一冊完結のラノベのような、王道で爽快な純愛SF物語。全年齢向け作品なのもあって、中高生に受けそうかなって
以下雑感。
よかった点
・主人公に声がついてるのは◎。主人公のT-BITの性格は年相応に青臭く、ところどころプレイヤーの苛立ちを買いそうな言動をしてるにもかかわらずさほどそう感じなかったのは声優さんの演技がいろいろ柔和してくれたおかげだと思う。
・背景美術・演出が総じてハイレベル、さすがKEYといったところ。マスコットキャラ、小物などのデザインまでもが凝ってるおかげで没入感が抜群。
・音楽もめちゃくちゃいい。特にレース中に流れるSKYOUT FOREVERが最高、普通にハッピーハードコアのプレイリストに紛れ込ませても違和感ない完成度。折戸さんこんな曲も書けたんだ…
・フルダイブ型VR、AI等設定一つ一つをとってもさほど目新しさはないかもしれないが、それらを上手くリミックスして説得力のある世界観を構築してる。また伏線の張り方が丁寧なおかげで、後半でストーリーが急展開を迎えても納得できる形になってる。(むしろゲーム内で真実が明かされるよりずっと前にある程度仕掛けを予想できてたので伏線が丁寧すぎるまである)
悪かった点
・サブキャラのガヤとミャウの掘り下げがほとんどなく、都合よく展開を先に進めるための舞台装置と化してる。特にミャウはストーリー上重要な役割を担ってるにもかかわらずありきたりなツンデレ高飛車ライバルキャラのテンプレをひたすらなぞってて、せっかくの見せ場であるフラれシーンがいまいち印象に残らない。いいキャラなのに勿体ない。
・声優さんの演技自体に文句はないが、メインキャラ4人中2人が甲高い萌えボイスを宛てられているのでプレイ中耳がキンキンした…もうちょっとバランスよくキャスティングしてくれたら個人的には嬉しかったのだが。
エンディングについて
・こういう突っ込みは野暮かもしれないが、生まれた時からたった一人、あんな特殊な環境下にいた希優がいきなり地球に連れてこられて、身体的な意味で普通に生活していけるとは思えないのだけど…そういう意味ではあの感動的な再会シーンでストーリーを締めくくったのはちょうどいいな気がする。その先を描いても入院とかリハビリとか介護とか、そういう余韻をぶち壊す単語が出てきそうで…