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lukさんのキミへ贈る、ソラの花の長文感想

ユーザー
luk
ゲーム
キミへ贈る、ソラの花
ブランド
Cabbit
得点
84
参照数
168

一言コメント

もし幽霊と人間が交差できる世界であるならば、幽霊との共存をよりよいものとしたいと思う物語。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ(16/20)
 幽霊との学園生活に戸惑う人間の学生たちですが、
 ジェネレーションギャップや思考などは特に問題にならず、
 幽霊も普通の学生として問題なく溶け込んでいた雰囲気でした。
 
 ヒロインは幽霊と人間どちらも存在しますが、
 幽霊のヒロインと主人公が結ばれることは異質であり、
 今後どのように共存していけばよいのかを考えさせられました。
 
 ボリュームはあまりないかなとも思いつつ、
 余分な描写がない分、読みやすく物語の世界に浸ることができたかと思います。
 
 
キャラクタ(14/20)
 幽霊には幽霊の、幽霊が見える人間には人間の悩みがあり、
 各キャラクタの性格に違和感なく表現されていたと思います。
 
 
画像(10/20)
 雰囲気が作品とマッチしており、綺麗に描かれております。
 ……すみません、登場人物が子供に見えてしまい、個人的にマイナスしてます。
 
 
音楽(16/20)
 サウンドモードにて、曲数が少ないと思いましたが、
 ゲームプレイ中は違和感なく、物語の雰囲気にピッタリでした。
 
 
システム他(14/20)
 特に問題なかったかと思います。
 
 
熱中度(+14)










<ネタバレ>
本作の「些細な幸せと、続いていく世界」が最も熱中した部分であり、
どのようにして学園が設立され、今後の学園の運営をどのようにしていくのか
大人側の物語を読みたいと思いました。
 ・蘭子の「幽霊との交流」を独自に掲げ、理事長に就任した経緯
 ・すみれの学園設立までの過程
 ・学園設立の賛同者による話の内容
 ・蘭子、すみれ視点による学園の生活

ただ他が悪かったということもなかったのですが、
杏には霊感が全くない代表として、
各ルートで主人公にもっと絡んでほしかった気がします。

(私の考えですが、周りの人たちがどんなに幽霊が見えるということを主張しても
 自分自身が目で見て確認ができないことには信じたくとも腑に落ちないように思います。
 主人公とその友達とのやりとりについていけず、
 なにがあっても対処ができず、危険な事態に遭遇してしまう可能性がある現状を
 ただただ盲目的に好きな感情だけで付き合っていけるものでしょうか。)

また蘭子やまつりなど幽霊たちが存在し続けられる世界は、
はたして持続可能な世界のままでいられるのでしょうか。
(地球に生まれることは自分で決めたものであり選ばれた生ならば、
 幽霊もまた生であり生涯まで設定されているのであれば、
 なにも問題なく優しい世界として認識はできますが。)

いろいろと書いてしまいましたが、
頭空っぽにしていれば、雪花も幸せにみんなと一緒に暮らして大団円であればよかったなと思いました。