Favoriteの作品がそうであるように共感と没入が成立しなければ退屈にならざるを得ない話だが、疎外さらた人々の話と家族愛が引き立つ話は単にそこに留まれず、お互いに異なる「あなた」と「私」の共感と共存、和合に至る感動的なメッセージがある。
「共存」をテーマとする作品はどうしても重くなりかねないという印象があり、哲学的、あるいは衒学的に変貌する危険性を内包している。しかし「冬」という作品の風陰気を終始よく保ちながら、衒学的でないように「冬」と「ルーン」を素材にした世界観との絶妙な調和を成している。同時に理想と現実の適切なバランスまで維持する文学的まで内製しているfavoriteの力作だ。