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leonidaskunさんの未来ノスタルジアの長文感想

ユーザー
leonidaskun
ゲーム
未来ノスタルジア
ブランド
Purple software
得点
89
参照数
5600

一言コメント

未来も過去も愛してる。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

未来ノスタルジアをコンプリートしましたので感想を書きたいと思います。
前半は私のブログからの引用、後半はネタバレありの感想になります。





未来ノスタルジア、コンプリートしました!
2月の名作ラッシュもすごいと思いましたが
5月あたりから買うゲーム買うゲーム名作で自分でも驚いています。

プレイ時間は・・・50時間くらいでしょうか?(内体験版9時間程度)
杏奈以外の個別ルートは6時間程度なんですが
グランド杏奈TRUEルートが余裕で10時間以上かかりますので
こんなプレイ時間にw
にもかかわらず連日の夜更かしプレイでなんとか7日でコンプできました。
睡眠時間を惜しんで一気にプレイすることができるゲームは
それだけでも良い作品だと言えるかもしれません。

杏奈ルートにはロックがかかっており、
他4ヒロインクリア後に「はじめから」でルート開始です。
僕はヒナ→ノノ→詩→伊織→杏奈の順でプレイしましたが
特に順番は気にしなくていいと思います。
個人的には上記の順番で詩と伊織を逆に
プレイしていても面白かったんじゃないかと思っています。

みらノスは1週間延期して9/2発売だったわけですが
これを8月発売だと考えると
個人的には5月から毎月のように名作に巡り逢っております。



それではコンプ後感想に参ります。ベタ褒め記事がハジマルー



まず初めに言いたいのは「いおりんとんがりすぎヌイタ」です。
杏奈さんも相当なんですがいおりんがすごすぎて
霞んでしまうというかなんというか・・・
まさかあの体験版の杏奈さんおっぱいを軽く超えてくるとはね・・・
井村屋ほのかさんの低めの声とちょっと棒な感じのあえぎ声が
これまた脳天直撃(死語)すぎました。

それでは順に感想を。



<CG>

これはもう言うまでもなく素晴らしいです。
美しくてエロい。完璧じゃないか!
原画は克さんが杏奈伊織詩かなた他男性陣、
sikiさんがノノヒナ雫担当(だと思う)です。
ちなみに1枚絵は差分無しで127枚。
SD絵無しでこの枚数というのはなかなか多いんじゃないかと思います。

特に克さんが描く1枚絵は、表情が本当に素晴らしくて
感動的なシーンは上から、エロいシーンは下からおつゆがでました。
何が良いって我らが主人公陽一君の表情もすごくアツイんですよね。
あと男なのに指がめちゃくちゃエロいw
局部カットインも◎

体験版の感想でも言いましたが
立ち絵ポーズのパターンが1キャラ基本6種類、
腕の位置なども含めるとさらに増える・・・というほど
立ち絵が素晴らしいです。後姿や振り向き立ち絵が特にいいですね。
あとかなたさんの驚いたときのポーズも大好きです。
(サブキャラも基本3パターンのポーズがあるという・・・気合入りまくり)



<シナリオ/キャラ>

鏡遊さんのテキストがやはり光りますね。
とにかくテンポが良いです。
日常パートでのキャラの掛け合いは本当に素晴らしくて
ずっとニヤニヤしてしまいます。
特に良い仕事をしているのがかなた、トーヤのいじられサブキャラタッグ。
目まぐるしく変わるいじり/いじられの中でこの二人だけは
最後まで完璧ないじられを貫いていて非常にすがすがしかったです。
詳細はキャラ別で後述します。
全てのキャラの役どころと軽快なテキストが
このゲームの良さをさらに引き立てていると思います。

各個別ルートを杏奈ルートで補完していく構成も大変良かったです。
ヒナノノがらみでは、たった一行のテキストで
頭を思い切りぶん殴られたような衝撃でしたしね。
あの表現は反則だわ・・・

エッチシーンのテキストのエロさがちょっと控えめだったのは
良かったような悪かったような。
いおりんなんかはあのエロ控えめなテキストだったからこそ
輝いたとも言えますしね。
(控えめなテキストに井村屋さんの演技がめちゃめちゃ合ってるんですよ!)

このゲームの雰囲気で淫語連発というのもアレですが
ここはいっそカミカゼのようなテキストだったら
それはそれで枯れクマになっていたかもしれません。
CGが強烈にエロいですからね。
(この控えめなテキストでも枯れクマ寸前まで追い込まれたなんて言えない・・・)



ではここからキャラ別に。



ヒナさん。
メガネ担当。選択肢によっては無しも可能なクール妹。
2回目3回目のえっちシーンがエロすぎるんだよなぁ。
シナリオ的には王道なのですが、クールな言動とは裏腹に
人一倍強い陽一君への想いがきちんときめこまやかに表現されていたのが
すごく良かったです。
我慢してるんだけど抑え切れなくなってしまうヒナさんは本当に見もの。

あと結構重要なのがヒナルートではみんな大好きかなたさんが大活躍する点です。
かなたさんのちょっとだけスケベェな一枚絵もあるから期待して良いんだよ!



ノノさん。
元気なはらへりボクっ子妹。柚木かなめさんの演技が本当に良いです。
日常パートでのヒナ陽一君を交えた掛け合いも素晴らしいです。ニヤニヤ止まんねw
2回目のえっちシーンのおしりに飛び込みたい。
あ、3回目のアレもやばかったんだった・・・シュッシュッ
シナリオ的には終盤の展開が目まぐるしいです。
ただ、若干陽一君がヘタレな感じになるのであれを長々と続けられても
ちょっとダレると思います。結果的にはあの展開で良かったんじゃないかと。

個人的には元気な妹キャラは大好きなのでノノさんもかなりのお気に入りです。
でもこのゲームにはそんな属性だけでは到底太刀打ちできない
強キャラが二人も待ち構えているんですよね・・・ウウム



詩さん。
このゲームのキーパーソンその1。
非常に重要な役どころです。
あと小さいのにめちゃくちゃ尖ってるんですよね。
初めて一枚絵が表示されたときはちょっと目を疑いましたw

勉強も運動も家事もできない詩さんだけどなんか愛されキャラという
役どころがバッチリで、テキストやモモーイさんの演技の良さもあって
嫌味なくそれが読み手に伝わってくるのがすごいと思いました。
状況によってはいじりにもいじられにも対応できる万能さも◎
「もしかして私バカにされてる・・・」のときの表情がめっちゃ好き。



いおりん。
このゲームのキーパーソンその2。
いおりんいなけりゃ何も始まらない。
すでに何度も書きましたが井村屋ほのかさんの低音ボイスが素晴らしすぎです。
そして分かっちゃいたけどデレだしてからの破壊力がもはやどうしようもない。
これに勝てる人とかいるの?マジで・・・

このゲームにおいて伊織の役どころはちょっと変わっていまして、
そもそもこういうストーリー展開自体がめずらしいわけですが
その特殊な状況でもきっちり話がまとまって
噛み合っていたのはすごいと思いました。
いおりん、詩さん、杏奈の設定は今作のキモ。
そしてそこがおそろしくかっちりハマっていることが
このゲームが名作であることの大きな要因です。



杏奈さん。
時を駆けるおっぱい。
杏奈さんについては・・・もはや本編をやってくださいとしかw
何書いてもネタバレになってしまいます。
TRUEルート開始時の彼女の決意がどれほど固いものだったのかが
明かされるシーンは激ヤバすぎてキーボード叩いてる今も涙でそう。



ここからサブキャラです。侮ってはいけませんよ。



かなたさん。
このゲーム最強のいじられキャラ。いじられすぎてレイプ目。
(今作でレイプ目があるのはこのキャラだけですw)
このゲームの面白さを陰で支えている超重要キャラです。
もう何もかも大好き。
「魅力的なのに攻略不可」POVには全力でSSSを付けたいですね。
子供の頃に主人公にスカートめくられすぎて
めくるのを阻止するのではなく必死で可愛い下着を選ぶようになったという
エピソードとか最高すぎるだろw



努力の方向性はおかしいですがw

このゲームFD出るのかな・・・かなたん攻略したいけどしたくない。
そんな矛盾した気持ちをどう処理すればいいのやら・・・



雫姉さん。
最強の学生会会長。千里眼。スッゲェー見える。
雫姉さんも、まさにここしかないという的確な役どころ&設定で
このゲームを陰から支える柱の一人。
お笑い/シリアス両面で活躍できる万能キャラ。おわん型おっぱいもエロい。



トーヤくん。
ナンパ成功率0パーセント、夢見る妄想王子。いじられ二神の一人。
彼さえいればオチは心配なし、かなたんや詩さんにさえもいじられる
全方位型万能いじられキャラ。一家に一台欲しいところ。
密かに中の人の演技が名演なのもポイント高し。



映さん。
詩さんの頼れる兄貴。でも普段はフルボッコにされてるいじられキャラ。
でも彼がいなかったらいろいろと話が進まないのでやっぱり重要なんです。
シリアスパートを平然とこなしてしまうあたりもすごいです。
ちょっとヘラヘラした感じをうまく演じている中澤アユムさんも最高です。



ハルさん。
いおりんのお母さん。エロ杉わろたwww
いおりんルートはもちろん、杏奈さんルートでの彼女の活躍も注目です。
おっとりしているひとが決壊する瞬間はやはり鳥肌な訳で。
あらあらうふふ。



クロさん。
猫。声が激渋。
杏奈ルートではおいお前主役だろwwwってくらいの大活躍。
3%ほどの萌え要素があるところがこのキャラの魅力を一層引き立てております。
首輪が数珠というキャラデザも素晴らしいですね。
意外と表情差分が多いあたり(立ち絵ポーズも2パターンあるし)
スタッフの愛が伝わってきます。



陽一君。
我らが超能力主人公陽一君。突っ込み担当。
特技は見えている地雷を踏みにいくこと。
日常パートでのいおりんとのやりとりが素晴らしいです。
あと手つきがめちゃいやらしいw

こういうエロゲにしては珍しく主人公の顔が頻繁に表示されるんですが
ちょっとショタっぽいところがなんかいいんですよね。
克さんがエッチなシーンでの主人公の表情にも全く手を抜いていないので
どこか成コミ的なエロさがありますね。

杏奈ルートでの陽一君のかっこよさには男の僕でも惚れざるを得ない。



<BGM>
OP曲は明るい雰囲気ですがどこか切ない感じがある良曲です。
「未来ノスタルジア」と直球のタイトルをつけているところからも
スタッフの自信が読み取れます。

ED曲はしっとりしているけど力強いバラード。
初めて聴いたときは浜崎あゆみかと思いましたw
何度も聴くとさらに良くなってくるスルメ曲ですね。

BGMもどれもステキです。
個人的には日常曲の「smile so bright」とはなればなれ亭のテーマがオススメ。
どちらもポップで可愛い曲です。

タイトル画面&エピローグで流れる未来ノスタルジアのインストVerも
かっこよくて耳に残りますね。
そして満を持して杏奈ルートで流れる
「I wish for…」の破壊力といったらもう・・・

あと異常にやる気に満ち溢れた杏奈さんのテーマ曲も
最初は面食らいましたがだんだん好きになってきましたw



<システム>
システム面については体験版の感想にてたっぷり書きましたので
そちらを参照ください。
ぶっちゃけこういうゲームのシステムとしてはパーフェクトです。
ADVシステムの完成系と言ってよいでしょう。

体験版で触れられなかった点をふたつだけ。

ひとつめ。
中断セーブがめちゃくちゃ使いやすいです。
次にゲームを始めたときに注意書きやタイトル画面を全部すっ飛ばして
ゲームをロードしてくれるのがこれほど快適だとは思いませんでした。
この機能は全てのADVに導入して欲しいですね。超優秀。

ふたつめ。
タイトル画面放置で本編未収録のミニドラマが始まる点。
普段あまり出てこないような掛け合いも見られるのですごくお得な気持ちに。
ヒナとかなたの「豆腐と納豆の話」は大変勉強になりました。
ざっと調べた感じでは8パターンあると思います。
 ↑
9/11 19:04訂正
公式HPのFAQによると全部で9パターンのようです。失礼しました。


あ、あとちょっと気になったのは
「一部の個別ルートでは共通ルートほど立ち絵が動かない」ことです。
共通やノノ、詩ルートでは1ワードで立ち絵が変わることも多かったのですが
その他のルートでは1ワード1差分という状態でした。
別にゲーム上なんら問題はないのですが
あれだけくるくる動いていたのが少なくなってしまうと
ちょっと物足りなくなってしまったり。いや、贅沢な話なんですけどね。



以上、長くなりましたがコンプ直後の正直な感想です。
これを機に鏡遊さんの別ゲーもプレイしていきたいなーと思いました。

個人的には今年発売のゲームで3番目に面白いと思ったゲームです。
(1位2位はeuphoriaといろセカ。このふたつはまだ甲乙を付けかねています)
初回版なくなる前にゲットすれば良いじゃない!
ちなみに初回版には40Pオーバーのブックレットがついていて
そこにも杏奈さんのスケベェな絵が・・・


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ここから先はネタバレを含む感想になります。未プレイの方はご注意ください。



実は意外と杏奈ルートのエピローグ部分を理解するのは難しいのではないかと思っています。

杏奈卒業
 ↓
杏奈は消滅してしまうがその前に未来の杏奈(陽一と出会う前)と接触し
陽一との学生時代の記憶を引き継ぐ
 ↓
年月を経て陽一の記憶を持つ杏奈と再会を果たす

時系列で事実を挙げるだけなら上記のとおりだと思いますが、
杏奈消滅後の陽一の学生生活はどうなったのか、伊織のチカラ暴走をどう抑えたのか、
という点が明示されていないため、理解するためには憶測を交えた考察が必要になってきます。

しかしこれらの点が明示されていないことは決して悪いことではなく
むしろ流れを途切れさせることなくゲームを完結させるために必要なことだったと僕は考えています。
エピローグで上記について言及すればやはりどうしてもテンポが悪くなってしまうでしょうし、
「未来図Inst Ver.」の流れる中、全ての始まりの場所である桜並木で再会するシーンを
象徴的に表現することはできなかったと思われます。
この英断をしたスタッフさん(ディレクターさん?)には感謝してもしきれませんね。



とはいえやはり考察の必要性があるのは間違いことなので
特に深く考えたわけでもない(おいばかw)僕の意見を少しだけ・・・

まず杏奈消滅後の陽一ですが、学生生活自体は最後まで送ったと思います。
杏奈の願いのは「陽一が幸せに暮らせること」であったので
学生生活を最後まで幸せに全うできなければ杏奈が命を懸けた意味が失われてしまいますので。
卒業後の生活も幼馴染や妹たちと良好な関係を保ちながら
ある程度幸せに過ごしたのではないでしょうか。
(最愛の杏奈が側にいないので最上の幸せとは決して言えない)

ただ、伊織や詩と恋仲になることはなかったと思われます。
全てをなげうって過去へタイムスリップしてきた杏奈の強い決意と愛を
陽一はちゃんとわかっていると思いますし、
陽一自身もいつか杏奈と逢うことを切望/確信していたはずですから。
展開的には杏奈ルート未来編の詩のようなエピソードが
伊織にもあったと考えると納得できるかもしれません。

上述したとおり伊織とは恋仲にならなかったと仮定すると
伊織の陽一に対する愛(感情の高まり)がある程度抑えられるわけですから
暴走自体も抑えられたと推察できます。
もちろん伊織自身もチカラの制御に関しては努力を重ねたことでしょう。

以上、ごく簡単な推察(というには憚られる私的妄想)でした。おっぱいおっぱい。



小難しい考察から入ってしまいましたがみらノスのいいところは
とにかくストレートに胸に響くシナリオ展開だと思います。

杏奈ルートでの未来編への入り方終わり方、本編へ戻ってきたときのつながりは
文句の言いようもなくただひたすら涙しました。
未来編9日目の待ち人来たりてはこれまでのシナリオ全てが一気に押し寄せてきて
どうしようもなく鼻の奥がツンとしてつらかったものです。
「だったら……この気持ちも、隠しててよ……」は反則過ぎます・・・
これがあったからこそ杏奈ルート開始時の演出も生きてくるわけで。
この辺の構成の上手さもみらノスの大きな魅力です。

ちょっとうろ覚えではあるのですが・・・
ヒナノノの各ルートで妹たちの陽一に対する隠された思いがいろいろと語られ
シナリオ進行するわけですが、これに対して杏奈ルートの陽一のモノローグで
しっかり伏線回収しているあたりも個人的にめちゃくちゃぐっと来てしまい、
ものすごく悶えたのを覚えています。あれはやばかった(現在必死で該当部分を捜索中w)



細かく書けば本当にきりがないのでこのあたりで。
今「I wish for...」を延々ループしていますがすごくやさしくて、
それでいて元気付けられる素晴らしいBGMですね。あ、また目汗が・・・

ここまで長文を読んでくださった方、ありがとうございました。