ErogameScape -エロゲー批評空間-

kuroJrさんの満淫電車2の長文感想

ユーザー
kuroJr
ゲーム
満淫電車2
ブランド
BISHOP
得点
67
参照数
2131

一言コメント

シナリオ○5点 取り巻く世界観○6点 シチュエーション☆10点 グラフィック☆9点 音楽○4点 キャラ15点(ヒロイン◎7点 主人公△3点 脇役○5点) エロ☆10点 その他◎8点 痴漢という世間には許されぬ行為――「娘姉妹」や「むすめーかー」と同様な禁忌を堂々と描ききったメーカーに拍手!そして、こういった犯罪ゲームを通してエロゲユーザーはメーカー側からの隠されたメッセージを読み解く必要があるはずだヽ(゚д゚)ノ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●シナリオ: 5点
シナリオもあったもんじゃない。
だがエロゲーらしいエロゲー!これはシナリオを楽しむもんじゃないから
5点でも高いと思ってもらってもいいです。主人公が痴漢して、その女の子たちを次々と
自分の掌中に納めるまでを描く淡々とした流れ。だがこれでいいのだ。
エロゲーとは本来、三次元において、実現不可能な事も可能にさせる一つの手段、
官能小説ややエロアニメとなんら変わりない欲求を満たすための娯楽なのだから。

●取り巻く世界観: 6点
舞台はタイトルの示すとおり、電車の中で行われる閉鎖的な空間。
電車というのは、全くの他人同士があんな近い距離で蠢きあっているが、
よく考えれば、実に奇妙なものである。自分の領域というものが人にはあるのに、
電車、特に満員電車においてはそんな領域などお構いなしに他人に侵入を許し
おおっぴらな嫌悪を抱くよりもしょうがないといった諦めが入り混じり目的地へと
人を導く。満員電車――それは我々の日常と似ているようで全くの異質な空間なのかもしれない。

●シチュエーション: 10点
背徳感とスリル、その両方を兼ね揃えた独特の分野――痴漢
やはり痴漢物のいいところは、知らない他人に弄ばれた女性が頭では嫌なのに
体は思考に反し、嫌々ながらも反応していく過程にあるのだと思う。
痴漢ものは凌辱系の一つであり、世間では許されない禁忌である。
――もちろん、ここには平和ボケしている日本においてという注釈はつくが――
人は禁忌に惹かれる、痴漢然り、強姦然り、調教然り。しかし、こういった分野は
これからもなくなりはしないであろう。禁忌こそ、人の持つ最深の欲求であるのだから。

現実では絶対にしてはならないことをゲームで発散できるというのは
もしかしたら犯罪抑制に繋がっていると言ってもいいかもしれない。
ただ、逆にこれだけでは欲求を満たせず、犯罪促進にもつながることもある。
もろ刃の剣――こういう極端な二面性こそが、痴漢物の真意であろう。

●グラフィック: 9点
絵師は金目鯛ぴんく氏。
この人の絵には、人が興奮できるポイントをきちんと押さえている。
何が良かったのか――それは「舌」である。
女性が主人公に犯され、自我が飛び、ケダモノへとなった時、全員が同じように
舌をペロッと出して、よがる姿は久々にエロさを感じた。

●音楽: 4点
BGMがシチュと微妙に合ってなかったような気がする。
差し迫るような感じがもっと出ていれば、良かったのだが……。

●キャラ:15点

ヒロイン: 7点
主人公の手にかかり、どんどんと変わっていくヒロイン達。
ウブでピュアな子が淫乱に、真面目一辺倒だった女性が自分の性欲に気付きケダモノに
女王がただの雌犬へに、と変わっていく過程は十分に満足のいくものだった。
それにしても、人ってのはやはり性欲には勝てないのだろうか。
現実とゲームを混合するつもりはないが、現実の女性も見ず知らずの痴漢野郎に夢中に
なるなんてことあるのだろうか?
ないからこそ、こういった作品が生まれたのかもしれないが……。

主人公:3点
相手の思考を読み取り、相手の思考に自分の思考を送り込むことができる能力を持つ
仕事を首になり、社会の底辺に位置している男が主人公。
この能力こそが、この作品の根底にあることは間違いないのだが、ご都合的過ぎる。
ヒロイン達は主人公のことを、「犯罪者」だの「格差社会の敗者」だの「女の敵」と称した。
もし、主人公がこの能力の価値に気付き、主人公の能力を有効的に使えれば、
最低でも敗者ではなく勝者にはなれるだろうに……。
もし、主人公が社会の勝ち組でそれでいて、自分の性欲を満たすために忍んで痴漢を
しているのであれば、エロゲの「ありえなさ」が薄れ、評価も跳ね上がったかもしれぬ。

脇役: 5点
主人公の協力者――ダンゾウ(だったけ?)
このおっさんも痴漢の一人であるのだが、このおっさんは痴漢として
主人公と同様、誇りをもって痴漢を行っている。
成りも考えも行いも、汚らしいがそれでも輝いて見えるのはなぜだろうか?_
他人には絶対に受け入れられないことだろうと、自分を信じ、自分の道を突き進む姿が
美しいのだろうか。
でも、所詮はその道ってのが「痴漢」なわけなのだが(笑。

●エロ:10点
シナリオでも述べたが、このゲームはエロゲーらしいエロゲーである。
CG数もイベント数も申し分ないほどあり、さらにはきちんとハーレムENDも
用意されている。ハーレムENDを見るためには、60日という期間を有効に使い
全員を均等に攻略する必要がある。
無駄な事をしていて、60日が過ぎることも多々あり、この作品をフルコンプするのに
3~4日もかかってしまった。ストーリーを楽しむものじゃない作品にも関わらず
これだけの時間がかかったのは、私にとって異様に時間を要した印象を受ける。
それだけ、ボリュームもあったし、価格に対し十分満足のいくものだったと思う。

●その他:8点

責め言葉の収集と使用、駅の選択、協力者との連絡――意外とゲーム性のある作品
それにしても時間のかかる作品だったな。
エロシーンに行くまでも最初、初めてPLAYした時、ずいぶんと時間を喰った。
こういったシステム・ゲーム性自体には不満はないが、もう少し難易度を易化して
もいいのではないだろうか。とにかく選択肢を一つでも間違うとGAME OVERに
されるのはやめてほしかった。


最後にこの作品において、最も良かった点は、いくつかのENDで主人公が痴漢をはたらき
警察に捕まるというシーンである。
これはバッドエンドでなく、ストーリーの一部に組み込まれたものだ。
許されぬことをした主人公に正しい処置がなされる。
これはメーカー側の「これはあくまでゲームであり、実際に行ってはいけない」という
隠されたメッセージなのではないだろうか。
このようなメッセージをきちんと理解し、この作品以外にも近親相姦ものを描いた
「娘姉妹」、未成年の売春を描いた「むすめーかー」、カニバリズムを描いた私お気に入りの
「くるくる・ファナティック」も同様に私たちはゲームと現実をきちんと区別しなければ
ならないことをいつも心の片隅に持つ必要がある。

エロゲをする人は必ず守るべき、最低限の常識でならなければいけない。