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lievremanさんのクリミナルボーダー 1st offenceの長文感想

ユーザー
lievreman
ゲーム
クリミナルボーダー 1st offence
ブランド
Purple software
得点
85
参照数
25

一言コメント

闇に足を踏み入れてしまった主人公が、どんな結末を迎えるのか──続編が待ち遠しい作品でした

長文感想

『クリミナルボーダー 1st offence』をプレイし終えて、率直に言ってかなり引き込まれました。タイトルやビジュアルからは予想できなかった緻密なストーリーテリングと、ダークながらも人間味を感じさせるキャラクター描写に驚かされました。物語は、何の変哲もない青年が適当に作った“催眠効果のある動画”を作成したことから始まります。その動画の効果が予想外にも効果が強く「これで金が稼げる」と軽い気持ちでビジネスに手を出します。けれども、そこから事態は急速に悪化し、裏社会──ヤクザの存在が彼の生活に入り込んでくる。

最初は軽妙なテンポで進行するストーリーですが、ヤクザの娘が登場するあたりから空気がガラリと変わり、プレイヤーとしても主人公と同じように「これはヤバいことに巻き込まれてしまった」と緊張を強いられた。それでも彼が諦めず、どうにか自分の手で状況を打破しようともがく姿に、妙な説得力と共感を覚えました。彼の行動は決して正当化できるものではありませんが、だからこそリアルで、物語に厚みを与えているかも。

ゲームは基本的に選択肢などは存在せず、ストーリーは一本道です。それでも飽きさせないのは、テンポのよさと緩急の付け方、そして何よりキャラクター同士のやり取りの妙にあると感じました。特に主人公と裏社会の人物や不良たちとのやり取りは緊張感がありながらもどこか芝居がかっていて、まるで映画を観ているかのような感覚を味わえました。催眠シーンにおける演出も秀逸で、不穏な空気感や高揚感が絶妙に表現されてる。Hシーンも良かった。

章仕立てになっていて、今回の1st offenceはいわば“序章”のような位置づけ。今後の2章、3章ではおそらくヤクザの抗争が本格化し、さらにスケールが大きくなってマフィアのような存在も絡んでくるのではないかと予想しています。先の展開を想像するだけでもワクワクしますし、登場人物たちがどのように変化していくのかも非常に楽しみです。闇に足を踏み入れてしまった主人公が、どんな結末を迎えるのか──続編が待ち遠しい作品です。