素晴らしい青春ストーリーだった
キャラクター達に降りかかる困難にドキドキし、その成功に喜び、清々しくゲームを終えられる傑作と言っていい青春系のゲーム。この系統のゲームは大好きなこともあり、一度始めたらやめられなかった。(ゲーム開始からクリアまで、セーブデータ2個しか作らなかったよ・・・)
キャラクター同士のコント系の掛け合いも、緊張感のあるシーンやヒロインとのじんわりとくるシーンの邪魔には全くなっておらず、非常にいいバランスで書かれたテキストでもあった。ヒロインとしても、特に夏帆と有佐は好みのヒロインで、恋愛の部分も十分に楽しめた。ゆいと明里先輩のルートがないのがいただけないが・・・
ただ、私個人の最高点99点をつけている「この大空に翼を広げて」と同系統の大好きなタイプのゲームだったこともあり、なぜここまでの出来で自分が最高点をつかなかったのだろうと考えると、1点びゃっこの部員達の物語に完全には入り込めなかった(完全に個人的な好みとしての)原因があったのではないかと思う。
それは、キャラクター達が「あの晴れわたる空」の先に何を見ているのかが自分にはわからなかったことである。完全な文系人間であり理系の進路など考えたこともなかった自分は、グライダーやロケットそのものにロマンを感じることはできないし、ロケットの無駄のない設計の美しさというのも、共感のできるものではない。
「ころげて」の場合、この大空に翼を広げた先に、モーニンググローリーという単純に風景としての迫力と美しさにより共感可能な目標が設定されていたのに対し、本作の場合、私にとってはそれが明確にならなかったというのが原因ではないかと思う。これにより、若干、「ああ、宇宙工学系の技術者達ってこういうものなのかな」という傍観者としての視点が残ってしまったのかなと。きっと、宇宙とロケットにロマンを感じられる人・「あの晴れわたる空」の先が見える人にはこのようなことはないと思うので、本当に個人的な好みでしかないのだが。
不満のようなことを述べたが、これは「なんで自分が最高点をつけなかったのだろう」という点についての原因分析であり、本作は迷いなく素晴らしいゲームだったということは繰り返し強調しておきたい。