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lein2709さんの遥かなるニライカナイの長文感想

ユーザー
lein2709
ゲーム
遥かなるニライカナイ
ブランド
Navel
得点
75
参照数
541

一言コメント

ヒロインとのボーイミーツガールものと考えれば…!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

初Navel&神話や伝承系の話に頭が回らない人の感想として見て欲しい、というか気を悪くしないで…笑

もろもろのポイントから

〇海咲は終始めちゃめちゃいい女
最初からノリがよくて、漫才からいちゃらぶまでなんでもできる。
表情がコロコロ変わるのも可愛いし、
人の気持ちを考えて、好きな人の幸せを願うことができる。
最初から最後まで彼女に対する好感度はマックスだった。
とくに好き好きモードに入ってからの付き合うまでの
お互いの想いが揺れている感じは
もどかしさと甘酸っぱさがあってわくわくした。

〇ジャンルのわりに話は分かりやすい
細かいところはごちゃごちゃしてるんだけど、
要すると島の自警団を担う、元国王の一族が
島を狙う脅威とドンパチするだけの話なので、
そこにセジという異能が絡んでくるし、
その力の根源みたいな話になるのが少し厄介だったけど…

〇ニライカナイを探しにきた彼女との恋が実っていく過程
純粋なボーイミーツガールものとしてはそこそこ良かった
あるかわからないニライカナイという桃源郷を探すのではなく、
好きな人の近くでそれを見出すことで幸せになれるんだと気づくまでの過程だったり、
「カナサン」とか「まくとぅそーけーなんくるないさ」とか
沖縄の有名な方言がそのまま二人の未来へのメッセージになっているのはいいなと思った。

ここからバッドポイント。
〇全体的に登場人物が好きになれなかった。
海咲と富里くらい、心から好きだと言えるのは。
なんかね、感情が一直線すぎるのよ、どの人も
脊髄反射で敵味方を判断して、とびかかるような感じ。
人間って基本的に迷う生き物だと思ってて、
そういう迷いとか、何を考えているのか分からない部分を楽しむのが、
こういったゲームの面白さであり、感動を生む部分なんだろうけど、
何かそういう情緒が全然なかった。
イチトくんと零は自分が特別な力を持っていることに対する危機意識が低いうえに、
すぐ切れるし、何が天命じゃって結構イライラさせられた。
あとやたら「頼れ頼れ」いうけど、自分から差しのべることを一切しないのが気になった。
他人の心を信頼しているってことなのかもしれないけど、
国王って設定も相まって凄く上からに感じた。
極めつけは零の最後の行動は絶許でしょう。
なんでこんな最後の最後に無駄にヘイトを買うようなシナリオにしたのか…
シーサーズも最初は面白かったんだけど、同じようなやり取りばかりだし、
明らかにイチトが止めてくれることを前提にして離反したり、
自警団から去ろうとしたり、なんかわざとらしいしあざとい。
ここがいまいち入り込めなかった一番の理由だと思う。

〇クライマックス部分のパワープレイ
高平との決戦の部分
全体的に伏線を回収しつつ打ち勝つべき場面なのに、
「いままで言っていなかったが実はイチトには、高平にはこうこうこういう力があったのだ」
みたいなただ裏返したままのカードをめくるような展開が多すぎる…
ミサンガの話とかしらねーよ…
どっかでせめて意味深に出していてくれればおーってなれるのに…

〇FD前提の未回収のままの部分
基本的に海咲との純愛物語として、本作はそこそこ評価しているので、
きっちり父親の問題を片付けて、海咲の心にも決着をつけて欲しかった。
あと、高平以外の敵とか詩呼の両親とか
設定だけ作ってぶん投げたのかなって部分も結構ある。
FDなり続編なりを作る気満々なのかな…
別にそれ自体が悪いとは思わないけど、一つの作品として読ませてもよかったのかなと思う。

<全体として>
海咲が可愛かったのと、ミドルの長さだったのでなんとか保てたというのが正直なところ。
他キャラが致命的に合わなかった。
あと予期してたことだけど、普段使わない語彙が多くて非常にやってて疲れた…
ただそれでも立ち絵をはじめとして
このブランドならではのかわいらしさやテンポの良いギャグ感の良さは伝わったので、
同ブランドの違う作品にトライしてみたいなという気持ちにはさせられた。
FD出そうだけど…どうしようかな笑

基礎点 37/50
熱中度 21/30
シナリオ音楽等 12/15
補正得点 5/5