リアリティ溢れる街並みで繰り広げられるSF(すこしふしぎ)なヒューマンドラマ
ヒマワリが個人的にトゥルー以外ハマらなかったので、不安だったけど
結果的にやってよかったなと感じた作品。
・なんといっても背景描写がリアルで美しい
とことんなまでに解像度が高く、キャラクター同士のドラマへの没入感がやばかった。
こんな風にして青春を駆け抜けてみたいなって気分にもさせてくれるし、
こんな美人で性格がよくてえっちな子とねんごろになりたいなと本気で思わせられるような没入感。
これだけでも本作の随一の魅力といえると思う。
・ご都合主義少な目のリアルな恋愛観
元カノがわらわら出てくるし、そこでも結局くっついたり別れたり、
些細なきっかけですれ違って、何とか分かり合って、でも結局すり合わせて別れたり。
一般的なえろげの対極をいくような感じ。
ずっと一緒でラブラブって感じではなくて、血の通った等身大の女の子と付き合ってるような感覚だった。
(ただしすんげーもてる、リア充ではある、そこがご都合主義といえばそうだと思う)
・Rシーンの描写
これもすごかった。これも一般的なえろげみたく、かわいらしさや安易な乳のでかさに頼らない
女体の美しさというべきか、何度もため息がでるようなクオリティだった。
とくに背中から尻にかけてのライン。身体の凹凸だったり、背中の脂肪のつき方だったりに
原画家さんの気合いと並々ならぬこだわりを感じた。
ブランド解散以降、この界隈とのつながりがないようであるが、
ぜひ資金力のあるブランドでこの方をメインに据えた作品を出してほしいと思った。
不満点はそこまでないのだけど、
とがった作品なので、人によって相性はあるってことと
(特に登場人物の恋愛観についていけないとつらいと思う)
後半が唐突にSFになるのでそこで面くらった部分はあるかなと思う。
あと個人的に理恵と優奈が一体型のエンドにはなってるんだけど、
この展開から優奈以外と付き合うビジョンが見えなかったので、
描き分けて欲しかったかなとは思う。
以下個別ルート感想
紗江子ルート 94点
人によって好みが分かれそうな展開
個人的にはすごくすきだった。いい意味でエロゲっぽくない
過去の恋愛についてお互いの足りなかった部分の答え合わせをして、
そのきっかけそのものが解けたとしても、
そこで相手のことを信じられなかったことはなかったことにならない。
そもそも過去のことに理由を求めている時点で、
お互いに引きずった気持ちがあって、今も過去のやり直しを心で求めている。
過去を過去のこととして割り切れてなんていない。
それにいつまでも縛られたままだったら、今よりを戻してもいい結果にはならない
だから、付き合わない。
お互いがちゃんと笑話にできて
なんで再会したときに付き合わなかったのかって後悔できるくらいになれたら、、
またそのときに付き合おう。
丁寧に丁寧に気持ちをすり合わせたうえで、少しだけ大人になった頭で
慎重に答えを二人で選んでいる感じが凄く素敵だと思った.
あと、紗江子の視点から、
恋愛が終わっても、そこでの日々ってのはずっと生きていて、
そこが自分を変えてくれた、力をくれたって実感してるのが
ある意味で凄く理想的な恋愛であり、人とのかかわりだなと思った。
終わり方もいい、思わず画面の前で拍手しちゃった。
酔ってたとはいえ、再会していきなり青〇以外はいいルートだったと思う。
あと、尻がでかくてえろかった…脱いだらすごいタイプだった
お嬢様だしいいもの食べてるんだろうなあ…
有華ルート 90点
主人公がドクズかと思ったけど、これは違う。
ヒロインも傷つけてるって意味はもちろんあれなんだけど、
これはすれ違ってるにあたるんじゃないかなと思った。
有華が優奈に似ているからこそ、
面影に宛てられて彼女に恋したんじゃないかって自意識が主人公にずっとあって
優奈の影を消そうとして、というか違う存在だと自分に納得できるように動いている姿が
結果的に誤解を生んでしまった、
さらに祭りの日の優奈のように「好きな人」がまた自分からいなくなるのが嫌だって
フラッシュバックが招いた「優奈」って発言がそれに追い打ちをかけたって感じかな。
それで有華と離れてみて、自分が恋しているのは、
自分ができなかった、確実な道ではなく、自分の夢を大切に追いかける姿を見せてくれた「有華」なんだって
気づいたんじゃないかな。
だから心はぶれてなくて、一貫して有華のことが好きなんだと思う。
このルートも結びが綺麗。
「いつか会える」そう心から思えるから、思いたい相手がいるから
今の小さな一歩を踏み出すことができる
そうやって共通でも出てきた「バタフライエフェクト」を回収するのが巧いなと思った。
親に反対されているって設定がどっかいっちゃったのと(別にここを深く書いてほしいと思わないけど)
有華が少し簡単に心を許しすぎかなって気もするけど、
まあそれだけに大きな存在なんだろうなって思う。
よく女は上書きっていうけど、本当に忘れられないものを引きずるのは女だと思うし。
あとは、エロかった。まんぐり返しっていうのかな?
あの体制の時の腹の脂肪のつき方が大変フェチでした。
えりなルート 77点
ここまでだとドラマ性は一番薄かったかな。
あえてこうしてる感じもした、あまりに境遇が不幸というか
重くするならいくらでも重くできるけどあえてそうしなかったって印象。
恋人というよりはまんま腐れ縁というような、あまり男女を感じさせない関係だね。、
小説やドラマみたいな奇跡もないし、
自分の力で未来を丸ごと切り開けるような強い人間なんて
ほとんどいない。
そのことを彼女や友人と母の死から学んだ。
みんなそういう風に上手くいかない日々を生きていて、
そういう世界に対して自分はここにいるんだって対峙するために
彼女の場合は音楽だし、何かしらを自分の武器として背負い込んで
なんとか自分でいられるようにしているんだろうね。
マカロニえんぴつの「ヤングアダルト」って曲が浮かんだ。
友人や母の死に対する認識の変化もよくて、何もできなかったことを嘆くのではなく、
自分は生きているのだということをより強く意識して、
その日々が二人みたいにいきなり終わってしまったとしても
後悔しないように、過ぎた人に想いを馳せるのではなく、
昔より未来よりも今大切にしたいって変わったんだろうね。
だからああいうエピローグになったんだろうなあ。
不幸であっても、自分の心次第では明日の風向きはかわるっていうのかな
架純ルート 85点
なんか突然終わっちゃった…
ルートの感触としては悪くないけど、この人本命で買った人とかだとつらいかも。
ここからの話に繋がる舞台装置をばら撒く役割のルートって感じかな。
おそらくだけど、架純の本懐は「理恵ともう一度くっつけること」
さらにこのルートで結ばれる彼女は本来の翔と理恵が昔から知っている架純じゃない別の女性。
ベタだけど思いつくのは未来人説とか??
未来に理恵とくっつかなかったことによって悲しい運命をたどることになった翔を助けるために
未来からやってきた人物。
科学教室って言葉が象徴的に使われていたから、SFちっくな話になっていきそう。
キャラとしては凄く良かった。個人的にこういうちょっとだらしないお姉さん大好物なので、
「私、頑張った…頑張ったよね」ってセリフが凄く好き。
年上として頼りがいのある姉的な立場として導きたいって気持ちと
目の前にいるこの男性に全てを捧げて、本来の意味とは違う存在として幸せになりたいっていう欲望が
葛藤してる感じがすごくいい。優しい人なんだろうなあ…
すごく魅力的なので、ちゃんと結ばれて添い遂げる「架純トゥルー」なるルートが欲しかったですね。
この先の展開次第で点数が変わるけど、十分にこの人の魅力というか、内から漏れるやさしさを感じたので
とりあえずこの点数。
事実上、優奈のベターエンドとしてこれがあるって感じだね。
優奈・理恵エンド 90点 86点
しっくり来ていない部分もあるけど、結構面白かった
根幹の部分を優奈というか架純が持っていくので、結果的に余った理恵を選んだ感じがあるのが、
たぶん一番の原因だと思う。
そこにたどり着くまでの過程は面白かったなあ…急にSFになって面食らったけど…
優奈とくっつく方がしっくりくるかな…正直。
理恵とくっつく世界線だとしても、なんというか優奈の存在や決断なしにそれを描けないというか、、
もちろんどの世界線にいても翔の一番近くにいる子であったのは事実だけどね。
2015年の時点で優奈が過去に行くことを阻止して、年の差カップルとして優奈と別れない日々が続いていくとなると
やっぱり優奈が有利かなという気もする。
結末としては優奈派だけど、両ヒロインとももちろん魅力的だった。
理恵について、架純が優奈なんだって知ったうえでの、優奈に対する想いと言動が印象的だった。
塩を送るような真似をしたくないけど、この世界で一人きりになってしまった彼女に
普通の日々を届けたいってやさしさを振りまきながら、
その人が恋敵でしかも全然かなわないって思うと…切ないよね。
優奈については、先輩と並んで歩きたいって想いからスワローテイルを使って、
結果として翔を悲しませてしまった。別の人格として自身を彼のそばに置きながら、心を痛めてきた。
理恵とくっついていくのを眺めるのはきっとどんなにつらかっただろう
印象に残っているのは2015年での別れのシーン
今自分が架純としてではあるけど、翔のそばにいられてはいるのに、それを捨てて、
少しでも可能性があるのならと、同級生でなく、先輩後輩として付き合い続ける、別れのない未来に投機する。
ふたつのエンドが一体になっているのは、絶対的なものではなく、
2015年に優奈がタイムリープせずに重ねた日々からの要素が複雑に絡んだ可能性の掛け算なんだろうなあ。
だからこそ「今」ってのは奇跡だし、そこに与えられているものをすべてだと思って全力で大切にしなさいってのが
この作品全体のメッセージなのかなと思った。
総じて、恋愛を通じた人々の成長や変化と
今って時間が凄く尊いもので、何よりも大切にしなければと思える前向きなメッセージが
詰まっていて楽しく程よく心を動かされた好きな作品だった。
推しは紗江子と架純