「全力で人間になってみたいの」
滅び朽ちる世界に追憶の花束を コンプリートしたので感想を書きます。
私のブログからの引用になります。
滅び朽ちる世界に追憶の花束を をコンプリートしました。
プレイ時間は35時間程度。
選択肢は一切ないですが、以下に記すような章構成のため
プレイする順番でかなり印象が変わってくるかもしれません。
僕は
innocent →circular →melancholy →lost
→abandoned →vivid →dear →forever
の順番でプレイしました。
特に推奨順みたいなものはなさそうなので自分の感性で選べばええんや。
まずプロローグがあり、そこから8つのシナリオを任意で選択していきます。
全てのシナリオを読むことでわかるパスワードを最終的に入力することで
エピローグをプレイすることが出来ます。
各シナリオはこれもまた8章に分かれており、
各章クリアごとにrememberance modeというものに切り変わります。
これはその章のサブシナリオ的な意味合いを持っていて、
同じ時系列で違うキャラクターの主観での話や補足説明など
さまざまな要素が盛り込まれています。
これが物語の完成度を高める重要な要因となっており、
印象的なノイズ音の混じったBGMとも合わさって非常に素敵です。
カーソルを合わせるとサブシナリオのタイトルが表示される点も◎
だんだんタイトルから「察する」ようになってきている自分が
楽しくなってきますねw
ではここからは僕のお気に入りのシナリオについて簡単な感想を。
公式で公開されている程度のあらすじは記載する予定です。
(この公式サイトのあらすじ紹介も本当に秀逸なんだよなぁ)
<forever>
イメージは薔薇
時系列としては最初に来るべき物語なのですが
何の因果か僕がプレイしたのは一番最後でした。
foreverっていう字面がなんか最後っぽいやん?
小説ではしばしば見かけますが、
ギャルゲやエロゲではなかなかでてこない設定の主人公が目を惹きます。
どういう設定なのかは実際にプレイしてみてくれれば・・・
僕は前知識0でのプレイだったのでかなり印象的でした。
最初に記したとおり、この話よりも未来のシナリオを先にプレイしていたのですが
逆にそのことがあったおかげでより一層この話が好きになった気がします。
凄絶な緋依さんの生き様、決して忘れるんじゃないぞ。
あと、決して20cmに届かない薔薇の話はかなり印象的でした。
<abandoned>
イメージは向日葵
ロリコンのおじさん2人がやいのやいの言いながら
子供たちに夢を見せるお話です。
家族を失ったって、路上生活になったってまだ生きているんだ。
なぜかわからないけどブルーの声は僕の脳内で完全再現されていて
キャラへの感情移入が一番大きかったのがこのシナリオだったかもしれません。
<b>大人たちの成長物語</b>という意味では
なかなか貴重な作品と言えるかもしれません。
ブルーさんの壮絶な最期、しかと胸に刻めよ。
<vivid>
イメージは彼岸花
他のシナリオとは少し違った雰囲気で始まるこの章。
8つのシナリオの中で一番尖った話がこれなのかもしれません。
序盤からいきなりクライマックス状態のシナリオや、
メインキャラ二人の、「人間として致命的にずれてしまっている部分」
の表現は非常に印象深いです。
友達とは一体何なのか。
どれだけ変わってしまっても、
芯の部分は決して揺るがない紅さんの姿、その目に焼き付けろ。
<dear>
イメージは蒲公英
まごうことなきSFの世界。
このゲーム自体が全て未来のお話なわけですが
この物語は特にそれが顕著です。
といっても透明のパイプの中を宙に浮いた車が走っているわけでなく
<b>どうしようもないくらい終わってしまった世界</b>が舞台となっています。
春くんの笑顔の裏に隠された並々ならぬ決意には
声を上げそうなほど心揺さぶられました。
自分の役割に気づいた未黄さんの姿に、やはり僕たちは惹きつけられる。
次はグラフィック。
淡い色使いと豊富な表情差分で見ていて全く飽きないです。
笑顔が・・・笑顔が良いんだよこのゲーム。
♂キャラも♀キャラもどうしようもなく輝いてます。
心のうちではいろいろな思惑が渦巻いていたとしても
笑顔の時だけは・・・純粋な気持ちが少しはある気がします。
特に緋依さんの終盤の怒った顔、全てを受け入れた切ない笑顔
どれもこれもが印象的でした。あとブルーさんもね。
次にBGM。
これはプレイ済みの方が口をそろえて言っていることなのですが
本当にBGMが印象的で耳に、心に、脳に残ります。
各章のタイトルを冠したBGMがここぞというところで流れるわけですが
どれもこれもが「立ち向かう勇気の歌」であり、
読む者の心にも熱い火を灯していきます。
個人的にはプロローグの最後で流れる
「Welcome to The World End」が大好きです。
ああ^~スネアの音かっこよすぎるんじゃ^~
最後にシステム面。
演出のため、UIとしては少し使いにくい部分もあるのかもしれませんが
そんなことがどうでもよくなるくらいおしゃれでゲームにマッチしています。
個人的にすごく気に入っているのは文章を読み進めた時のSE。
ちょっと文章で表現するのは難しい音なんですが、かなりお気に入りです。
キャラクターが逡巡したり、重要な場面では音が変わったり
テキスト表示がゆっくりになったりする演出も細かいことだけど
効果的に働いていました。ワザマエ!
以上、少し長くなりましたが簡単な感想でした。
フォロワーさんからのお勧めで購入した滅花ですが、
いざプレイしてみるとこれまでやってきたノベルゲームの中でも
トップクラスにお気に入りの作品となってしまいました。
しかもいま、実はめっちゃ再プレイしたいんですよ。
最初はそれぞれが別々のオムニバス作品だと思っていたから
漠然と読んでいたところがあったんです。
でも3つくらいシナリオ進めてみたところで「ん?待てよ・・・」と。
そこからは各シナリオの関連性を見つけるのが
楽しくて楽しくてたまりませんでした。
考察できる点ももちろんたくさんありますが
それ以上に「シナリオXでキャラクターAがこういう行動をとったのは
シナリオYでキャラBの影響を受けたからなんだろうなぁ」みたいなのを
探すのがめちゃ熱い作品ですね。
文句なしにオススメできる素晴らしいゲームです。
たぶん今でも公式でDLできるはず(900円)なので
興味がある人もない人も買ってプレイしよう(提案)