで終了したので正直驚いた(普通このような話があったらだいたいそのままシーン突入するだろうと構えるだろう)。以下各ルートの感想。
透子ルートがこの作品の中で一番シナリオがしっかりしていた。気の置けない幼馴染から恋人に変化する過程の描かれ方というものが、気がついたら幼馴染(主人公視点でもヒロイン視点でもよい)のことを意識していていつもどおりになることが出来ず、時間が経って自分が実は幼馴染に恋をしていたんだと気づくというよく他のゲームで見るものとは一風異なっている。家庭の事情から生涯の伴侶を決めるように「半強制された」(もちろん自分の意思もあるが)、そして選択までにあまり時間がたっていなかったというのが原因なのだろう、付き合った直後の主人公、透子の言葉共に「これが好きという感情なのかわからない」という主旨がある。このような、両者共に恋愛感情か分かっていない中での付き合いというのは面白いなと思った。透子が「恋愛感情」という点で渚に近寄りながらも「日常生活」の中では渚から離れる、依存していたところから自立しようと努力していくという姿は非常に良かった。
デートの中で透子の趣味(競馬などのギャンブル)と絡めながら透子の生い立ちを語らせ、そしてギャンブルとお金に関する透子の意見(としてライターが語らせている)は良かったが、語っておしまい、という感じが見受けられたのは少し残念だった。両親の会社の乗っ取りに対しても同じで、親子間で溝が出来ていたから伝えられなかったのは良いにしても、特許が当たって買い戻したことや黒猫の身元をつきとめたことがちょっよ事が上手く運びすぎてる感じが払拭できなった。まぁテーマは割と面白かったのでまとめ方をしっかりして欲しかった。
瑠璃ルートは島影組でごたごたしていた覚えがあるがとりあえず先輩可愛い。ギャップが一々光る。ただ「なっ、」「ぐっ、」など発語が異様に多かったので気になる人は気になったんじゃないかなぁと。
玲は結構特殊なヒロインだったと感じた。芸術的天才と付き合ったとしたら、の特殊性を上手く表現してくれていたと思う。主人公もめちゃくちゃピアノが弾けましたという設定ではなく、ある程度基礎は出来ているのでそこから表現力、息遣いをいかに「努力」という形を通じて成長したかという面を書いていた。シナリオに起伏があるとはあまり思わないが、割と特殊な設定でかつちゃんと描写がなされていたので面白かった。
香純と紫子はキャラゲーという感じであった、が香純はともかくとして紫子はキャラゲーとしてもなかなか酷かった。あまりにも中身が少なすぎ、浅すぎ、であった。空回りした主人公をたしなめて章終了、留学どうしよう、しよっか、がんばるからね、で終了。エッチであることを紫子の唯一の短所(紫子視点で)にしたかったのであろうがなんというか全く主人公及び紫子の内面に入っていけなかったために欠点にしたところで「シーンの導入剤なんだな」としか思えなかった。過去の話が全然出てこないかと思えば最後でいきなり主人公のトラウマをほじくり返し、紫子に抱かれながら涙を流してそしてまた一歩成長して「大人にな」るとかいう意味不明で突拍子な展開で、流石に熱が冷めた。流石に雑すぎて酷かった。

まぁ絵は可愛かったしOP2であるMarry me?は良かったからいいんじゃないですかね。