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ldrudyさんの双天†恋姫 -至源の王-の長文感想

ユーザー
ldrudy
ゲーム
双天†恋姫 -至源の王-
ブランド
BaseSon
得点
80
参照数
422

一言コメント

劉邦は劉備と似た系統になった。作中で魅力あるキャラみたいだがプレイヤーにとっては魅力…?なキャラとなってしまっている気がする。とりあえず主人公と劉邦の意気込み多すぎてヤバくない?色々と残念な部分もあるが、新しい恋姫としての試みは大歓迎。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず外史という物語の舞台を用意したことで、ライターさんも新規新しい恋姫を作り始めようとした今回の姿勢は、恋姫ファンとしては素直に嬉しい。
いつまでも既存の恋姫では、声優さん、ライターさんを筆頭にスタッフさんも往年のメンバーから入れ替わるだろうし世界観を崩さないようにしながら作品を作り上げていくのはしんどいし、制限も多くなることだと思います。
故に最近のbasesonは新しい一歩を踏み出そうとしている感じを受けます。


今作は劉邦と項羽という舞台に外史、外史の管理人等が物語の軸にあるので初代恋姫を彷彿としますが、勢力に属するということで物語は結構難しくなったと感じました。
初代は簡単に言えば相手を戦で倒し、併呑していった故の勢力なのでシンプルでした。そこが今作との違いだったのでしょう。

今作は劉邦、項羽と勢力を渡り歩き どちらの勢力にも属しながらも属していない みたいなダブルスタンダードな立ち位置 故に物語が複雑化というかスッキリしない形となった。

そもそも物語の基盤は項羽と劉邦の覇権争いであったため それをまずスッキリさせてから協力し最後の黒幕との戦いへと持っていったほうが多分王道的でシンプルになったのではないかと感じました。


さておき最初から強い不満点を出します…。
意気込みが多すぎて 正直最後らへんは超げんなりしていた部分がある。


「王になる!」
「俺は劉邦を王にするんだ!」
「赤龍の乙女!」
「諦めない!」

この台詞何回出るんだろう…。本当に主人公や劉邦の意気込みを語るシーンが多かった。
主人公は 俺は劉邦を王にするんだ!と言って少し文章を進めると、俺は絶対に桜花(劉邦)を王にするんだ!俺は諦めない!走るのを止めない! 皆頑張れ頑張るんだ! …いや分かったから落ち着け そんな何回も繰り返さなくてもさ…

そして劉邦も私は赤龍の乙女!この劉邦は王に!諦めない!走り抜ける!!   …もう勘弁してくれ…!登場するとほぼ全シーン意気込み表明みたいなものじゃないか…


正直劉邦の最終決戦に同行する過程も無理矢理過ぎます…、最終決戦をメイン2人という展開は分かりますが、もう少しまともな動向理由はなかったのですか?
最後の戦況が厳しすぎるからの残って欲しい展開、動向理由があれでは単に劉邦のわがままで動向しただけにしか見えないのが…

何というか力がなくとも兵士達の前線に立って鼓舞しているとかならまだしも
行動が伴ってないというか…、後方、または安地から都合のいい時だけ出てくる、もとい身内の前で意気込み連発しているように見えてしまう。
危険な所にも出てくるシーンはあるんだけど、印象が薄すぎる。最後の盤面もただハイエナしただけじゃねぇか! って感じに見えてしまうのは私だけだろうか…?


正直に言うと部下の韓信こと綺羅の方が王の器として相応しかったような…。

少なくとも劉邦陣営では良い描写がされたのは綺羅で間違いない。



んー戦国恋姫でも主人公が意気込みをしつこく連続して言うシーンってありましたよね。
吉野の君との戦闘中とかモロそうだったと記憶している。
意気込みを連発されすぎると流石にくどいなぁと感じる時はありました。
要所で意気込むのならいいのですが流石に…

大抵 諦めない! 負けるか! 皆頑張れ! 俺はやりとげる! とかそういう台詞ばかりなので…本作や戦国でもそういうシーンが繰り返されると もういいよ、それ聞いたよ10回以上な! となる。
意気込みで展開を進めようとするのは、個人的にキャラの魅力を相当下げると思います。



さて今作の主人公は仙堺の外史の管理者側の人物という設定で外史を導く存在であり歴史を知っています。
その上で予測をして行動したりするんですが、所々で重要な場面を感情論で乗り越えようとするんだって場面が結構多い。
そんな王で満足か? じゃねーよ…


そして主人公は外史の滅びを回避するという目的が第一。
劉邦→項羽陣営に移動しするのですが、何というか結構無理やりな展開も多くあって、目的のためなのは分かるんだけど、もう少しましなムーブがあったんじゃなかろうか?とか普通に思ってしまう位にはダブルスタンダードに見えてしまった。


恋姫だと陣営が固定されていて、更に一刀は強制的に転生されてしまった という設定なので
この世界で生き抜こう→拾われた陣営で頑張ろう というシンプルで分かりやすい設定だったんだなと再認識しました。
また初代は違いますが一度言いましたが 本郷軍を旗印に戦して併呑し大陸を統一する的なシンプルな流れだった。

今作は劉邦陣営で劉邦を王にすると凄まじい所から、項羽陣営に渡り そこから項羽陣営にも って感じで凄くスッキリしない感じになったのが




とりあえず、主人公…肝心なところでいつもしくじってるな!?
意気込みスキルも+で有言不実行! 不言実行のがかっこよく見えるからな!?覚えとけよ!?
ただ行動しない空気野郎よりは全然マシだがな!



そして、出たな…劉の字… 

プレイヤーから評判が悪かった劉備さんのご先祖の劉邦さんは今作のヒロインの一人です。
実際の所は劉備は自称劉邦の末裔 というのが私の認識でしたが
OK この恋姫という作品での劉邦 間違いなく劉備の祖先だわ まじで納得したわ…。

まず劉邦は自分の欲に実に忠実 そしてピンク+他人任せという欲張りセットを装備しています。
その上でギャル風に魔改造されています。

そして私は王になる、王になるのよ!私は赤龍の乙女!王になる! 方法などは全部よろw

あ、でもその方法は私の美学に反するからnot 他の方法よろw


ガッデム!! ユー!!!
他人任せだけならまだしも、意気込み連発スキルまでセットしたんか?
勘弁してくれ、そんな追加DLCみたいな特徴誰も望んでないぞ…。

いやいや、確かに劉ですしね。個人の才覚より人徳に優れ優秀な部下が集まり恵まれた というのを表現したいのでしょう。


でも人徳=魅力ですよね?
意気込みを語り あとはよろww っていう人物に魅力を感じろって方が無茶振りなんだよ…。
まずキャラの魅力の示し方の見直しをしない限り劉の字は駄目だと思います。プレイヤーからも人徳を得られるような魅力的なキャラにしてくれないと…


んー何だろうな…毎回登場するたびに意気込み語るの やめてもらってもいいですか!?



そして劉邦サイド→項羽サイドに話が変わったり、後は両陣営で…と主人公は陣営を移動したり陣営の形態が変わったりとしていきますが…

劉邦サイドから項羽サイドになった場面、軍の内部で信頼を勝ち取ろうとする流れはいい。ただし枠の関係のためか急速に信頼を勝ち取ってしまう流れは賛否がありそうだと感じた。
恐らく両サイドを無理に進行させようと頑張った結果からかあからさまに描写が不足していたり、早足すぎて何のための展開というような場面があったようには感じる。
まず匠を受け入れるまでスピードが爆速すぎる。


しかしながら、范増との絡みは物語の中でも一番自然であったのは良かった。

しっかりと仕事を通じて交流をしていく。
また主人公の家を通じて劉邦軍の雪と范増の絡みも良かった。
個人的に范増が今作では一番良い描かれ方をしていた気がします。



そして一つ気になったのは項羽サイドだと意気込みが減るぞ…?
ただ劉邦サイドに一瞬場面が変わった瞬間 うおおおやるぞおおお、王になるんだ、皆で頑張るんだみたいなノリになった…何でやねん…



さておきメイン格二人の内の一人項羽ですが…。
どうしても、孤高の王 みたいなより 言葉も通じず行動も気まぐれを通り越して意味不明 という印象が強くなってしまった。
一本筋は通っているが未完の王である…という形を描きたかったのかな…
しかしながら序盤、目的という部分が終始ふわふわしている感じを受けて、プレイヤーとしてはどうしても置いてけぼり感を覚える作りであった。
故に後半の成長した部分を見せつけられても、どうしても目的という部分がふわふわしているので、猟奇的にしか見えなかった…

そもそも、饂飩で気に入るとか ちょっと…
ともかくメイン二人、主人公に何とも言えないものがありました。




正直恋姫白月→戦国長宗我部と個人的にはいい流れを組んでいただけに、今作の粗は超目立って感じたのかもしれません。


基本的には私があげた不満は、ヒロイン2人、主人公の意気込みの多さと展開なんですけど
やっぱり主人公が立ち位置をはっきりさせず、目的のためといっても 両サイドに属しているけど属していないダブルスタンダードで物語が進んでしまったこと。
その割には項羽と劉邦は白黒ハッキリさせることに拘っている  つまりそこの齟齬が大きいため発生した物が不満の点に繋がっていたと感じました。
多分ここらへんは好みの部分もあるのかもしれない。


しかしながら新しい舞台 新しい設定はワクワクするものもあったし新しいキャラ等も新鮮でした。

そして正直な所 三国志演舞の関係は、某歴史ゲームや、学校に置いてある漫画等で馴染みがありますが私にとって項羽と劉邦、その時代は名前は知っているけれど馴染み深い題材ではなかったですが楽しめました。