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lievremanさんの刃鳴散らすの長文感想

ユーザー
lievreman
ゲーム
刃鳴散らす
ブランド
NitroPlus
得点
93
参照数
10

一言コメント

ハードボイルドな世界観と独特の文体、激しいアクションが魅力の作品です。ニトロプラスらしいダークな作風を求める人にはピッタリですが、万人受けするタイプのゲームではないかも

長文感想

『刃鳴散らす』は、ニトロプラスが手掛けたハードボイルドな伝奇アドベンチャーで、ダークで暴力的な世界観と独特の文体が特徴的な作品です。全体的に尖った作風で、好みが分かれる部分もありますが、個人的には強烈なインパクトを残す作品だったと思います。

良かった点
独特の文体と演出
主人公・武田赤音の一人称視点で語られる文章が特徴的で、非常にリズミカルかつ詩的。乾いた文体で淡々と語られる暴力や狂気が、むしろその凄惨さを引き立てているのが印象的でした。BGMや演出も、無駄がなく洗練されていて、ニトロプラスらしいセンスを感じます。

バトル描写の迫力
近接戦闘をメインにしたアクションシーンが多く、どれも緊張感があって読み応えがあります。血と暴力が支配する世界での戦いは、まさに「生きるか死ぬか」。主人公の葛藤や精神的な揺らぎも、戦闘シーンにリアルさを加えていました。

気になった点
短めのボリューム
全体のプレイ時間は比較的短く、濃密ではあるものの、もう少しボリュームがあってもよかったかなと思いました。特にサブキャラクターたちの掘り下げがもう少し欲しかったです。


総評
『刃鳴散らす』は、ハードボイルドな世界観と独特の文体、激しいアクションが魅力の作品です。ニトロプラスらしいダークな作風を求める人にはピッタリですが、万人受けするタイプのゲームではないかもしれません。
ただ、その分ハマる人には強烈に刺さる作品であり、特にニトロプラスの他作品(『鬼哭街』や『沙耶の唄』など)が好きな人なら、間違いなく楽しめると思います。短いながらも、強烈な余韻を残す一本でした。