My Best Game。台詞回しは演劇や落語のそれに似て軽妙で、思わず口に出して読んでしまいそうになります。声優さんが生き生きしているのは、このリズムと語感の良さに依るところが大きいでしょう。何気ない言葉に様々な意図が読み取れ、行間を読む事を強いる作品です。不完全であることは否定しませんが、怒りではなく悔しさが先に立ってしまうのは、如何にこの作品が愛されているかを物語っているのではないでしょうか。
約2年ぶりに全部通しで再プレイしました。うあー、おもしれー。
つばさ→青葉→小町→希望→雑感→こだまの順に書いています。
【つばさ】
八重樫つばさ。恋愛否定組、二面性人間、物事の裏が見えてしまう女。。。
最強です。
萌えゲーで最も優れたシナリオではないでしょうか。…いや、こういった主観に満ちた感想はあまり書かないほうがいいんですが。
なんといってもOPムービーでも最初に突きつけられる、つばさが言い放った数節の文句。凄え。しかもこれ、初体験の直前の言葉ですよ?嫌過ぎる女だ(笑)
この他にも
「誓約っていうか、制約?」
この台詞で鳥肌が立ったのは僕だけでしょうか。彼女の性格をよく表している言葉だと思います。
恋人になるというのは、それ以前とどう違うのか。何の為なのか。他の異性との交遊を禁ずる為?セックスをするという契約?そういった問いがこの一言に込められています。
また、こういうのをぽろっと出せる(しかも駄洒落でw)ライターさんはやはりセンス抜群だと思います。
余談ですが、彼女が中学時代に影響を受けてしまったというラ・ロシェフコオの本にはこんなのがあります。
「恋は心においては支配の情熱、知においては共感であり、そして肉体においては、大いにもったいをつけて愛する人を所有しようとする、隠微な欲望にほかならない」
あまりにつばさっぽい言葉で笑ってしまいました。他にも色々ありますが。こだまの若草物語など、映画や本といった、言葉の端々に出る価値観を追っていくような事も恋人同士の付き合いの楽しさにあると思います。
これを書いた人は中世フランスだかの貴族らしいのですが、いかにもそんな人あたりが言いそうな言葉です。
でもこの思想には根拠があり、それがつばさの両親。彼女は軽く語りますが、思春期に身近で信頼している人間が簡単に心変わりしていく様を見せ付けられれば、人間不信になってもおかしくありません。イクイクを溺愛するのは、姉妹というだけでなく、同じ痛みを分かち合い、さらにそこから一歩踏み出した同志だからでしょう。
それでも彼女は化粧をします。コロンを付けます。長時間かけて髪を整えます。やはりどこかで人を求めているのではないでしょうか。…なーんて邪推をされたら一笑に付されそうなキャラですが。
こうした様々な要因で、恋愛を拒否。何度も回り道をして、やっと想いが通じ合っても理性から「付き合う」事を拒否。そして最後には本能に降参っ。
かぁー、萌えますな!!
また、彼らが交わす言葉による牽制の様子は、言外にある複雑な心情がありありと浮かび、こちらを刺激してきます。他の方の感想にもありましたが、告白シーンの応酬はゾクゾクもの。
または、雨の中の下校。『なんとなく距離が縮まり、普段は隠している自分を見せてしまう。気付かなかった魅力に気付いてしまう。何かが変わった事を意識して別れる。その予感に振り返ると、相手もこちらを振り返っている…。』
恋の始まりと位置づけるこのシーンも力が入っています。
ですが、ここまでが非常に優れているだけに、彼女の「魔法の解けた後」の描写が皆無なのが本当に残念です。
このシナリオで悲恋の話を展開しようとすると…想像するだけで痛々しい、凄まじいものになりますが、それを描こうとしない。こんなにおいしい状況を揃えておいてそりゃないんじゃないですか…?
他のヒロインの場合は失恋後にサブキャラ達が励ましてくれますが、彼女の場合、最も重要な存在であるところのイクイクが現れもしません。
布石は全て揃っているのに。それなのに、あのすかしっぺ。くそったれ。数時間かけて組み上げたパズルのピースが足りない様なもどかしさと無念があります…。
また、この「記憶が消える」という設定もこの話を全然駄目にしてます。そりゃあ、恋愛ゲームで失恋を表すのは難しいです。主人公が心変わりしてもプレイヤーはしてませんから。それに、ジャンルを問わず、愛情が無くなることを論理的に説明する事はあまり出来ません。昨日まで好きだったラーメンを急に嫌いになっても、それはなんとなくでしかない。
ですが、つばさシナリオに関しては「記憶が消える」なんて誤魔化したら駄目です。いや、彼女の両親のように長所が短所になっていく様、愛情から不信が生まれる様を見たいのではありません。(やってもいいけど)
「記憶を失う」という比喩では、それによって起こる、「愛情を失ってしまった事への悲しみと憎しみ」がないんです。「やっぱり恋をするんじゃなかった」という想いが無い。そしてそれは、このシナリオでは結末がどうあろうと描かなきゃいけないものです。
それは主題じゃない?じゃあ途中まで書くなよっ!
…まぁ、その辺は自分で勝手に妄想します。そうしてどんどん変態になっていくんです。どうしてくれるんですか。
【青葉】(君が望む永遠のネタバレあり)
恋愛には、それを躊躇する人としない人がいます。
僕もギャルゲーを楽しむような人なので、どちらかというと相手も自分も傷つけたくない臆病なところがありますが、そういうことを考えないで素直に人と接する事ができる天然体質な人もいますよね。
このゲームに出てくるヒロイン達は、こういった天然と繊細を組ませているんですね。
希望にはつばさ、青葉には小町といったように。こだまはゲームマスターなので法則から外れていますが。
これを理解すると、青葉の立ち位置が見えてきます。それは僕が彼女に魅力を感じなかったからなのかもしれませんが、はっきり言うと…
森青葉は雪村小町のための捨て石に過ぎなかったんだよ!(どーん)
青葉のシナリオに出てくる芹沢かぐらの設定、誰かに似ていませんか?そう、小町。ずっと好意を表し続けているところ、幼い頃の舞人の一言で性格を変えてしまうように、舞人の言葉を必要以上に重大に受け止めるところなど、そっくりです。
ここで、小町のシナリオについて。
以前、他の批評に、『事態に際して行動しない人物は尊敬できない』と書いたことがあるんですが。うん、この主人公も行動していませんね(笑)
雪村小町の舞人への好意は明らかだし、彼もそれに気付いています。(ここが他のゲームと違う所で、この主人公は『鈍感』という免罪符を持っていません)
それに対し、何のリアクションも起こさない舞人。…卑怯者です。にも関わらず、このサイトでも「好きな主人公」の上位に位置していますね。
相手に答えを求められていないからその罪悪が表に出てこないだけです。そして、答えを出してしまうことへの恐怖とその理由を丁寧に書いているから、反感が生まれにくいのです。
君が望む永遠は、答えを既に出し、それを今一度求められる。でも状況が変わり、答えを出せないからプレイヤーは反感を覚えます。小町の想いに答える前の舞人のしていることは、鳴海孝之(何度も悪者の例にして御免よ)と変わりありません。
舞人は小町のシナリオではこれに向き合えない。何故なら小町は、それを踏まえた上で舞人に片思いをしているので、問題にならないんです。
かといって、他のヒロインのシナリオでこれを小町が追求するのは、萌えゲーである本作では出来ないことです。
「知ったふうな事言わないで下さい」これが限度。これ以上やるとドロドロした醜い話になってしまうし、同じことを全てのヒロインのシナリオでやらなくてはなりません。
そこで出てくるのが、かぐらです。彼女は青葉に恋破れてしまいます。
それでもかぐらは精一杯の告白をし、ここで舞人は初めて、目を逸らし続けた好意に正面から向き合うことが出来るのです。「小町を選ばなかったシナリオ」の清算を青葉のシナリオを使ってしているのだと思います。
青葉は、なんの苦もなく舞人と部屋を行き来する仲になれてしまうなど、天然体質です。拒否されると素直に悲しがり、受け入れられると素直に喜ぶ。そして小町にはない、人を納得させてしまう力があります。
ただ、それではドラマにならない(笑)。そんなつまんない恋~♪
だからやはり彼女は、小町を引き立たせるための存在だと思っています。
【小町】
小町は設定をブサイクちゃんにして欲しかったですね。…ジャンルの性質求心力画力色んな意味で難しいですが。
その方が「あなたを追ってどこまでも~」の強さが引き立ちます。そもそも美人だったら、仲間はずれになんかされませんし。
そう、「あなたを追ってどこまでも~」の小町。これまたエロゲーにありがちな設定ですが…この子はちょっと違う。
その行動、台詞は、合間に見せる不安や弱気があるからこそ生きているのです。
今、世に氾濫する萌えは、はっきり言って開き直りすぎです。
気軽に「おにいちゃーん」と抱きつきやがる(言わずもがな、青葉のような子)。抱きつかせりゃいいんだろとキーボードをパチパチ打ってるライターのおっさん達は思ってる。
消極的、あるいは常識的な人間にとって、それはどんなに力のいる事か。
嫌われるのが怖いのと、誰かに取られるんじゃないかってのがいつも隣りにあって、それでも一緒にいたいのが強さです。恋です。
小町は、「好意を示すこと」と、その「距離感」に悩むんですね。
そして、拒否をされても提示された条件の範囲でアタックし続ける。
これは…脅威です。正直「ありえない」。小町の強さと恋の力が実感できるところです。
小町のテーマ曲Tiresome Snowは、シナリオをクリアして、Innocent Snowの後に聴くと泣けます。Tiresome(煩しさ)の中に隠されたInnocent(純潔)。ホイッスルがいい感じに彼女の心情に合っています。っていうか、一人だけ優遇されすぎ…(笑)
彼女にこそ「元来乙女」の言葉を送るべきですね。あ、「行動する乙女」か。
ですが、分別のついた今の小町ならば、その恋が勘違いなことにも気付いているはず。彼女の魔法が解けた後の展開はその辺りを描けそうです。ライバルの麦兵衛もいい奴だし。でもつばさの時ほどに物足りなさは感じませんでしたね。このままでも充分テーマは伝えられている。
【希望】
とにかく萌え特化!なシナリオです。一本のゲームで肝となるレベルの萌えイベントを、告白前後で怒涛のごとく並べたてる。
…語るのも恥ずかしいシーンの連続なのでそれについては止めます。
作品的には、「なんで舞人君を好きになったのか分からない」という台詞が重要かもしれません。
舞人は「ただなんとなく」満開の桜に導かれ、「ただなんとなく」朝陽に会いに行きます。恋の始まりも終わりも理由なんか無い。それは喜びだし、不安でもある。
「私達いつから始まってたんだろうね」…さあ?これが答えです。
こういった理不尽で説明のつかないもの(恋)と、「桜の精の呪い」、「記憶が消える」ことを関連付けたのでしょうか。
「彼女の持つ存在の意味が変ろうとしている」みたいなのがどこかにありましたが、何をもって変わったのかは曖昧ですよね。それこそ、選択肢を変えるだけで変ってしまうもの。
…などと延々と考え始めると、つばさの恋の魔法の台詞に行きついてしまうわけですが。御託はいいから恋愛しろとの言葉には納得しつつ、やっぱり離れない考えですね。
その点、彼女の天然っぷりはまた凄いです。それこそ、エロゲーの主人公並。「プリンセス」もエロゲーへの皮肉かもしれません。
キャラ紹介にあった、「ねぇねぇ、私プリンセスって呼ばれてるんだって知ってた?(こんな感じだと思う)」という台詞。ここだけ抜き出すと嫌味でむかつくんですが、料理の仕方が上手くて思わず感心しました。彼女はこれを本心から言っているんです。
他にも、つばさシナリオでの希望の励ましの言葉は正に肩の力が抜けるようなもの。でも、やっぱこういう娘は強いんだよなぁ。
彼女は青葉と違ってある程度は萌えられました。あちらよりは普通っぽい子です。
【全体について】(ONEのネタバレあり)
なんといってもテキストと笑いが達者です。
韻を踏んだり、技巧的でありながら笑えるものが多い。独白部分も会話の一部であるところなど、落語に似た印象を受けました。
また、高尚なドキュメンタリー番組のナレーションや、演歌の前口上なども、真似するのは意外と難しいんですがこれも見事。一言でも書きましたが、声に出して読みたくなります。
このゲームはONEと同列に語られる事が多いですが、起こる現象は同じでもその意味はかなり違うと思います。ONEは記憶消去に理由を付けられますが、こっちはそもそも理由がありません。
目的も違います。ONEは折原浩平の孤独と、ヒロインとの絆を演出する為のものでしたが、それ散るは恋人同士の関係破綻を目的としています。
また、jwtoshiさんのような読み方も出来ますね。
それでも現象そのものは似通っています。やはり何か別のものにして欲しかったです。
【爆笑したところ】
「私は賢者よ」
「恋愛は性欲の詩的表現です」
「出でよ、究極進化体アルティメット・ドラゴン!」
「俺をヴィジュアル系と呼ぶな」
「私のお医者さま」
などなど。こうして言葉を並べるだけでも思い出し笑いがw
【その他諸々】
・サブキャラも造形がしっかりしていて、重要な部分を担っています。彼等にも本編では語られていない物語があることが示唆されていますね。鬼塚さんは台詞が二言三言なのに強烈なインパクト!山彦とかは攻略したかったですね~。や、交尾は無しで。
・乱歩は趣味悪いのか…。
・「カラテ」も充分いやらしいと思います。女の空手はエロい。
・絵が変…。青葉の添い寝の絵、顔が浮いているように見えるんですけど…。立ち絵は一部可愛いですが。こだま先輩の、目の焦点が微妙に変わるのがいいです。
・背景は量も多くて綺麗だと思います。見覚えある場所がありました。
・BGMも全体的に良質です。belovedはマジで名曲。今でもよく聴きます。
・萌えゲーにしては癖が強すぎてライターの顔が透けて見えるので、萎える人もいるかもしれません。強みでもあり、弱みでもあります。
【こだま】
こだまのシナリオはこの物語を総括するものであり、そのエンディングは『種明かし』です。けれども、エンディングを読むだけでは、いまいちしっくりこない。だからもう一度整理して考えてみました。ちなみに、この批評全体に言えることですが、この解釈が絶対に正しいとは当然思っていません。
『それ散るという物語はこだまの創作で、こだまが書いた小説がこのゲームそのもの』というのを前提にして下さい。はっきりとは書かれていませんが、そうであると示唆されています。この前提で物語全体を見直すと、違った見方が出来ます。
小説を『書いた』側にいるのが「こだまA」「舞人A」
小説に『書かれた』側にいるのが「こだまB」「舞人B」
だとします。
こだまエンディングで分かることは、この物語は「こだまA」自身の物語であるということと、「こだまA」は「舞人A」と恋人で、大変に好き合っているという状況で執筆されたものであるということです。ここに本作の意図を感じ取る事ができます。
こだまは3年生。学年が違う舞人とは、いずれ違った環境になってしまいます。受験が迫り、会える時間が減った彼女はふと、こうした不安に駆られたのでしょう。
「本当に、いつまでも、この恋が続くのか?」
立ち止まって世を見渡せば、そこには別れ話が満ち満ちています。身近にいる知り合い達を見るだけでも、仲の良かった恋人が簡単な理由で別れることもある。恋という現象を客観的に見れば見るほど、その不確かさが確かになります。
こだまAは、その事実から目をそむける事が出来なかったんですね。
朝陽は丘の上から人間達の欺瞞を「見て絶望」した。つばさは両親や友達の破局を「見て絶望」した。知識としてあるだけで、体験していません。
つまり、「桜の丘」とは、恋の幸せの中で「こだまA」が感じた、何らかの事情でそれが終わってしまう「不安の象徴」であり、また、作中で唐突に訪れる恋の終焉は、もし終わってしまった時に訪れるであろう、「悲しみと絶望」を「想像して」書かれたものなのです。夢オチのようなもの。
そう考えると、この物語の恋の終わりが理屈の通らないものであるというのも説明がつきます。「こだまA」は実際に別れを経験していないのですから。ですが、それはこの物語では重要なことではありません。
少々強引な例えですが、「人間はいつか死ぬ。けれど、精一杯生きていこう」ということを表現するのに、死因は問題になりませんよね。もちろん、死因が深い意味を持つ場合もありますが、上記のような主題では軽視され、死以前の行動や、それによってもたらされたものへ力点が置かれるはずです。だから、この物語において、別れの切欠はさほど重要ではありません。換言すれば、「不治の病」でしょうか。
脱線しました。
この物語は希望、青葉で、恋によってもたらされる充足を表現し(彼女達は恋愛成立が早めでラブラブ期間が長い)、
つばさ(朝陽)、小町で、恋という概念への懐疑、そして、そんな不確かなものの持つ力を表現しています。
それぞれが「こだまA」の体験であり、考えであり、主張。
そして、その狂言回しの役を担った「舞人B」は全てのシナリオで、最後にある共通の認識を持ちます。
それは、大切なものを知った事への感謝。
この物語の主張、つまり作者である「こだまA」の結論は、
『恋はいつ、どんな理由で始まるかわからないし、外的、内的あらゆる理由でいつ終わるのかもわからない。しかし、もし失恋したとしても、恋を後悔することはない。何故なら、恋をする前の自分よりも、恋をして確かな充足を経験した今の自分の方が良いと断言できるから。』
ヒロインと結ばれなくても、この話はハッピーエンドという捉え方が出来ます。けれど、舞人は最後にヒーローとヒロインが結ばれるという、安っぽいエンディングを付け加えました。それに対しこだまは、
「ありがとう。本当に、ありがとう」
と言います。何が『本当に』ありがとうなのか。
つまりこのエンディングは、ハッピーエンドを求めるプレイヤーへの配慮だけでなく、こだまAと舞人Aの恋もいつまでも続くものである、という舞人のこだまへの気遣いでもあるのです。
と今書いてて思いつきました。
「恋をするとね、何気ない一言が宝石みたいに光り輝くんだよ」──それまでと違った意味を持つ言葉がある。
挿入歌の詩にもある、「屋烏の愛」──人を愛すると、その家の屋根にいる烏さえ愛おしくなる。精神的に豊かになれる。
このこだまシナリオは、恋のもたらす世界の広がりを謳っているのです。
そして、雪村小町というキャラクター。彼女は恋によって暗い性格を克服し、成績も上がりました。生きるための行動力を得ました。
この「それは舞い散る桜のように」のテーマは
『恋をするべきか、しないべきか』
という、一見簡単なもの。けれど、その危うさに気付くと、途方も無く勇気のいること。
作品はこの問いに対し、全力で明確な答えを出しています。よって…
「未完結のシナリオではありません!」
…続編なんかいりません。
ただ…このテーマについては伝えきれていると思いますが、yu_iさんのご感想の中の議論で交わされていた「恋の実存」については、確かにつばさシナリオでの問題提起だけで終わっているので、その観点で見ると中途半端であることは否めません…。僕も不満です。書く力はあると思いますけど…ね。
※参考に。
この作品にとって大きな意味を持つのが、有名な寓話『星の王子さま』です。この中の、キツネとの対話。
王子さまは地球に来て、数千本のバラを見、かつて愛した一本のバラへの愛を疑ってしまう場面があります。けれどもキツネの言葉で、自分が愛したそのバラは唯一無二であり、かけがえのないものであることを知ります。
そして時が経ち、王子さまはキツネと別れることになります。心を通じ合わせた2人は当然悲しみます。
「仲良くならなければよかったの?」と尋ねる王子さまに、キツネは答えます。
「君と仲良くなる事で、僕は君の髪の色と同じ小麦畑を愛せるようになった、だからこの出会いには意味がある」
(思いっきり要約&改編すみません。ほんとに全然違います(汗)ので未読の方は是非。)
シーン毎に追っていないのでちょっと語りきれなかったところがあるんですが、この辺で終わります。
とても好きな作品なので、また数年後にプレイしたいですね。
※所々変えました。すみません。