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lein2709さんの想いを捧げる乙女のメロディーの長文感想

ユーザー
lein2709
ゲーム
想いを捧げる乙女のメロディー
ブランド
ensemble
得点
87
参照数
59

一言コメント

思ったより…悪くない!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

どこ見てもあんまりいいこと書いてないし、
ライターが恋かたの沙織ルート書いた人ということもあり、
あんまり期待値を高くせずにプレイ。

結論、全然悪くないです。
世界観や絵はもう素晴らしいし、
シナリオもそんなに悪くない。
というか沙耶香ルートと千夏ルートについては
光るものを感じた。
他のルートも基準点はつけられるなくらいの出来にまとまっていて、
いい意味で予想を裏切られた。

パンチが弱いといえば、その通りかもしれないとも思うけど。
ぶっちゃけ地味というか、あんまりこれといった売りがないというのも正直なところ。
いいか悪いかは人によると思うけど、
複数原画家さんがいる上にビッグネームばかりなので、
ヒロインごとのかき分けを楽しめるというのはあると思う。

ensembleらしい優しい世界観は相変わらずだし、
主人公もヒロインもほんわかしてるけど、
みんなそれぞれに抱えている想いや気持ちがあって、
芯の強さを持っているいい子ばかり。
ストレスフリーに読めると思うので、
きっついシナリオゲーの休憩くらいの感覚でプレイしてもいいと思う。

シーンに関してはどぎつい卑語とかないけどそれなり。
主人公が控えめな子なので、女の子に襲われるようなシチュが多く、
優しく女性優位という感じで個人的には満足。
あと、実は巨乳しかいない、隠れおっぱいゲームだったり…笑

以下個別ルート感想

沙耶香ルート 92点
想像を遥かに超えて良かった!!
お互いに今回が最初で最後になるって想いを抱えていて、
お互いにいい子だから相手のことを想って、
あえてそのことを口にしないようにするんだけど、
そういう自分の中の矜持を打ち破るくらい相手への想いとか信頼とか
そういうものが強くなっていく過程がとにかく素敵だった。
言おうか言うまいかって葛藤ももちろんそうだけど、
勇気と信頼を持って転校のことを打ち明けてくれたみさきに対して、
その思い切った感情に共鳴して、自分も出立や抱えている秘密(女装のこと)
を明かそうってなれるやり取りが良かったと思う。
真心の関わり合いというか、お互いに独りよがりにならずに
本気で相手のことを考えるのが伝わってきた。
正妻っぽい雰囲気があるので若干攻略順間違えた気がするのが不安です笑

美亜ルート 86点
悪くない!
みさきくんと同じパートなのでどっちかが出るのかなと思ったけど、
そうきましたか、まあそうなるよね。
最初の好感度が低めだったので、
隣合わせでピアノを弾くうちにだんだんと変わっていく感じが
楽しめたかなと思う。
あと、女装バレからの展開も結構よかったかな。
たとえ何かを隠していたとしても、
二人で積み上げてきたものに嘘はないとして、
それによって変わっていく自分を受け入れて、
みさきのことを信じようとするまでの流れが良かった。
あと、理屈抜きに可愛かった。
ツンツンしてるけど、めちゃめちゃ甘えん坊だし、
甘いものに目がなくて、一人でメイド喫茶行っちゃうし。
付き合った後の破壊力があったなあ…。
こんな警戒心の強い子が自分から誘惑するなんて、
っていう意外性があった。

琴音ルート 84点
なかなかの乱れっぷりでしたね、エロくてかわいい子
琴音ちゃんからは逃れられない。すんげー肉食。
女装バレもこれまた新鮮なパターンというか、
動じないどころか、むしろチャンスとして距離を詰めてくるとか…
ちょっと狂気を感じるタイプのそれに非常にドキドキさせられた。
おませさんでしたね。シーンもイキまくりって感じで、
本作のエロ要因かなと思います。
シナリオとしてもそこそこ、
みさきサイドに大きな試練が与えられる流れでしたね。
誰よりもみさきのピアノを理解している彼女だからこそ、
みさきも窮地を脱することができたし、
裏方として演奏者の隣という立ち位置を勝ち取ることができた。
まさに想いを重ねて切り開いた未来と言えるでしょう。
師匠との対決の方法がみさきではなく、琴音の理解力テストになっているのが、
みさきの気持ちが宙ぶらりんになるような気がしたのが少し気になるのと
せっかくぐるぐる眼鏡かけてるんだからそれにちなんだイベントが欲しかったけど、
まあ、最終的に二人で一つとして成功とこれからの未来を勝ち取ったなら、
どっちの成果とかもないのかなと思いました。
あと、これだけでかい乳してて、なんでPズリがないんでしょう…無念です、はい笑

瑞穂ルート 81点
これまでのルートとがらっと変わって、
みさきの演奏やシュールフェストというよりも
瑞穂自身の想いにスポットをあてたシナリオ。
シュールフェストが競争の場であるなら、
もう一つみんなで演奏をして、
演奏をした人、それを見てくれた人の思い出になるような
イベントをしようというのが大きな流れ。
イベント自体は最上級生らしい
何か一つでも残せるものという優しさに溢れたものではあるんだけど、
どうしてもみさきとの立場的に距離のある人だから
無理やりにつながりを作ったような印象があり、
あまり入り込める感じではなかった。
シュールフェストっていう格式を取るか、
みんなで作る思い出を取るかってところなんだけどね。
そこまで頑なにならなくてもいいじゃないかなで片付いてしまう気がした、正直。
逆にヒロインとしては、ルートに入ってからの魅力度が一番上り幅が一番大きかった。
二人きりのときだけ「みさきくん」呼びになるのも可愛いし、
小悪魔的にみさきの気持ちを揺さぶるようにして、
年上らしく、女の子らしく仕掛けてくる感じとか、
共通では見られなかった一面がたくさん見ることできて、
改めてこの子も可愛いなと思った。
(まさか試着室で致してしまうとは思わなかったけど)
みさきとの秘密の共有を楽しんでる感じがよく出ていてそこが良かった。
あと、終わり方も良かった。
このルートの場合は全員の想いを瑞穂さんとまとめることになるからなのか、
ちゃんと全員にさよならを告げて旅立っていくのがいいよね。
沙耶香ほどではないけど集大成感のある終わり方だったと思う。

千夏ルート 88点
無駄シリアスといえばそうなんだけど、
千夏とみさきそれぞれの素敵な部分が上手く引き出されたいい話だったというのが
個人的な感想かな。
自分の行動によってみさきの夢をくじいてしまったという自責の念
目指すべき場所を失ってしまった悲しみや迷うような気持ち
そういうものに負けずに特殊な事情を抱えたみさきとまっすぐに向き合って
支えになろうとする千夏の献身的で前向きな姿勢も素敵だし、
自分の夢を諦めてでも、
千夏のささやかな願いをくみ取って、
そのまっすぐな想いに少しでも正しい場所に届くように、
恋人として、先生として一緒に手を取って歩いていこうとする
みさきの義理固い部分っていうのかなも素敵。
女装が自分だけじゃなく、千夏を巻き込む事件のトリガーになっていたり、
みさきの千夏に対する負い目のようなものとして、
一方通行の関係性にならない要素になっている辺りもGOOD


<全体の感想>
なんとも同ブランドの過去作とかぶる感じで、
地味ではあるんだけど、
平均点が高く、光るものも見えた、個人的にはかなりの良作の部類。
というかやっぱりensembleと相性がいいなと思った。
強いて不満点を挙げるとすれば、
おっぱい大きい子多いのにPズリが少ないことと、
琴音ちゃんが変態枠にしては少しパンチが足りないかなと感じたことくらい。
あと、エッセンスみたく学園長たちのSPエピソードみたいなのが見たかったかな。
個人的に求めていたもの以上のものが返ってきたし、
シリアスなゲームの合間合間に挟んでやるにも
この上ないくらいの佳作だと感じた。

推しキャラ:千夏、みさき
推しルート:沙耶香、千夏

基礎点 43/50
熱中度 25/30
システム音楽等 14/15
補正得点 5/5
合計 87/100