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lievremanさんのランス10の長文感想

ユーザー
lievreman
ゲーム
ランス10
ブランド
ALICESOFT
得点
100
参照数
21

一言コメント

ランスという最低の男が、最終的に「人類最大の英雄」へと成り上がる過程は、まさに圧巻。そして、「30年続いた物語が、ここに終わる」―そう銘打たれた本作は、まさにビジュアルノベル・RPG史に残る最高傑作であり、エロゲの枠を超えた伝説

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「ランス10」は、アリスソフトが手掛けるランスシリーズの最終作にして、シリーズの集大成とも言える超大作RPGです。1989年に発売された「ランス -光を求めて-」から始まった物語は、今作をもってついに完結を迎えます。30年近くに渡って描かれ続けてきたランスの物語の終着点――それが「ランス10」です。シリーズを追い続けてきたプレイヤーにとっては、これ以上ないほどの「終わりの物語」として強烈な衝撃と感動を与える作品となっています。

物語は、魔軍の侵攻から始まります。世界各地に魔物が溢れ、各国が崩壊の危機に瀕する中、人類の最後の希望としてランス率いる人類軍が立ち上がります。しかし、これまでのランスシリーズと違い、今作は世界規模の戦争がテーマとなっており、プレイヤーは「人類の存亡」と「魔物との全面戦争」を主軸とした、圧倒的なスケールの物語を体験することになります。

特筆すべきはシナリオの重厚さです。従来のランスシリーズは、どこかお気楽な冒険譚やハーレム劇が中心でしたが、本作はまさに「人類VS魔物」という未曽有の戦争がテーマとなっており、物語全体に強烈な緊迫感が漂います。人類側の劣勢、各国の崩壊、仲間たちの死――プレイヤーは幾度となく絶望を突きつけられながらも、それでも前に進まざるを得ない展開が続きます。この絶望感と、それを打破するランスの破天荒な行動力が、本作最大の魅力です。

そして、今作のランスはこれまでとは全く異なる存在として描かれます。元々「俺様主義」で「女好き」の典型的なダメ人間だったランス。しかし、これまでの旅を通して仲間を得て、国を守り、人類の希望となってきた彼は、今作で完全に「英雄」としての覚悟を持ちます。「人類を救うためなら、自分がどんな汚れ役でも構わない」という彼の姿勢は、これまでのランス像を一変させ、プレイヤーに鳥肌が立つほどの感動を与えます。

また、シリーズの集大成ということもあり、これまでの全キャラクターが総出演します。「ランス01~ランス9」までで登場したヒロイン・仲間・敵キャラクターがほぼ全員登場し、それぞれが「人類存亡の戦い」に立ち向かう姿は、ファンにとって涙なしでは見られません。特に、シィルとの関係性は本作最大の見どころであり、最終局面においてランスが下すある決断は、シリーズを追い続けてきたプレイヤーにとって、筆舌に尽くしがたいほどの感動を与えます。

ゲームシステムは、ターン制の戦略シミュレーションを採用。プレイヤーは「魔軍の侵攻を防ぎながら、人類を勝利に導く」という大規模な戦争を指揮していくことになります。しかし、今作の恐ろしさは「プレイヤーの選択によって世界の未来が変わる」ことです。行動次第で人類軍の勢力が拡大したり、逆に滅亡に追い込まれることもあります。特にクリア不可能に見える圧倒的な難易度と、何度も襲い掛かる絶望的な展開は、まさに「世界の命運を握るプレイヤー」の重みを肌で感じさせます。

さらに、物語終盤に訪れる魔王ランスルートや、ケイブリス戦は、シリーズ屈指の名シーンです。特に、ランスが「人類の命運を賭けた最終決戦」に挑むシーンは、まさに30年続いた物語のクライマックスにふさわしい演出となっています。ランスが最終的に「人類の英雄」として君臨するか、あるいは「魔王」として人類を滅ぼすか――プレイヤーの選択と戦果が、すべての結末を左右します。

そして、エンディング。
ランスシリーズは「ハーレムRPG」「バカゲー」として認知されてきた作品ですが、最終作となる本作では、プレイヤーの心を徹底的に抉る展開が待っています。あるルートではランス自身が「魔王」となり人類を滅ぼし、別ルートでは「人類の英雄」として世界を救います。しかし、最も衝撃的なのは真エンディングです。そこでは、ランスが「全ての役目を終えた男」として、自ら表舞台から姿を消す選択をします。

ランスは誰にも告げずに姿を消します。かつて「自己中心的な男」だったランスが、最終的に「人類の未来」を託して去るという結末は、涙なしでは語れないものがあります。

総じて、「ランス10」は単なるRPGゲームではなく、30年間続いた物語の終結を描く伝説の作品です。過去作をプレイしたプレイヤーにとっては、あまりにも重く、そして感動的すぎる内容となっています。ランスという最低の男が、最終的に「人類最大の英雄」へと成り上がる過程は、まさに圧巻の一言です。

「30年続いた物語が、ここに終わる」――そう銘打たれた本作は、まさにエロゲ・RPG史に残る最高傑作であり、エロゲーの枠を超えた伝説と言えるでしょう。

「俺様は最強の男、ランス様だ!」と叫んでいた男が、最後に背負ったもの。
それを見届けたとき、あなたの心には確実に「ランス」という名の英雄が刻み込まれるはずです。

間違いなく人生に一度はプレイすべきゲームです。
ランスシリーズは、これ以上ないほどの「最高の終わり方」を迎えました。