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luna1127さんの決戦! 乙女たちの戦場3 ~電撃作戦! 戦果はエースの名のもとに~の長文感想

ユーザー
luna1127
ゲーム
決戦! 乙女たちの戦場3 ~電撃作戦! 戦果はエースの名のもとに~
ブランド
げーせん18
得点
55
参照数
4126

一言コメント

戦争は悲しい…

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

このゲームは制作スタッフの情熱とやる気を感じる。
気合の入ったOP、ゲーム中の3D戦闘画面も良い感じだ。
しかし、その情熱が何一つとしてゲームの面白さに繋がっていないのが
悲しい。

【シナリオ・テキスト】
戦争モノとしては珍しい勧善懲悪。独裁者が支配する帝国を倒す物語。
日常会話やサブシナリオのテキストは悪くない、良くはないが。
笑わそうとしている場面の多くが寒いが時折、良いと感じる場面があるので
げーせん18の作品としては十分。
問題はメインの方。ライターの多くが戦極姫3に参加しており
自分たちの力量を分かっていると思っていたが、そうではなかった。

主人公のエースとしての成長、戦時中の人々の心境、みつどもえの国家外交。
実力派のライターでも難しいテーマを、なぜ今作のライター陣は表現できると思ったのか?
緊張感のあるシーンや、シリアスのシーンで露呈する文章力の低さ。
いや、その考え方はおかしいと突っ込みを入れそうになる展開。

戦極姫3では難しい場面を描かず、各キャラのサブシナリオのテキストが
多くを占めていたから実力不足を感じなかった。
しかし今作では難しすぎるテームに挑戦してしまった、
自分たちの力量を理解していないライター陣。
まず現実を見よう。

【SLGシステム】
大戦略系を初プレイのため困惑の連続だった。
SLGというのはロボット大戦やファイアーエンブレムなどを想像していたため
とても驚いた。そして退屈だった。

まず兵器の生産が1ターンで終わる。戦闘機でも巡洋戦艦でも戦車でも1ターン
登場キャラの乗っている兵器が破壊された場合
載っていたキャラクターは、そのまま自身の拠点に戻る。
載っていた兵器が破壊されても、ペナルティは一切ない。
いつでも出動できる。
この2つの仕様が合わさると
【作戦ターン】→【補給ターン】→【敵ターンの】の流れで
作戦ターンで敵の反撃で破壊された場合、補給ターンで兵器を生産し
次の作戦ターンには出動できる。もはや不屈の兵士というよりゾンビに近い。

先に書いたように兵器は1ターンで生産でき、格安。そして潰れやすい。
補給・補充のできる場所が限られているため、耐久度などは後回しになる。
何よりも補充する場合、全回復まで数ターンかかるが
破壊された場合、基地に戻って次のターンで出動できる。
まるでデスベホマだ。
とにかく謎仕様が多い。作戦やAIとの読み合い楽しめないため作業としても辛い。

【CG・エロ】
ずいぶん頑張ったと思う。
笑ってしまうような絵が入っている事が多い、げーせん18としては
全体的にCGを書いた人達のタッチが似ているため、あきらかに浮いているキャラはいない。
今作は全体的にキャラが良かった。特に男枠役は変キャラが多く、楽しめた。

エロシーンも幅広い。スタンダードからショタ・デブ専・陵辱。
エロシーンのテキストも酷くはない、特別エロいとは感じない。
ただエロシーンに入る経過シーンがセンスがありすぎて面白い。

ネタバレになるが、初期から出てるキャラが死ぬ→主人公が悩んでいる。
シリアスのシーンの流れから、司令官の女性が発情する展開になる。
設定上、発情は関係があるといえばあるが、特に今である必要性はゼロだ。
さすがの展開についていけず、セーブして一時終了した。
なぜ、その流れでエロに持っていくの? なんでシリアス展開終わってるの?
いろんな疑問が湧いたが、そのまま流した。
この他にも意味不明なエロシーンの入り方をしているものが多い。
結構笑える。というか呆れる。


だが、今作は何よりも戦争の本質が分かった。
最終盤になると敵の生産数が膨大になり、数の暴力で押してくる。
敵AIは生産拠点を占拠されるまで、ひたすら生産を続ける。
警戒しようが、ジャミングしようが、圧倒的な数の前に負けてしまう。
そこで兵器とキャラとの相性を元にした作戦などの考えを一切捨てた。

数の暴力には、数の暴力で対応する。
最終盤では金が余りまくっており、どれだけ作っても金には困らない。
具体的に一番高額な戦闘機を作るのに800。その時の所持金は16万だ。
200機まで作れる。1ターンごとに10機の戦闘機、5機の戦車が出動する。
そしてキャラが載っていない兵器はモブキャラが乗っている。
ラストの戦闘MAPはモブキャラたちに埋め尽くされるている。
そして作戦などを放棄した、ゴリ押しの潰し合い。
しかし、それでも苦労する。
前作プレイ済み・大戦略をプレイ済みの方は、コツや小技などを
駆使して華麗に勝つと思うが、初プレイの人間には
これ以外の方法で勝てるのか疑問だ。

とにかく勝利した。英雄と持て囃されていた主人公達ではなく
大量生産したモブキャラ達によって勝利した。

そう実際の戦争に英雄などいない。
勝利とは名も知られない兵士達の犠牲の上で成り立っているのだ。
それこそ戦争なのだ。
このゲームを戦争の悲しみを教えるゲームだと。

そう無理矢理に、自己完結してアンインストールをした。

他のルートがあるが、とにかくやる気がしない。
前作をプレイ済みの方以外のプレイはおすすめしない。