一般参考評価:86点 個人評価:98点 信者補正あり。個人的なツボに嵌りました。
無印から変更された内容は、最初に世界の秘密を知っているか選択でき、
朱鷺戸 沙耶、二木 佳奈多、笹瀬川 佐々美の3ルート追加されている。
この3ルートは、Refrainクリア後でなければ行けないが、秘密を知っているを
選択すると最初からルート突入可能になる。
他にも、各キャラにエクスタシーシーン追加され、クド、葉留佳、Refrain鈴の
3ルートでシナリオ一部加筆されている。(但し、葉留佳は数行)
特にクドは大幅に加筆された為、初回プレイ時の意味不明度は下がりましたが、
シナリオ自体が元々あまり良くないので、とっつきやすさが上がっただけのように
感じます。また、クドルートは、Refrainクリア後にプレイすると、さらにアフターが
読む事ができるようになっており、かなり優遇されています。
それだけ、爆発的な人気だったという事でしょう。
無印だけでも、非常にテキスト量が多く、さらに新ヒロイン追加で、無印と同額で
かなりお買い得ではあります。
しかし、今回追加された3ルートは、どれも面白いんですが、Refrainクリア後
という条件があり、クリアしていないと分かりにくいという面がある為、
そう易々と人に勧められるゲームではないのが残念です。
無印の個別ルートがもう少し面白ければ良かったんですが(´・ω・`)
Key信者の人には、安心して勧められるゲームではあります。
個人的には、このゲームの最大の魅力は、リトルバスターズという仲間達と居る
空間そのものだと思います。理樹は、仲間達が居る所が自分の居場所と言っていますが
その空間の居心地の良さと、メンバー同士の絆を上手く描けていると思います。
掛け替えの無い仲間達と、その友情劇をご堪能下さい。
以下、ネタバレあり感想(反転)
・佳奈多ルート シナリオ:城桐 央
葉留佳で描き切れなかった、佳奈多の心情を丁寧に描写…って、
これ恐らく、企画段階で佳奈多ルートが作られる事が決定していたと思うので、
葉留佳ルートの、佳奈多側の描写に、わざと手を抜いていたんじゃないかと
勘繰ってしまいます。というより、恐らくそうだったんでしょう。
本来、葉留佳と佳奈多を交互に心情描写する事で、一つの物語として
収束させるのが、一番綺麗にまとまったと思います。
それを佳奈多ルートがあるから、葉留佳ルートは葉留佳側の視点に拘って、
描かれていたのではないでしょうか。
そう考えると、EXと分割して出しているのに、腹が立ちますが、
世界の秘密を知っている前提で描かれている為、葉留佳ルートの存在を
上手く活かした形になっているのが、せめてもの救いでしょう。
実質、真・はるかな姉妹ルートと言うべきものになっています。
非常に完成度の高い良シナリオです。
特に、葉留佳ルートでは過去エピソードが全然出て来なかった為、
結果は分かるけれど、原因が全然見えてきませんでしたが、
今回は丁寧に過去エピソードが描かれていたので、非常に分かりやすかったです。
はるかな姉妹の話は、佳奈多側の心情描写が、やはり必要不可欠だと思いました。
葉留佳ルートの内容に足りなかったピースが、こちらで全て埋まっています。
変に攻略を分けるより、一つの姉妹としてのルートで作れれば、
恐らく一番良いシナリオになったと思います。
ここはライターもそうですが、企画側にも問題があったと思います。
しかし、シナリオとしては、個別ルートの中で一番好きです。
・佐々美ルート シナリオ:都乃河 勇人
虚構世界という設定を、上手く使おうとしてるのが見られるけれど、
ちょっとあざとさが見えてしまいました。
来ヶ谷ルートでもそうでしたが、ちょっとギミックに凝り過ぎている。
設定を活かそうとするのは良いけれど、それがシナリオの本質になっては
元も子もないんですが、今回は来ヶ谷ルートのような失敗は犯していません。
また、どうしても理樹に違和感を覚えました。
理知的に理詰めで考えるというのが、なんだか似合わないというか、
確かにバス事故から生還した後の話で、成長した理樹なんですが、
理樹の得た強さというのは、勇気と行動力だったと思うので、
もっとそういう理樹らしい成長性を見せて欲しかったです。
恭介のように、要領よくやれる=成長ではないと思いますしね。
どうなるか分からないけど、挑戦してみようというような、自分の信念の下に
前を向いて貫く意志の方を強調した方が、良かったのではないでしょうか。
しかし、シナリオは良かったと思います。
特に、ペットを飼った事がある人には、破壊力が大きかったのではないでしょうか。
最後の方での、黒猫と佐々美との絆がよく描かれていて、上手く伝わってきました。
心情描写が以前より良くなっていて、問題点が改善されているので、今後に期待。
ただ、黒猫の話と理樹と佐々美の恋愛の話は、完全に別個になっているので、
正直あってもなくても良かったものだったのが、少し残念でした。
そういう意味では、キャラの魅力というのがあまり出ていなかったと思います。
また、黒猫が理樹とリンクした理由がさっぱり分かりませんでした。
色々な虚構世界設定を活用しようとしているのに、そんな所で論理の綻びがあって、
ご都合主義を出しているのは、何だか腑に落ちませんでした。
・沙耶ルート シナリオ:麻枝 准
沙耶ルートは、リトルバスターズメンバーの枠組みからはみ出してしまっていて、
沙耶は理樹としか絡めなかったのが、少し残念でした。
ただ、沙耶以外との掛け合いをしたとしても、沙耶の性格上、理樹以外には
そっけない対応をしそうなので、あんまり面白くないのかもしれません。
だからこそ、理樹に恋愛感情を持った事で、キャラクターが崩壊して行く様は
凄く面白かったですw
特に、ぶっ飛んだ選択肢を選んでいって、馬鹿理樹状態にすると、
笑えて笑えて、どうしようもありませんでしたw
馬鹿理樹にしても、シナリオの質は落ちないので、一応麻枝氏は、初回時には
通常理樹のプレイを推奨してますが、初見で馬鹿理樹状態でも、問題なさそうです。
しかし、シナリオの上手さと、テキストの良さは、さすが麻枝氏でした。
特に、沙耶の過去の描写などを見て、他の担当ライターとは違うなと感じました。
途中から一気にシナリオに引き込まれました。
シリアスの配分や、タイミングも上手いと思います。
個人的には、沙耶と理樹で、時風を打ち破るまでは痛快劇で、
その後にスクレボENDのような世界になった後、理樹の未来を閉ざさないよう
恭介にマスター権を返すような話の方が、面白かったような気もします。
でも、これはこれで、上手く締められているし、良い流れが作れてるので、
変に小細工するより良かったのかもしれません。
沙耶の生死については、どちらとも取れるように描かれているのは、
相変わらずのKeyという感じでした。
沙耶と理樹が手を繋いで、鈴以外の旧リトバスメンバーに囲まれている一枚絵が
良い味を出していて、凄く好きです。誰の願いの果てなのか、何を示すのか、
幾通りにでも取れる絵ですが、沙耶の幸福の象徴と単純に捉えると、
後味の良いエンディングと考えられます。
耳に残った曲は、新曲ではglassware。ある意味、Sha la la Ecstasyも耳に残った。
初めて聞いた時は笑いが止まらなかったな。