FCの要素を期待していた人にとっては物足りなさが残るが、真白というキャラが好きな人にとっては、彼女の魅力が詰まった一本
蒼の彼方のフォーリズム EXTRA1は、原作の後日談として、恋人関係になった後の真白との甘くて平和な日常が描かれる構成。とにかくイチャイチャ描写が多く、ファンディスクらしい雰囲気ではあるが、フライングサーカス(FC)に関する描写が完全に消えてしまっている点は、正直残念だった。(ここがマイナス点)
原作の真白は部活内で最も実力が低く、負け続けながらも努力し、少しずつ成長していく姿が胸を打つ魅力的なキャラクターだった。その過程にこそ彼女の価値があり、読者も応援しながら感情移入できた。
だがEXTRA1では、そうした成長要素や競技に向き合う姿勢は描かれず、日常の延長としての恋人関係が淡々と続いていく。料理スキルを身につけようと奮闘するサイドストーリーや、真白らしい天然な言動は確かに可愛らしく、キャラとしての魅力を再確認できる内容ではあった。
ただ、それも終盤にかけて少し単調に感じられ、もう一段階の展開や変化が欲しくなる。とはいえ、真白の新しい一面や、恋人として成長していく様子を丁寧に描いていた点は評価できる。
特に真白が自分の不器用さに向き合いながらも、相手を思いやって行動する姿は印象に残った。FCの要素を期待していた人にとっては物足りなさが残るが、真白というキャラが好きな人にとっては、彼女の魅力が詰まった一本だといえる。