ErogameScape -エロゲー批評空間-

luna1127さんの戦国†恋姫 ~乙女絢爛☆戦国絵巻~の長文感想

ユーザー
luna1127
ゲーム
戦国†恋姫 ~乙女絢爛☆戦国絵巻~
ブランド
BaseSon
得点
70
参照数
15014

一言コメント

一刀が戦国時代に行ってくれないかな……

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

真・恋姫†無双とは似て非なるもの

真・恋姫†無双と同じ会社であり、ライター陣も似ているが
実は根本的に違うもの

【システム】
特にバグ等は無い。
あっぱれ! 天下御免で一部の音声が変だったので不安だったが
特に問題ないと思う。一部割れている感じの音声を感じたが、スペック等の問題かもしれないのでPOVには反映しない。

【シナリオ】
プレイを始めて、しばらく経つと何か違和感を感じた。
それは最後まで感じた違和感だったが、ED後に恋姫†無双をプレイして謎が解けた。

基本的に真・恋姫†無双は主人公は一刀だが、ゲームのメインは女性キャラだ。
一刀はプレイヤーの目線であり語り手だが、話の流れの中では脇役に過ぎない。
戦局を決定するような作戦を実行するわけでもなく、戦局をヒックリ返す作戦を考えるわけでもない。
目立つのは必ず女性キャラであり、一刀は受動的な巻き込まれる役に過ぎない。
だからこそ真・恋姫†無双の女性キャラは強さと華やかさを持っていたと思う。

だが今作では、メインは女性キャラではなく主人公である新田剣丞になってるように感じる。
戦局を覆すような作戦を考え、自分たちの隊で実行する。
一刀には無かった要素を付け加えられたが、実はこれが作品の中で色んな問題に発展している。

【問題点】
①女性キャラの活躍が減った。
メインが女性キャラから、新田剣丞に変わった事により
戦闘中に新田剣丞の目線での活躍を描かれるため女性キャラの活躍が大きく減少した。
完全に出番は消えないが、キャラの中では空気のようになるキャラが多数いる。

②主人公のマンセーが酷い
今年の作品群でも、主人公マンセーの度合で言えば、かなり強烈の部類に入る。
とにかく、女性キャラが主人公を褒める。褒める。褒める。褒める。褒める。
主人公が何か言うと、必ず主人公を褒める台詞が飛んでくる。

③全編、コピペのようなやりとり続く
女キャラ「剣丞は、ひとたらしだな」
新田剣丞「そんな事ないよ」

このやり取りが発狂するほど、繰り返される。
序章で良いと思うが、全編にわたって続く。
後半ぐらいではボケ老人と話しているように、そのやり取り何回目だよと哀れみを感じる。

特に②に関しては新田剣丞が当たり前の事を言っているのに
女性キャラ「剣丞様、凄い! そうしましょう!」と大絶賛するのを見ていると
読んでいる側としては何で君らは、それを考えつかないの?と
どうも女性キャラに対して悪く考えてしまう。

②や③に関して実は主人公が凄かった場合、問題点とは成らず
読んでいる側も賛同するのだが。。。

新田剣丞が結構痛い
目指した主人公像としては、序盤に信長役のキャラが評した通り
飄々としたキャラを目指したと思われる。
ピンチでも落ち着いて、それでいて戦国時代の考え方に縛られないキャラ。

残念ながら飄々ではなく頭悪いキャラに感じた。
それも可愛いアホな子ではなく、計画性がなく根拠が無いのに危険な事に突っ込み
何とか成ると考えている頭悪いタイプ。
正直、苦手だ。そのため②と③の不快感が何倍にも感じる。
そのためご都合主義だとも、感じる場面もチラホラ

②と③は他のキャラの言動だが
主人公自体から主人公が凄いという宣伝が読んでいる側にも伝えられる。
前作のヒロイン勢から英才教育を受けており、事あるごとに○○姉ちゃんに教えられた技術が~と自慢気味の一人語りが
地獄のミサワっぽくて苦笑した。
主人公が宗教の宗主で、その活躍ぶりを描いた宗教作品を見ている感じだった。

特に忘れられないのが
女性キャラがゴロツキに追いかけられているシーンで主人公が助太刀に入るが

新田剣丞「どんな事情があっても、女の子一人相手に、大の大人が寄ってたかってってのは男としてどうなんよ?って思うんだけど」
ゴロツキ1「女の子だぁ?ぐははははっ!せやから事情をしらん奴ぁ口出すなぁ、言うてんや!」
ゴロツキ1「その女はなぁ、俺らの仲間を散々斬りまくって、片っ端から金目のもんを奪っていった鬼女やぞ!」
ゴロツキ2「せや!男やら女やら関係あらへん!そいつは仲間の仇なんじゃ!」
ゴロツキ3「分かったら兄ちゃんも引っ込んどれ!俺らぁ、その女ひん剥いて、股からかっさばいたらんと、腹ぁ、収まらんのじゃ!」
新田剣丞「ふーん・・・・」
ゴロツキ1「おう、おまえも分かってくれたか。・・・って!なんやねん その気のない返事は!」
新田剣丞「うん、あまり興味ないから」

ェェェェエエエエ工工(゜д゜)工工エエエエェェェェ
その後、当たり前のようにゴロツキは倒されました。。。ゴロツキさん。
倫理って何でしょうか。女の子なら何でも、許されるのでしょうか?
それとも読み違いでしょうか。。。

【構成】
キャラが大量のゲームに、分岐点なしのシナリオは合わない。
わざわざ3大勢力みたいに、武田・上杉・織田のようにキャラがまとまっているのだから
3つに分けるべきだった。
一本にしたらどうなったかというと、メインヒロインである信長がメインヒロイン(笑)になってしまった。
正直、信長はキャラとして薄く、ぜんぜん信長って感じがしないとは思っていたが
まさか中盤以降、空気キャラになるとは。。。
主人公が他の勢力に所属しているからしょうがないが、本当に出番が無いのは苦笑した。
最終盤で目立つが、バランスが悪く感じた。

構成に関してはもう一点。
可愛いは魔法の言葉ですか?

主人公「○○は可愛いのに」
○○「えっ//」
これで大半のキャラが落ちました。ワンパターンという言葉を超越しました。
エロシーン抜きなら、女性キャラが主人公にどうやって好意を抱くのかは、しっかりと描いて欲しかった。

【総評】
風呂場のCGや服がびしょ濡れになるイベントやら、夜伽イベントっぽい感じを見ても
来年には18禁バージョンが高確率で出るでしょう。
正直、エロシーンのために買うのは悲しくなるような出来に感じました。
しかし、問題点は真・恋姫†無双をプレイしていないなら感じない・・・と思います。
可愛いの一言で落ちるヒロイン勢や、コピペやり取りは、もしかしたら苛立つかもしれません。

救われるのはキャラ自体は可愛く、愛嬌があります。
メインとは無関係なサブイベントに関しては微笑ましく、楽しく読めました。

しかしBasesonは
真・恋姫†無双のような作品は二度と作れないと感じました。
ライター陣は違いましが、あっぱれや今作がBaseson作品のクオリティとしてMAXでしょう。
真・恋姫†無双はライター陣の思惑とは違う感じで、各要素が噛み合い
奇跡的に良いバランスになった作品だったのでしょう。