「ただのエロゲ」「ただのバカゲー」とは到底呼べない、骨太な英雄譚と革命劇を体験できる本作は、まさにランスシリーズ屈指の名作
「ランス」シリーズの第9作目であり、物語の舞台をヘルマン帝国に移し、革命の旗を掲げる戦乱の物語を描いた作品です。シリーズ屈指の熱いストーリー展開、キャラクター同士の絡み、戦略性のあるシミュレーションRPG要素が絶妙に融合しており、まさに「ランスシリーズ」の集大成とも言える完成度を誇ります。
本作の物語は、前作「ランス・クエスト マグナム」から続く形でスタートします。ランスは「人攫い国家」として悪名高いヘルマン帝国へと足を踏み入れ、囚われたシィルを救出するための戦いへと巻き込まれていきます。しかし、ただの救出劇にとどまらず、ヘルマン国内での革命が大きなテーマとなり、「悪しき体制を打破する」「国を変える」という骨太なストーリーが展開されていきます。これまでのお気楽な冒険劇とは一線を画すほどの、熱いドラマと戦争の緊迫感が本作の魅力です。
特筆すべきはキャラクター描写の濃さです。今作では新たに「ヒロイン枠」として登場するパットンやリック、チルディ、マリアといったキャラクターたちが、革命軍の中心人物として大きく活躍します。特に、かつて敗北し失墜したパットンが「国を変える」という強い意思を持ち、ランスと共に戦場を駆け抜ける姿は、非常に熱く、感情を揺さぶられるものがあります。彼の「かつての敗北者から英雄への復活劇」は、本作の中でも屈指の名シーンと言える。
また、ヒロインたちの魅力も本作の見どころです。シーラ・ヘルマンを筆頭に、革命軍として活躍するチルディ、過去作からお馴染みのマリア、さらには新キャラであるハンティやピグといった個性的な女性キャラクターたちが登場し、それぞれの視点から物語に深みを与えています。特に、ヘルマン帝国の皇女であるシーラは、本作の鍵を握るキャラクターであり、「国を変えたい」という彼女の強い願いが、グッときます。
ゲームシステム面では、シミュレーションRPG形式を採用しており、マス目のあるマップ上で部隊を指揮し、敵軍と戦う形となります。各キャラクターには固有のスキルや能力が用意されており、ユニットごとの役割を活かして戦略的に戦う楽しさがあります。また、ランスシリーズならではのバカゲー要素も健在で、シリアスな戦争の最中でもランスの破天荒な言動やエロイベントが絶妙なバランスで挟まれており、シリアスとコメディのバランスが非常に優れています。
さらに、物語の終盤にかけては「革命の成否」「ランスとシィルの関係」「ヘルマン帝国の行く末」といった重厚なテーマが同時に絡み合い、プレイヤーの感情を大きく揺さぶります。特に革命戦争のクライマックスでは、シリーズ最高クラスの熱量を持つイベントが連続し、まさに「燃えるシナリオ」と呼ぶに相応しい展開を迎えます。ランスシリーズにおいて、ここまで「一国の未来」をテーマに描いた作品は他になく、ランス9は間違いなくシリーズ屈指の名作と言える。
そして、ラストの展開も圧巻です。「革命を成し遂げた後に何が待つのか」「ランスとシィルの関係はどうなるのか」「ヘルマン帝国の未来はどうなるのか」――物語は単なる革命の成功で終わらず、プレイヤーに強い余韻を残す結末へと到達します。特に、エンディングのシーラの決意や、ランスが見せる「ある行動」は、シリーズファンなら涙を禁じ得ない名シーンです。
総じて、「ランスIX -ヘルマン革命-」は、シミュレーションRPGとしての完成度、重厚なシナリオ、魅力的なキャラクター、そしてシリーズ特有のコメディ要素が絶妙に融合した傑作です。特に、ランスシリーズを追い続けてきたプレイヤーにとっては、「革命を成功させる」という目標に向けて熱く燃え上がる展開や、パットンの復活劇、ランスとシィルの関係性など、涙腺を刺激されるシーンが数多くあります。
「ただのエロゲ」「ただのバカゲー」とは到底呼べない、骨太な英雄譚と革命劇を体験できる本作は、まさにランスシリーズ屈指の名作と言えるでしょう。ランスシリーズの中でも特に「熱さ」「燃え」「感動」を求めるプレイヤーにとって、間違いなく忘れられない一作となるかも。
革命の果てに待つ結末を、ぜひ自分の目で見届けてください。
「ランスIX -ヘルマン革命-」は、間違いなくシリーズのターニングポイントとなる傑作です。