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lightsさんの春恋*乙女 ~乙女の園でごきげんよう。~の長文感想

ユーザー
lights
ゲーム
春恋*乙女 ~乙女の園でごきげんよう。~
ブランド
BaseSon
得点
80
参照数
299

一言コメント

主人公が良い奴で好感が持てますが、肝心な場面では【主人公】の言葉で語って欲しかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

デフォルメキャラを使ったコメディシーンの演出は笑いどころを明確に
伝える手法として大いに役立っていたと思います。
(特にドリルのデンプシーロールは最高に笑わせて頂きました)

個別ルートに入り他のヒロインが出て来なくなる欠点を、ルート専用の
サブキャラを多数配置する事で、十二分に補っていたと思います。
それによりシナリオの視野が広がり、学園物だという実感が湧きます。
OHP紹介にも出てこないサブキャラも大勢居て、それなりに美味しい
出番も多く、今作に登場するキャラクター総数はかなりの人数に
なっています。

主人公の性格も高○生らしい直情型の無責任で後先考えない行動や言動が
目立ちますが、ヘタレとはベクトルの違う青臭さがあり、思い込んだら
一直線な感じがとても良かったです。

エロゲーの主人公って、女性に対する好奇心や性的興味に乏しい空かした
野郎が多いですが、今作の主人公は割と中盤辺りから目当ての女性に
対する好意思考を示すので、中々に好感が持てました。

ただ時々、主人公のキャラとは違う言動があるのに違和感を感じました。
恐らくこれは、ライターさん自身の価値観や倫理観、恋愛観などを書き綴った
物なのでしょうが、それは主人公というキャラクターが持つ価値観とは違う物
なので【誰かに無理矢理言わされてる】感じがするんです。

日常シーンで印象深かったのは、授業中に莉流が主人公へメモを投げ渡す
シーンで、他作品ならテキスト描写だけでさらっと済ますとこなのに
この作品では毎回CG付きで描写され『ああ、そういえば自分も学生の時に
こんな事してたな~』と懐かしく感じました。

ただ、単なる日常シーンでも心理描写や説明描写が異常なほど多く
特に会話シーンなどでも台詞と台詞の間に大量の字の文があり、著しく
テンポを損なっていたのが残念です。

重要シーンならば、状況描写の量が多くても構わないと思いますが
何でもない普通のシーンでも字の文だらけで、斜め読みしても尚
中弛みするくらい酷かったですね。
しかも時々、字の文の中に台詞が混じってたりして、非常にややこしく感じました。

各個別シナリオは、共通ルートからは想像出来ないくらい暗く重く辛い
シリアス路線になる為、楽しく面白かった日常の掛け合いコメディの印象が
一気に消え去り、鬱系描写が結構長く続きます。
ここでは逆に大量の字の文がシリアスイベントの深みを演出し、圧し掛かる
問題の重さや重要性、それを乗り超えてハッピーエンドへと向かう経緯の
説得力に大きく貢献してました。

それと百合色の強い作品なのでレズ描写が結構多く、中には肉体関係を
結ぶまでいっちゃってるシーンもあったり、プレイヤーは攻略する気なんて
全く無いのに、勝手に主人公と肉体関係まで結んじゃうサブキャラとかも居て
ヒロインと一対一でのラブラブ感が薄いシナリオとかもありますので
注意して下さい。