絵師買いしたい方はどうぞ。頑張った方ではあるがやはり物足りない。
この手の作品にしては頑張ったシナリオという前評判を知った上でプレイ。
結果、レビューどおりの内容……ではあったもののやや物足りないと感じました。
頑張った跡は見受けられるものの、やはり作品全体として見ると残念な部分の方が多かった。
ですので――
『このキャラ、この絵でイチャイチャしたいんだ』という方以外はもう少し堅いものをプレイした方がよいかと思います。
まず良かった点。
・主人公の人格形成、特に過去が作中で光っていた。
主人公の行動や思考にしっかりと裏づけがあったおかげで『個別中盤まで』はそれなりにうなづきながらプレイすることができました。
・ヒロインがそれぞれキャラ立っていた。
これは大きなくくりで『萌えゲー』に分類される本作品ではもっとも重視されるべき点でクリアされて当たり前ではあるが、しっかりとカバーされていたのは好印象。
そして悪かった点。
・個別ルート。共通では光っていた主人公の設定が徐々に薄れていく。
一部ルートではしっかりしていた部分もあったが大半のルートではやはり『よくいる主人公』に成り下がってしまっていた。主人公が成長するのは構わないとは思うが、根元から色が変わるような成長はいかがなものか。
・キャラの描写が平易である。
自分が求めすぎている部分も大いにあると思うがあえて。
筋は通っているものの、もう少し複雑かつ繊細な描写を楽しみたい。どうしてもラインが一本線で簡単に目で追えてしまう部分が多かった。
・グランドルートの扱い方。
最も良かったグランドルートだが、もっと活かす方法はなかったものかと思えてしまう。
ネタバレになるので詳細は伏せておく。
いってしまえば全部作って後から思いつきでつけたしできるよね、という内容がほとんどになっていた。
順番固定でトゥルー扱いとするのならば、個別ルートそれぞれが影響し合って最後の盛り上がりを見せるようなものが欲しかったところ。
もちろん、個々のルートから拾ったネタが絡んでくるのはくるのだが、深い部分では一体化できていないと感じてしまった。一番気に入ったルートであっただけに残念である。
総括。
多々あるこの手の作品から差別化はできているもののやはり『凡作』から脱するには足りなかったかな、という感じ。
とはいえレビューから予想していた範囲内ではあったので特段ショックというわけでもない。
オススメするわけではないが、コンスタントにキャラゲーをプレイしている方には一味違う刺激が無理のない範囲で楽しめるのかなーと思います。