印象の悪い人がたまに良い事をすると凄く良い人間に見え、良い人が良い事をしてもあんまり評価されない。 人の心理状況においてプラスとマイナスの振れ幅が大きいほど相手の心に与える影響の度合いが大きくなる事をゲインロス効果と呼ぶそうだ。
この作品はまさにそういう作品だ。
どこかネジの外れた主人公は逮捕され収容されるも、収容所でも浮いた存在。最初は囚人同士から執拗なイジメに合う。
そして次は刑務官に目をつけられ理不尽で行き過ぎた対応を受けることになる。
その時プレイしているユーザーは何て嫌なキャラ達なんだ…と思いつつ主人公が反撃に出るとスカッとする。
通常のゲームならここまでだ。
しかしこの作品は最初イジメの主犯だった囚人が次の章では非常に気さくで面倒見の良い友人キャラに早変わりする。
導入は強引に見えるが、マイナスすぎる印象のキャラが次の章では主人公をかばったり一緒に地獄を見たりと戦友っぽい描写が続く。
多分最初の最悪な印象はだいぶ雲散してしまったと思う。
刑務官もそうで理不尽な言いつけをするが、言葉の端々にたまに垣間見える素の部分。
しかしそれでも微妙な気分を抱えたままだろう、しかし次の章というか話が切り替わるとその悪い印象をスパッと断ち切ってくる。
ぬきたしもそうだったが凄いチープなシモネタや土台に、光る物を幾重にも混ぜ込んでくる。
良BGMも健在だし、キャラがぼやいたり、絵に動きを入れるなど紙芝居のゲームとしても工夫が凝らしてある。
今作はプリズンという重い土台にチープなシモネタや設定などを組み込んでいるが見事に昇華されている。これもまた然り。
私としては次回作も期待値が高くなってしまうブランドだ。