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leonidaskunさんの魔法使いの夜 -WITCH ON THE HOLY NIGHT-の長文感想

ユーザー
leonidaskun
ゲーム
魔法使いの夜 -WITCH ON THE HOLY NIGHT-
ブランド
TYPE-MOON
得点
97
参照数
2748

一言コメント

「山ではよくあること」

長文感想

魔法使いの夜の感想を書きます。
私のブログ記事からの引用です。ネタバレはありません。



クロチャンリスペクトとはたまげたなぁ

魔法使いの夜、コンプリートしました!
プレイ時間は番外編含めて23時間。
CG枚数は差分含まずで277枚(!?)
BGM数56(EDテーマ含まず)、Hシーンなし。

過去作のプレイ状況は以下の通りです。
Fate 無印未プレイ、レアルタコンプ、ホロウ未プレイ
月姫 アルクェイドルートのみクリア
空の境界 ノベル読了済み
Fate/zero 未読

魔術と魔法の違いとか、とあるキャラの話なども含めて
Fateとらっきょはプレイ&読んでおくといいかもしれません。
知識/zeroでもいけないことはないですがw

アーカイヴという形式でセーブをしていなくても
それぞれのチャプターから始められるのがすごくいい感じ。
再プレイしやすくてステキです。
また、サブシナリオ、補完的なストーリーも
章を進めるごとにアーカイヴ内に追加されていきます。
僕は出てきたらすぐ読むようにしていましたが
まず本編をクリアして後から読むのもありといえばありかもしれません。



以下、感想です。ネタバレはありません。



まず最初に言いたいのは
「2年近く延期したことなどすべて吹き飛んでしまう程の恐ろしいクオリティだった」
ということでしょうか。
某RPGのキャッチコピーをもじるなら
<b>「すべてのノベルゲームを過去にする」</b>作品だと思います。

きのこる先生のシナリオ、こやまさんのCGはもちろん一級品なのですが
このゲーム最大の特徴はやはり演出です。とんでもねぇよ、これ。
僕はしがないいちユーザーなので素人目に「すげぇすげぇ」としか言えないですが
これたぶん、業界の人は心折れるんじゃないでしょうか?
ここまで作りこむのにいったいどれほどの時間と金が必要なのか・・・
そしてスタッフさんのあふれるセンスと一切の妥協をしない強い信念を感じました。
BGM担当の方とスクリプト担当のつくりものじさんこそ
まほよクリエイター陣のMVPだと思います。

5章、12章の演出とかもう震えすぎて「僕もうこわれちゃうかも」状態でした。
泣きすぎてゲロ吐いちゃうかと思いましたし。



ではシナリオ、演出&BGM、キャラクター、システムに分けて感想を。

まずシナリオ面ですがFateに比べるとかなり短いので
最後まで一気にいけると思います。
個人的にFateは盛り上がりどころにいたるまでの過程が
ちょっと長すぎると思っているので、
まほよの凝縮されたスピード感は非常に良かったと思います。
UBWクリアしたあと疲れてしまって、HFクリアまで1年放置してしまいましたしね。
今ではHFがFateで一番気に入ってるシナリオなので
放置していたことを大変後悔したものですがw

基本的にはわかりやすいシナリオなのですが
13章は結構意味深でよく読みこまないと意味が
わからない点が出てくるかもしれません。
本編で出てきたものに関してはすべてきっちり回収されていると思います。
個人的には1点だけはっきりとわかっていないことがあるのですが
そこはもう一度読み返せばわかるんじゃないかと。
ちゃんと言及はされていたと思うので。

本編クリア後に出てくるADVパートもかなり良い出来で
ギャグとパロディを交えつつ、本編の内容をしっかりと補完しています。
なにより金鹿ちゃんがかわいかった(小学生並みの感想)



次に何度もすげぇすげぇと言っている演出について。
まず立ち絵というか、なんかもういろいろぐりんぐりん動きます。
動くといってもやたらめったらせわしなく動くわけではなくて
緩急とメリハリがありますし、なにより「間」の取り方が絶妙。

んで、この「間」を効果的に表しているのがBGMのボリュームです。
まほよはボイスのないゲームなのでいわゆる「心の声」と
実際に声に出してしゃべっている台詞を判断する材料が
比較的少ないわけですが、そこをBGM音量を意図的にしぼることで
うまく表しているんですね。(全部が全部そういうわけではないですが)
バトルシーンとか特にすごいです。

音楽のライブとかでもブレイクからのたたみかけ
(曲がいったん停止してそのあとぐわっとくるアレ)
は非常に盛り上がりますが、
あれに近い効果を生み出していてすごくいい感じです。
読んでいるこちらもめちゃめちゃテンションあがるというかのめりこむというか。

あとはマトリックスなどで使われている「スローモーション」の活用が
シンプルではありますが非常に効果的に働いています。
でもこれも通常のADVならそれほど効果はないのかもしれません。
ここまで「絵が動く」まほよだからこそ、攻撃をかわした瞬間
あおこさんがスローで画面を動いていく様子が様になるのかもしれません。

あとは単純に一枚絵、立ち絵の数が豊富なので
使いまわししている雰囲気がほとんどないのがすごいです。
一番最初に記述したとおり、
プレイ時間に対してCG枚数およびBGM数が異常に多いですからね。
この予算を度外視した素材の多さはリトルウィッチの白詰草話を思い出します。

あとはそもそも根本的なことですがBGM自体が最高にかっこいいです。
草十郎さんの例のシーンでかかる「決着/turbulence overdrive」とか
テンション上がりすぎてあたまがおかしくなってしぬ。



次はキャラクター。

正直全員優勝なわけですが、やはり草十郎さんの素朴さが一番でしょうかw
何より立ち絵で一番かわいいの彼なんじゃないの?www
青子さんのマジキチスマイルや拗ね顔もステキですが、草の人には及びません。
草十郎さんが出てくる動画にはもれなく
「山ではよくあること」「山なら仕方ない」タグをつけたいですねw

青子さん有珠さんもクールなキャラの割りに表情差分がコミカルで
そのギャップにもだえてしまいます。ドン引き有珠さんかわいすぎた。

サブキャラ陣も魅力的なキャラばかりで素晴らしいです。
金鹿さんとか本編での登場シーンが少なかったのですが
そこは番外編シナリオで大活躍で大満足。
意外と芳介さんもいいキャラでお気に入りだったり。

発売前から話題になっていたことで言えば、ボイスがないことですが
この点に関しては全く問題ありません。
前述したとおりBGMを効果的に使った演出が多いため
ボイスがあると逆に雰囲気やスピード感を壊すことになっていたかもしれません。
個人的にはボイスがあるゲームの方が好きですし、
ボイスをきっちりと堪能するタイプなのですが
ことまほよに関してはないほうが良かったと言って良いかもです。
熱い台詞は全部自分の好きな声で脳内再生すればええねんw



最後にシステムに関して。
最初に述べたとおりアーカイヴのおかげで
好きな場面から再プレイできるのが素晴らしいです。
5章とか何度でもやり直したくなりますし。

ゲームに関しても基本的なコンフィグ設定は揃っているので問題なし。
キーボードショートカットも完備しているので安心。

テキスト表示はデフォルト以外だと演出がカットされるとのことですが
基本的には1ワードで立ち絵が変わるときくらいしか気になりませんでした。
(最速表示だと差分がパパッと切りかわっちゃうので)
僕はテキスト表示最速にしてのプレイでしたが、
演出は待っていればちゃんと最後まで表示されるので問題ありません。
この辺を「文章は読んだから」とカチカチクリックしてしまっては
もったいないんじゃないかと思います。
草十郎さんのあのシーンとか特に。

特筆すべきはBGMモードで、曲を再生するとそのBGMに合わせた場面の
CGがスライド表示されるんですよね。なんという作業妨害ツールw
ゲームをクリアしていなくてもBGMモードは起動できますが
もちろんまだ見ていないCGは表示されません。
細かい配慮ありがてぇありがてぇ。
この記事書いている途中もずっとサウンドモード起動中です。

あと、当然ながらED曲「星が瞬くこんな夜に」のクオリティは激ヤバ。
CD音源とはまた違うので是非自力でコンプして聴いてみてください。
泣いたよ、マジで。



ふー、こんなところでしょうか。

少し長くなりましたがコンプ直後の正直な感想です。
もうとにかくおもしろかった。
発売日から今日まで毎日の睡眠時間が4時間前後になっていますがキニシナイ!
睡眠時間をガリガリ削ってでも早く最後まで読みきりたいと思える
素晴らしい作品でした。文句なしにオススメです。

5/9にサントラが出るみたいですが、当然の如く購入確定。
早くiPodにぶち込んで聴きまくりたいです。