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mae_sauerさんのサクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-の長文感想

ユーザー
mae_sauer
ゲーム
サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
ブランド
得点
39
参照数
2314

一言コメント

君はこの作品の中に息吹を感じたか?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

少なくとも私は感じなかった

このゲームはかいつまんで言えば身近な人間の死や人間交流の中で主人公やヒロインが成長してゆく物語だ。
スパイスとして芸術や哲学、文学のエッセンスを含みながらシナリオに深みをもたせたいらしいようだった。
だが、それらの話はどこかの物の本で見たのであろう硬い文を、そのままテキストとしてコピー・アンド・ペーストしたようなあまりにも退屈なものだった。
登場人物にはそれぞれの思想や主張があり、それらに芸術的見解や文壇の偉人たちの言葉を交えつつ会話を展開していく。

それがくっっっっっっっっせえええのなんの

長い! 胡散臭い! また引用かよ!

折角日常シーンや切迫したようなシーンで生き生きと描かれていたキャラクターたちの顔が一気に土気色に変わっていった。
キャラクターはライターのスピーカーか何かか? 9割例え話で話をすすめるのか?
そもそもこの薀蓄って必要だったか? あまりに冗長ではないか?

ある日いきなりヒロインが「ワタシハウチュウジンダイマカラコノホシヲハカイスル」みたいなこと言い始めたら白けない?
多少昔の言葉を引用したりして話すのは構わんけどもはや凛なんかはロボットだよロボット、理解できない。

まあ博学なことはいい、主人公たちが年齢の割に美術史などにやたら明るいのもいい。でも限度ってものがある。

このゲームを作品として完成させるにあたって必要なのか必要でないのかよくわからないものがありすぎると感じた。
無駄を完璧に削ぎ落とせと言っているのではない。蛇足と表現するにふさわしいと思った。

少々文が酷くなってただの叩き投稿のようになっているので、このゲームを逆に評価している点を挙げる。
 ・凛個別ルート 中盤以降のシナリオの盛り上げ方引き込ませ方は読んでてかなり楽しかった。以前のライターのバイタリティを感じた。
 ・川内野の心理描写、川内野ルート 同性愛は個人的に嫌いだが友美が同性に惹かれる気持ちを説明しているシーンや己の葛藤は興味深く楽しく読むことができた。
 ・長山さん こいつがいなきゃこのゲーム成立しなかったであろう努力する一般人代表。永山の芸術の話だけは共感できる点も多かった。不快感を撒き散らすキャラなのは仕方ないというかなんというか、天才のバーゲンセールだから仕方ないね。
 ・忘れた頃にいきなりギャグシーンをやりだす登場人物たち

このように各所に良い点が散りばめられていたりするが、残念なことに先述した内容がこれらを相殺どころかマイナスにしている。
やたら絵の話はするくせ資料も何も提示されず初心者に不親切でもあった。

つまらないと感じるゲームは今までいくらでもプレイしてきたが、退屈と感じたゲームはなかなか思い当たらない。

そういった貴重な再体験をさせてくれたサクラノ詩に感謝しつつ49点の評点をつけたい。人間って理解できないものに嫌悪感覚えるんだね。



まあどう感じるかは見たやつ次第って、サクラノ詩っていうゲームで言ってたしね。
あ、そうそう

圭って死ぬ必要あった?