最高の冒険をありがとう。
長く楽しかったシリーズの完結作。
得点は今作だけでなく今までの作品の面白さを総合しての点数。
100点を付けるしかないでしょう。
鬼畜王ランスプレイ時から、正史はどのように物語を紡ぎ、結びを迎えるのかを非常に楽しみにしていた。
最強の魔人ケイブリスとの対決、異世界からの放流者である魔王美樹と魔人健太郎の行く末、最愛の奴隷シィルとの関係、そして――創造神ルドラサウムとの決着。
その悉くが鬼畜王ランスとは異なる展開で進み、そして文句のつけようのない大団円を迎えるとは。
30年も続いたシリーズなので、正直なところ本作は必然の如く賛否両論があると思っている。
第一部のAエンドと、その流れを組む第二部のスタートはあらゆるユーザーの困惑を招いただろう。
私もその一人だ。
魔人ケイブリスを退け、人類の勝利に漕ぎつけたかと思いきや、ランスクエストぶりのバードによるシィル殺害……からの美樹魔王覚醒――間際でランスへ魔王譲渡。
脳の処理が追い付かないうちにお馴染み我が栄光が流れてスタッフロールに。そして、魔王ランスの誕生。
鬼畜王ランスでも魔王エンドはあったけど、やっぱりシィルがいないとそういう道を辿ってしまうんだなぁ、と呑気に考えていた。てっきりIFのエンドかと思っていたのだ。
そうして真エンドを求めて何周もしていると二部が解禁され、ようやく本筋を見られるのかと思ったら二部の年表で魔王化が正史だと気づき、混乱した。
えっ、シィル死んでる? えっ、15年後? えっ、息子が主人公?
そんなこんなで始まった第二部は、ひそかに妄想していたランスの息子娘たちの活躍劇という何とも胸躍る冒険譚だった。
終盤に差し掛かるにつれて、ああ、この楽しい冒険も終わるんだなあ、と感慨もひとしお。
シィルの復活(ランス9の解凍のくだりがなんか怪しいなあと思っていたが、そういうことだったのね)、そして10ものシリーズを経てついにランスの口から出たシィルへの愛の告白。
ここらへんのシーンはすごいジーンとしてしまった。シーン回想で何度も見てしまう。
そしてランスと息子たちの共闘。ここもすごい感動した。エール=プレイヤーなところも相まって、自分も一緒に戦っているような、そんな気持ちに浸れた。まさにRPG。
クエルプランの力を吸収するって能力が語られた辺りで、魔王化解除の落としどころはここなんだろうなあと思ってたけど、まさか魔人の力までここで清算するとはね。(リスくんがまだ残ってはいるけど)
魔王化問題を解決し、世界が平和になったところでエンディング。ランスの大往生までが語られる。
何度も見直したり、考察を見ると……シィルがいつの間にかいなくなってるんだね。でも最後には傍らに控えてるんだよね……。
としんみりしているところで――クルックー、ALICE、ルドラサウムの会話へ。
とんでもない衝撃を受けたところでゲームが終わってしまった。
そういうことね……。
「ただ、今、ランスがいる世界と、この時間は邪魔させません」
クエストマグナムでの彼女のセリフ。
クルックーの行動原理はこの一言に集約されていた。
マグナム時点でスタッフはこの展開を考えていたんだろうか。
最後の最後まで予想の斜め上を行く展開で脱帽した。
賛否両論はあると思うけど、私は最高の完結作だったと思う。
リメイク作01でランスシリーズに出会ってから最高に楽しい時間を過ごせた。
プレイ歴5、6年という新参プレイヤーだけれども。
01でハマってから過去作を蒐集し、狂ったように朝から晩、そして翌朝までプレイしてきた。
一作一作が自分にとっては「最高の冒険」だった。
学生から社会人になって、エロゲ―をやる体力も段々なくなってきて、一時は年に数十本プレイしていたのが、今は月に一本クリアできるかどうかというレベルにまでなってきた。
昔はエロゲ―のために完徹したりしていたが、最近は寝落ちしたり頭が痛くなったりでプレイを中断することも多い。
そんな中、今作は久しぶりに一日中PCに向かってカチカチと夢中になってプレイを進められた。
クリアした今、なんだかこれでランスシリーズが終わるなんて実感が沸かない。けれど、エンディングではランスの最期まで描かれてしまった。魔人との戦いも、魔王化も、シィルとの関係も、ルドラサウムの対策だって描かれてしまった。
もうこんなに夢中になれるゲームは出ないだろう。
出たとしても、その時はかじりつくようにプレイする体力も気力もないんだろう。
だから、恐らくこれが自分にとっても最後の「最高の冒険」だ。
途中からでも、このシリーズを追うことができて本当に良かった。
最高に楽しい時間を、ありがとう。