本校√は教科書のような読みやすいテキスト、分校√はパロネタ多め。
かれこれ時間の経っている作品なので、感想はもはや作品に対する自分の確認用と言った感じです。
本校√と分校√でシナリオとテキストが別物と言えるくらい違うので、点数が難しいのですが…本校√にお気に入りのシナリオが多かったので、それをベースとしての点数です。シナリオの感想はお気に入りの√だけで失礼して。
お気に入りのシナリオは梓乃√でした、みやび→殿子→梓乃→栖香→美綺→邑那の順でプレイしたのですが、前2√の下地があったおかげで、最大限に楽しむことが出来ました。話の綺麗さで言えば他√の方が点数としては高いかなと思いますが、全体的なテキストの隙の無さや王道設定の調理の仕方、後は個人的な趣向により梓乃√推しということで。
梓乃√に関して
前2√と比べるとコミカルな出だしで、彼女の本心の判明と合わせてなかなか引き込まれる展開。主人公とヒロインの視点切り替わりを多用するのは、この√に関しては必要であり、二転三転する彼女の想いや食い違う二人の視点を楽しめました。シナリオ後半に入ると、自分より弱い立場にあった梓乃が成長し、司を逆に引っ張って行くという、主人公交代の様な展開。この√に関しては、梓乃視点のシーンの多さも相まって、司と梓乃の両方が主人公と言えるかもしれません。
シナリオの大半は、対人恐怖症を患った彼女の心の移り変わり様を描写したものですが、展開の積み重ねが上手く、どのシーンを取っても次のシーンの為に必要な展開なので、贅肉的なテキストはほとんど無いように感じました。
正直初見の印象では、あまり好きなタイプのキャラではありませんでした。司も言っていましたが、頑張る姿に心を惹かれた、と、そういう事だと思います。また登場時とED時で、性格そのものがかなり変わっている、一番心の成長したキャラであったと感じます。
個別√に入っても、その他のヒロインがないがしろにされていないのも良いです。みやびーは特に顕著で、どの√でも性格の軟化、成長が見て取れます。こういったキャラクターに対する気遣いはとても嬉しいですね。
どの√も展開の積み重ね方が非常に上手く、今もこの作家さんがラノベ等で活躍されているのが頷ける力量です。個人的には、昨今の作品よりこの頃の方が上手くまとまっているのかな、とは思いますが…
絵師さんに関して
ロリロリな感じのイラストに定評のある(?)方です、今回もご多分に漏れず可愛らしいキャラが多かったですが、ゆのはな等、過去の作品もそうでしたが、ちょっとCG枚数は少なめかなぁと。
声優さんに関して
これも梓乃の声優さんの話になりますが…(佐本二厘さん)
非常に高い演技力を感じる方です。過去の出演作品にすたじお緑茶さんの「夏日-kajitsu-」という古い作品があるのですが、あの当時の声優さんの平均技量を思うと頭1つか2つ抜けている印象でした。感情の露出がとても素晴らしい。濡れ場の演技などは苦手のようですが、役柄問わず、前後の展開を理解していると思えるイントネーションの選び方が、非常に上手いです。
告白シーンと崖のシーンの演技は圧巻です、爆発する感情がとても素直に出ていて、思いの丈がダイレクトに響いてきます。あの演技もシナリオを好きになる要素の一つであったと思います。
BGMに関して
舞台に合った落ち着いた曲調の楽曲が多いです。日常BGMはピアノが多め。一時期寝る前などによく聞いていました。√によっては使用されない楽曲が多々あり、選曲も演出として重要視しているのが伺えます。
好きな楽曲
風薫る朝
普通の一日
理事長ご機嫌如何
青空に駆け足
夜明けを運ぶ風