僕がアサプロに求めていたのって、こういうギスギスしないバカみたいなやり取りで笑うことだったんだなって。コンセプト、キャラ、シナリオがしっかりしていて非常に楽しめました。一番お気に入りのヒロインは乙女こころで、サブキャラカップリングだと光生×いのりが好きです。
①コンセプトについて
『恋バナ×恋愛弱者×思ってたんと違う!』←まぁちゃんとコンセプト通りだったんじゃないですかね。
ラブコメ漫画みたいな群像劇というか、主人公以外の視点で物語を展開するっていう手法自体は珍しくないのですが、それがしっかり面白い方に作用していたと思います。
八日なのかにしては主人公がクズに振り切れてなくて物足りなかった(クズすぎても文句言う)けど、別に誰に感情移入しようがしまいがそこそこ楽しめる作りだったのでそこも良かったですね。野郎とのやりとりだけでも面白いのは凄い。
②キャラクターについて
ヒロインのビジュアルはみんな可愛いです。見た目で一番好きなのは乙女こころですね。次点でチーこと安達千依。CV的にはこころちゃんが一番好きです。
見た目地雷系で秋野花さんの脳トロボイスはまぁ強い。今作ではあまり舌足らずになってないタイプの演技だったので、見た目以上に幼さを感じないよい塩梅だったと思います。
チーは最強幼馴染み、みたいな感じ。地味にクソデカ感情を秘めていてめんどくさい部分があるけど、この辺の人間的な心の機微の解像度の高さは萌えゲーとしてはかなり丁寧に描写されている気がします。
その他キャラだと、野郎どもの中では圧倒的に光生が好き。必然的にサブキャラではいのりちゃんが一番好き。この二人の行く末はFDで見せてほしい。
③シナリオについて
物語の掴みとして修学旅行のパートを少し見せてくれるので、そこでのキャラクターのやり取りで一気にこのゲームの世界観に引き込まれた。
元々自分がアサプロに求めていたのは、この手のキャラクターのかけあいの面白さであったため、全編を通してかけあいが面白かったのは良かった。(大河のパンツ云々ネタを擦り続けるのだけは肌に合わなかったが、それ以外は特に不快点もなかった。)
共通√の感想
共通√だとやっぱり、体育祭編でのバスケと生徒会選挙編での光生の公開告白シーンが好きでした。視点がちょくちょく替わって各キャラの解像度が上がる仕組みになっているのでそこもいいですね。
個人的主観での共通√(プロローグ~体育祭編)の主人公とヒロインの親密さは、
千依>超えられない壁>こころ>>常夜=めぐり
だと思っています。理由としては、
千依
主人公との下校や幼馴染みとしての過去話の掘り下げ等のアドバンテージがある。
こころ
劇的な出会いとクラスメイトとバスケの師弟関係でどちらかといえば友人。
常夜
(共通√時点では)本当に突発的なイベントでの出会いでしかなく主人公から能動的に絡むことはほぼなく妹の叶梨との絡みでも常夜がコミュ障すぎてグダグダでネタ枠を脱していない。
めぐり
主人公が半ば付きまといのような形で女バス朝練へ参加しているが、惚れた理由が一目ぼれ以上になく、めぐりの妹いのりと同じクラスであるぐらいしか接点がほぼない。
という感じです。異論はお好きにどうぞ。
実際にゲームをやった方ならお分かりだと思いますが、千依とこころの当て馬として常夜とめぐりがいるようなシナリオ構成なので、身もふたもない言い方をすれば共通√での常夜とめぐりは千依とこころの二人にとってはお邪魔虫でしかないんですよね。(千依に関しては露骨にそう感じている描写が多々ある)
だからといって、常夜とめぐりの二人がヒロインとして魅力がないかと聞かれるとそれは少し違って、この二人は叶太にとっては普通の共学の学園での恋愛をするにはうってつけのキャラクターではあります。めちゃくちゃ性格悪い言い方すると、リアル路線(笑)っぽい恋愛作品にありそうなサブヒロイン。
一目ぼれをバカにするつもりもないですし、めぐりにいいところを見せデートするためにバスケを本気でやる主人公は素直にかっこいいと思いました。動機はともかくとして。そのめぐりにデートでコクってフラれた後、主人公に好意を寄せている常夜と交際に発展するのも、慰めモノ路線で言えば王道なので全然いいと思います。
でも、それ、ただの妥協なんじゃないですかね。
目先のとびきり可愛い幼馴染には中学時代の部活のアレコレで引け目を感じてて昔みたいに仲良くできないからって、クラスメイトの女子と仲を深める前に、学園の高値の花の先輩に一目ぼれして、その高値の花の先輩にフラれたらその後は手近にいる好意を寄せてくれている後輩になびいているってことですからね。これを妥協と言わずになんと言うのか。「それを言うなら千依とこころも先輩にフラれた主人公に言い寄ってるから結局は妥協だろ!」って言われるかもですが、その時はまぁ「お前がそう思うんならそうなんだろうな。お前の中ではな」ってことで、お互い様です。シナリオ構造上明らかにイベント短縮されてしまった共通√くんに向かって同じこと言えますか? 言えないでしょ。
閑話休題。
ちなみに生徒会選挙編~修学旅行編では千依=こころぐらいまでいきます。やっぱこの二人が今作のメインヒロイン。
野郎とのやり取りに関してはやっぱり光生が絡むだけで大体全部面白い。CV.椨もんじゃのキャラがハメハメ言わずに真面目(?)に話してるだけでもう面白い。こんなん俺の頭がおかしいみたいじゃんか……。
サブキャラ達の中でのベストカップルは光生といのりですね。こいつらまだ付き合ってないからカップルじゃないけど。物語が進行するにつれて光生とのかけあいが言葉で殴ってくる感じじゃなくなるというか、いのりの態度が徐々に柔らかくなっていくのが分かるこの感じが本当に好き。FDはよ。
修学旅行編では本格的に千依とこころが叶太を意識し始めます。千依に関しては共通√全体を通して何度か意識してるシーンがあるんですけど、仲の良い異性兼幼馴染み以上のモノはなく、恋愛という部分では弱い感情だったように思います。とはいえ千依はここでこころに宣戦布告とも取れる発言をしていて、しかもこころに叶太もこころのこと気になってるよ的な敵に塩を送るようなことまでしてます。
おっ、ついに幼馴染みの本気が見れるのかな~……とか思ってたら新幹線乗り遅れてそのまま千依と叶太がラブホに行っちゃった。この件については正直、叶太が千依を意識するための必須イベントなので、安易な本番えっちがなくて良かった……とだけ。いやまぁあんまり納得はしてないけど。こころが知ったら悲しむだろうが!!! とはいえ、叶太の父親に迎えに来てもらった車内での千依が叶太に手を重ねるシーンは、そういうシーンじゃないのになんか……うん、すげぇエロかったっす。
個別√の感想
・めぐり
シスコンおっぱい先輩。
千依「恋だの愛だのち●こだの浮かれてるセンパイには負けない」
めぐり「それって幼馴染みの叶太くんを奪っちゃった私に対する嫉妬かな……っ!」
千依「叶太のち●こは私のモノだ!」
~完~
すまん、マジで覚えてない。CV.蒼乃むすびであること以外に語ることない。以上。
・常夜
イモムシおっぱいコミュ障後輩。
常夜「人生妥協も大事って言うじゃないですか。ああ、今思うとあのときのちょっとブスだけどおっぱいの大きくて優しい子と付き合っておけばよかったみたいな後悔を繰り返すのが人生なのです」
いや、お前がそれを言うのか(困惑)
???「やめてくれその術は俺に効く」
いまここに新たに死体が増えました。お前らのせいです。あーあ。
というのは冗談で、この√ではやたらと幼馴染みアピールをする健気な千依の姿が見れて負けヒロインさん!? ってなったので、ある意味楽しい√でした。本当です。それ以上でもそれ以下でもないです。常夜も幼馴染み(会ったの過去数日レベル)らしいので、実質幼馴染みVS幼馴染みですね(笑)
いや、ヒロイン同士仲良くしろよ……。(キャットファイト嫌悪主義者)
昔から叶太に懐く常夜の謎が深まるだけの特に特筆することもない√でした。
・千依
バスケバカの幼馴染み。
幼馴染みで妥協した√(身の丈に合わない彼女よりも、幼馴染み彼女の方が俺にはしっくり来るのかもしれない というモノローグが実際にある)とも取れなくもないが、クソデカ感情幼馴染みと順当に付き合う王道√でもある。さらに言うならば、共通√で描かれた中学時代のすれ違いと、それを乗り越えての「もう、疎遠になったりしないで」という約束を律儀に守ったお前ら幼馴染みスキー歓喜の√だ。
この√に関してはなんか色々書きたいことあったんですけど以下のセリフだけでもうどうでもよくなりました。
千依「彼女じゃなくてお嫁さんじゃないとヤダ」
これ叶太が告白してすぐに返したセリフですね。はぁ~……(クソデカ溜息)。
もうお前が優勝で良くね?
初えっちの立ちバックのシーンで、机の中学の入学式の写真に写る二人の姿から見えないよう写真立てを裏向きにしてあるあのシーン、エグすぎるエロさ。幼馴染みえっちの最高峰演出だろこんなもん。構図的に一瞬寝取られかと思ったわ(頭がバグってるので)。
こいつらはもうエッチしてバスケしてエッチしてバスケすればいいんじゃないかな。以上! 閉廷!
・こころ
白馬の王子様に憧れる夢見がち地雷ファッション乙女クラスメイト
共通√から地続きで、恋愛について妥協しなかった√です。と、いうのもこのゲーム途中下車方式を採用しておりまして、最後にこころかチーを選ぶんですよね。どうもキャラの扱い的に実質これがTrueっぽいです。エンディング後に学園祭描写あるしそういうこと。
幼馴染み原理主義者のみんな! ごめんな! 俺と一緒に現実を見ようぜ!
こころの可愛さを堪能する√です。叶太とは共通では煽りあったりめぐり先輩を取り合ったりと色々やってましたが、結局くっついた途端デレッデレになってえっちしかしてなくて笑った。お似合いだよお前ら。
乙女こころというヒロインは文字通り乙女で夢見がちな理想を持っています。
小さい頃から絵本に出てくる王子様に憧れており、憧れを引きずるだけで恋らしい恋を見つけれたのに素直に認められない。そんなこころが修学旅行の自由行動ではぐれた叶太に見つけてもらって帰り際に恋を自覚するシーンがこちら。
☆ ☆ ☆
人混みで、もっと騒々しいはずなのに。
だんだんと、なにも聞こえなくなってくる。
聞こえてくるのは、ただ自分の心臓の跳ねる音だけで。
これが恋なんだと、そう必死に訴えかけてくる。
「(ああ、認めたくなんてなかったけど……やっぱりこいつがあたしの王子様だったんだ)」
そんなにイケメンじゃないくせに、背だってチビ寄りで、それでもあたしよりずっと高くて。いっつも男子たちとバカみたいなことしてて、ひとりでもアホなことばっかり言って。
だけど、ちゃんと話は聞いてくれるし、お願いだって、すっごいイヤそうな顔しながらもなんだかんだ聞いてくれて。
バレー部のくせにバスケめっちゃ上手くて、教えるのだって得意で。
なにより、あたしのことを一番近くでよく見てくれていた。
☆ ☆ ☆
ここ、『ヒロインの視点では主人公は美化されている』という今までこの手の恋愛を題材にしたゲームをやってきたのにプレイヤーの頭から当然抜け落ちているような現実では当たり前の視点が分かるので、二重の意味で死ねる。こころちゃんめっちゃ叶太こと好きやん……ってなる場面なんだけど、やっぱりなんだかんだ言ってこの乙女こころの一途な恋心が溢れるこのシーンが好きです。
他√特有の幼馴染みとしてのアイデンティティしか残されなかった尊厳破壊済み幼馴染みこと千依と主人公を取り合うシーンも好き。
千依「私は叶太の幼馴染みだぞ!!!」
こころ「急に主張が強くなったあ!? でもでも、幼馴染みより彼女の方が位が高いんだからね!?」
こころと千依、どちらも甲乙つけがたいですが、個人的にメインの中では叶太×こころがベストカップルです。
④総評
こころと千依が可愛くてシナリオもちゃんとしてたのもあって非常に好みでした。
あとは単純にキャラのかけあいが面白い。これに尽きる。
今後のサブキャラカップリングどもの活躍にも期待です。FDも楽しみです。