(シナリオだけ見ると)リブートというよりアペンド?
立ち絵・CG等のイラストが全て刷新されたり、作品内のアイテムも全体的に現代化されている(通信機→タブレット等)など、時代に合わせたリメイクが為されており新鮮な気持ちで楽しむことができました。
以下、気になった点でもつらつらと。
システム面の変化は色々ありますが、個人的に特筆すべき点は以下の通りです。
・フルHD化。
・お気に入りボイス機能の実装。
・チャート機能が実装され、その代わりに旧作にはあったダイジェスト進行が無くなった。
・「次の選択肢まで進む」機能は無し。
中途半端な既読状況だとチャートだけでは進めないので、次の選択肢へ進む機能は搭載して欲しかった所です。同じワムソフト版吉里吉里の他社作品でもこの機能は残してますし……
コストカットの一環?
あと、進行不能バグがあるため修正パッチ必須です。
続いてシナリオ面。
初めに述べた例を含め、現代に合わせていろいろ調整されています。結果、続編(薔薇の聖母)よりこっちの方が時代が新しくなりましたが、果たしてそちらのリメイクは有るのでしょうか?
また忘れた頃に出てくるのかな?期待して待ってます。
閑話休題。
設子と有里の新規シナリオですが、旧作のエンディング~エピローグ間に新規シナリオが挟まる形です。
つまり、ほぼアペンドシナリオ。
設子シナリオでは戦闘、有里シナリオでは情報と各々の強みを活かして敵を排除するという、2人とも同様の流れのシナリオです。
旧作をプレイした身としては、この新規シナリオは正直ちょっと拍子抜け、取って付けた感が拭えないものでした。
理由は一つ。ボリュームの薄さです。
この新規シナリオを要約すると、「唐突に現れた三流エージェントを排除するだけ」です。
本当にこれだけ。私にとっては期待外れでした。
しかし、旧作を知らないという前提で見れば上手い落としどころを突いたシナリオではないかと思います。
エピソードの唐突感はどうしても隠しきれないのですが、敵を「個人の快楽を優先するエージェント」という設定にすることで、(好意的に解釈すれば)この唐突感を演出の一部として考えることができるようになります。
「大きな組織の絡んだ事件が一通り解決し、個人的に暇になったから事件を起こした」という動機は、組織に忠実な修史の立場から考えると容易に想像のつく動機ではないでしょう。
一息ついた所で、唐突に始まる新たな事件ーーそう感じてもおかしくは無いはず。と考えれば、エピソードの唐突さにも意味を持たせることができます。一応。
ここまで新規シナリオ単体について考えてみましたが、この新規シナリオを作品全体から見ると
・作中唯一の、組織に囚われない敵であること(独断専行ともいう)
・エピローグにおける活躍に繋がる流れの補強としては上手いこと出来ている
この2点には特に感心しました。
新規シナリオ単体で見ると正直しょぼいのですが。前後を含めた一連の流れを改めて確認すると、新しいタイプの敵を各々の得意分野でもって排除したことが、エピローグで描かれるような活躍の礎となった。という感じです。
現実では十年以上経った中で、長谷川さんはよくぞ上手いこと纏めたなあと思います。
結論。
旧恋楯をやっててもやってなくても楽しめるが、やってない方がより楽しめる、かも?
トータルとしてはRe:bootのタイトルに恥無しという事で80点台でも良いような気もしますが、幾らパッチが迅速に出ても進行不能バグを積んでるのはどーなの、とか機能面を考えると70点台だな、という次第。