全体として、肩肘張らずに楽しめるが、ふとした瞬間に胸を打たれるような温かさと優しさを持った作品だった。ラブコメや異種恋愛が好きな人はもちろん、ちょっと疲れた心に癒やしと笑いが欲しいときにぴったりの一本だった。
『きまぐれテンプテーション』は、悪魔と人間のちょっと背徳的で甘い関係を描いたラブコメ寄りの作品で、軽快なテンポとコミカルなやり取りがとても心地よかった。淫魔であるヒロインとの生活を通じて、最初は戸惑っていた主人公が次第に彼女に惹かれていく過程が丁寧に描かれており、ギャグとエロと感動が絶妙なバランスで混ざり合っているのが印象的だった。
ヒロインは小悪魔的な言動が多いものの、どこか寂しさや人間らしさを感じさせる場面もあり、そのギャップにやられるプレイヤーも多いはず。ふざけたノリが続くかと思えば、不意に核心に触れるようなシリアスな展開も挟まれ、緩急のあるストーリーテリングが飽きさせない。
テキストは読みやすく、テンポの良い掛け合いが続く中にもちょっとした言葉選びの巧みさが感じられ、笑えるだけでなくキャラ同士の距離感の変化や心の動きが伝わってくる。エロシーンも豊富で、質・演出ともに力が入っており、キャラの魅力がしっかり引き出されている。
グラフィックも明るくポップな色使いで、作品全体の雰囲気にマッチしていた。ヒロインの表情の変化や仕草の可愛らしさが際立っており、彼女との日々が「特別なもの」として心に残るように丁寧に描かれているのが好印象。BGMも雰囲気作りに一役買っていて、特に日常シーンや甘い場面では気持ちをふわっと盛り上げてくれる。
全体として、肩肘張らずに楽しめるが、ふとした瞬間に胸を打たれるような温かさと優しさを持った作品だった。ラブコメや異種恋愛が好きな人はもちろん、ちょっと疲れた心に癒やしと笑いが欲しいときにぴったりの一本だった。