ゴールデンアワーの記憶
シナリオの質以上の爆発力を持った青春の傑作
・外れだと感じるルートはなかった
同ブランドのヒマワリだと茜ルートはいいんだけど、
そこに辿り着くまでの日常パートとルートが退屈すぎて
どうしても全体の評価が下がってしまう部分があったけど、
本作はそれがなかった。
共通も可愛い女の子がいっぱい出てきてラブコメ面白いし、
ルートもそれぞれ可愛くてエロい。
非常に平均値が高く読みやすく仕上げてきたなという印象。
その一方でユキの発言だったりとか、ん?と思わせる部分もしっかりあって、
先が気になる展開が多く、飽きることなくプレイできた。
・濃厚なRシーン
個人的にめちゃめちゃ好きです。
感触が伝わってくるような塗りのきれいさと艶
あと、肌の凹凸とか、女性ならではの肉のつき方
が一人ひとりかき分けられていて、
心からのプロ根性を感じた。
個人的に夏未の身体が大好物だった。
スレンダー黒髪美人に見えて意外と肉付きがいいというか
どこもかしこもむちむちしてて柔らかそうな感じがたまらんかった。
とくにバックになったときの背中の丸みというか、
程よく脂肪がついている感じが凄くそそりました。
・夏未ルートからユキルートで明かされるユキの本当の姿
夏未ルートがひとまずの結末、
そしてユキルートが種明かしとトゥルーエンドって感じ
ユキというヒロインのね、自分の心を殺して
主人公の幸せのために全てを掛けるような思いの強さ。
影でこの子はどれだけ涙を流したのだろうとか、
幸せをつかんでいく主人公の見送る視線に何が映っていたのだろうとか、
考えると本当に叫びだしたくなるような感情に襲われてしまう。
だからこそ、彼女の中にあるゴールデンアワーがずっと続いてほしいと思うし、
エピローグで一瞬見えた光景が、
彼女が隣にいる雄也くんの描く幸せの未来図に繋がっているといいなと心から願ってしまう。
それくらいに魅力的なヒロインだったと思う
・同ブランドの作品をいくつかやってると既視感があるかも
瑠璃のルートなんかはヒマワリで似たような展開あったし、
路上でクリスマスケーキを食べる描写もあったよなあと
あと次作のスワローテイルとの比較においても
声優さん引き継がれている人が多いのと、キャラ造形が似通っているので、
どことなく既視感を覚えるような展開が多く、
この辺りは気になる人は気になると思う。
ただ本作はいわゆる親友キャラが底抜けにいいやつな上に、
(ヒマワリの隼人はなぜか凄く苦手だった)
いわゆる神様ポジションがあまり積極的に物語に関与しないことがあり、
相対的にヒマワリよりも好印象ではあった。
・終盤になるほどに増える誤字脱字、バグ
まあ、このメーカーの十八番だよね…
分かりやすく後半になるほど増えていくので
校正が疲れてきてるのかなと思ってしまった。
バグはヒマワリよりはましだけど、
突然ユキが天井から生えてきたり、
服装がセリフごとに何故か変化したり、
色々ある。
進行不能になるものはないので、楽しもうと思えば楽しめるレベルだと思う。
(ユキが降ってくるのはホラーだったけど、、、)
以下
個別ルート感想
瑠璃ルート 86点
恋愛の正解は必ずしも一直線ではない、素敵な遠回りだってある、そう思わせてくれるルート
手塚はクズだけど、やってること浮気なので間違いなく賛否分かれるだろうなって感じ。
個人的には賛、というかこれはこれでいいと思う。
なんていうか聖人君子的な綺麗な恋愛ばっかり描かれる世界だから、
こういう話があってもいいんじゃないかな。
思い出に一度だけって言ってキスした瞬間にお互いに止まらなくなる感じが
非常に情感的で好き。
瑠璃はなんか本当に悪い男に騙されそうな性格というか、ほうっておけない感じが凄くした。
恋に恋してるタイプというか、だから手塚と付き合ったんだと思うし、
付き合ったことによって、夢から覚めて、本当に自分のことを幸せにしてくれるのは、
「恋愛」ではなく「自分が本当に好きになった人」なんだって気づいたんだろうね。
この辺りはサッカーをやめて立ち止まっているときに
ゴールデンアワーの美しさに気が付いた主人公、というか作品全体のテーマにもつながるのかなと思った。
そういう風に白馬の王子様を追いかけることをやめた彼女だからこそ、
エピローグで等身大の幸せをつかんでいる感じが結構ぐっときた。
展開がヒマワリにすげー似てるのと、
手塚みたいなタイプってそこまで瑠璃に執心しないんじゃないかなとは思ったけど、
それなりに好きなルート
すずルート 82点
キラキラした世界にいる彼に憧れた彼女が、夢を見失った彼の新しい夢になる物語
すずは可愛かったんだけど、なんか自分がつかんだこの作品のテーマと
逆の方向にいってしまったなという印象が強く残った。
思ってたこの作品のテーマが当たり前と思っていたものがなくなってしまうことだったり、
立ち止まるからこそ気づくことのできるものがあるって感じなんだけど、
このルートはむしろ逆というか、ありふれたものを捨てて、
華やかな世界に飛び込んでいく、そしてそれが上手くいってしまうルートなので、
なんかアレ?ってなってしまった。
まあ、キラキラしていた彼の横にならべるように変わりたいって
願いからモデル活動が一度夢に見失った彼にまた夢を持たせた
というストーリーとしては悪くないんだろうけど…
立ち止まるからこそ、見えるものがあるってテーマ自体が好きだし
リアル志向が魅力の作品だと思っているので、
そっち方面に話がシフトして欲しかったなと
完全に自分の好みだけど思う。
あるいはモデルとして一世を風靡するんだけど、
ある日スパッとやめてしまって、
どこかの遠い国で彼と幸せに生きる、いろんなことを見落とさないように
みたいな結末を欲してしまう自分がいた
(ヒマワリの茜とかスワローテイルの紗江子とかがそれっぽい)
総合的にみると悪い話ではないんだけど、このブランドに求めるものとしてみると微妙かも。
すずのメンヘラ気とM気むんむんの感じがかわいかったのでこれくらいの点数。
意外とスレンダーだったのが個人的に残念。
スワローテイルの紗江子や有華みたいなちょっと贅肉のついた身体を想像してたので…笑
まあ、モデルだしね…仕方ないか
まりかルート 91点
切ないなあ…切ないけどあくまで前向きなんだよな。
元カノルートらしい関係性の変化だよなあ。
中途半端に未練があるからセフレになっちゃう辺りリアルだなと思った。
そうしているうちにお互いに戻ることも進むこともできなくなって、
関係性を変えながらずっと一緒にいた「二人」としては終わってしまう。
当たり前に思っていたものがなくなってしまう、
ありふれたまりかとの日々が大切だったと気づきながらも、
終わってしまった関係を巻き戻すことなく、
新しい二人として別々の人生を生きていく…
切ない…当たり前だと思っていたものは意外と脆かった
まさに青春フラジャイルって感じ。
さらにこれをエピローグでひっくり返すのがいいよね。
離れてみて気付く当たり前の日々の尊さ
それを胸にお互い新しい二人として「始まっていく」
凄く綺麗だと思った
ちょっと展開が全体的に急かなとは思うけど、
個人的には好きなルートであり結末。
「車窓の歌」めちゃめちゃいいな…
空港へ向かう電車の中でまりかはこんなこと思ってたのかなって気分になる
夏未ルート 93点
自分たちを形成している存在や
その記憶が失われていく恐怖と寂しさを交換しながら
幸せな未来を探す、前向きでちょっと切ないハッピーエンド
二人のはじまりであるユキの存在と
夏未がかつて大切にしていて、でも今は忘れてしまったものを
彷彿とさせる謎の少女千尋。
そこに誰かがいたからこそ、自分が今ここにいる
でも、それが誰なのか分からない、何を自分は大切にまもってきたのか分からない
それが凄く幸せなはずの現在の状況に対して不安と恐怖をもたらす、
さらに、もっと幸せな瞬間があったのではないか、
何かが損なわれた状態でここにいることへの説明不能の寂しさ
そういう不安定な、でも確かにある共通認識が
二人を包みこんでいる感じが切なく感じた。
でも、それでも今を生きていて、今一番好きなのは夏未だから、
たとえそれがベストアンサーでなくても、あったかもしれない未来にあえて背を向け、
時々感じるあったかもしれない未来からの不安や寂しきを
二人で交換し合って乗り越えて、
がずっと幸せであり続ける未来を探していく。
そういう強く今を生きて幸せを探していく
二人だけのハッピーエンドであるように感じた
あと、ここまでのヒロインで一番エロかった。
スレンダーな黒髪美人に見えて、
実は一番肉付きがいいんじゃないかな?
個人的な性癖になってしまうけど
背中の肉の乗り方がエロすぎるんだよなあ…
抱き心地抜群でしょ、こんなの。
胸だけじゃなくお尻がでかくて、
後ろから突くとタプタプするってのも
最高ですよね…好きです。
よくわからない締めになったけど、
今のところのベストヒロイン
あとはユキが夏未の何であるのか、
その辺がユキのルートで明らかになるのかなと思う。楽しみ。
ユキルート 93点
結末に対しては賛否がありそうだけど、自分は好き。
奇跡を起こさないというか、現実的な着地点だと思う。
ボイスレコーダー、夏未との「ツーショット」、
ずっとなんなんだろうと思っていたものが色々と回収されてそういうことだったのかと
素直にため息が出てしまった。
特にツーショットはやばい、なるほどねって。
いろんなものが回収される本作の集大成にあたるルートなんだけども、
まずはユキの立場から見たときの報われない気持ちだなあ…切ない。
だって自分がくっつくことで優也は死んでしまうんだから、
言葉の通りに何度やり直したとしても、ユキのことを好きになってくれたとしても、
その手をとってあげることができないんだから。
きっと他の子と結ばれていくなかで、
優也が優也を取り戻して幸せになってくれることが自分の役割なんだと決め込んで
何度も何度も泣いていただろうし、
現実が追いつくことのない気持ちを抱えて、
それでも優也のために歩き続けてきた彼女の献身に乾杯という感じ。
もう一個は取り戻すことのけしてないゴールデンアワー
ずっと続くと思っていた青春の日々のことだよね。
現実でもここまでドラマチックにはならないけどそうだよね。
どんなに素晴らしい日があったとしても、それがあった瞬間から
過去のものになっていって、だんだんと思い出せなくなるし、
自分も周りも時間を経て変わっていくし、
やり直しの瞬間なんてのは訪れない。
すべてのものは失われて存在しないものへと変わっていく。
でも姿形が見えなくなっても、心の中で住み続ける記憶や時間は消えない
幸せな日々はそのままであり続けて、
今を生き続けるための力になってくれる。
だから、今を強く生きようと奮い立たせるために
過去とのつながりを探しながら、それが薄れないようにすることは
けしてみっともないことではない。
そう思った。最後のユキの姿を見ながら。
ゴールデンアワーがいつまでも彼女の心の中にありますように
そして、エピローグがどういう意図なのか分からないけど、
どうかその続きが優也くんの描くユキが隣にいる未来であることを祈るばかり。
こればかりはご都合主義でいいからそうであってほしいと願う。
<全体の感想>
ヒマワリをより読みやすくして、
日常パートを面白くしたような印象
スワローテイルの後半のとんでもSF展開を
丁寧に折りたたんでちゃんと結末をつけた印象。
このブランド3作目ですが、一番くせがなく
やりやすい作品かなと思う。
まあ、エロに関してはスワローテイルに若干軍配かな。
ただし、青春の書きなぐり全開みたいな、
良くも悪くもケータイ小説のようなチープさは
いなめないなとは思うので、
主人公やその仲間のやり取りを
一緒にわくわくして見られるか、
馬鹿じゃねえのかこいつらと思いながら見てしまうかで
評価が変わる作品でもあると思う。
個人的にはシナリオのクオリティ以上に、
この物語の持つ輝きを自分の心の引き出しにいれて、
負の感情に支配されそうな夜に取り出して、
潤った感情を取り戻せたらいいなと思わされた。
こういうリアリティのある青春群像劇を書くブランドがまた現れて欲しいし、
ここの魂を引き継いでいそうなMELLOWさんなどには、
頑張ってほしいなと思う。
あるいはCUBEとかあざらしみたいな金満ブランドが
南浜よりこ先生をこの業界に呼び戻してほしいな…
お気に入りキャラ:夏未
お気に入りシナリオ:ユキ
基礎点 45/50
熱中度 28/30
システム音楽等 13/15
調整点 5/5