三角関係のラブ·ストーリーを「音楽」という素材と組み合わせて、陳腐さを乗り越えたクオリティを見せた I.C.とC.C.までは無難な展開だったが、codaの部分は強引な場面が増えて共感しにくかった。 しかし、codaまで引きずりながら見せようとした話の裏の結末は、単なる恋の物語を超えて一つの「作品」を作ったと思う。
各人物らが取るべき行動や、それに伴う価値判断は、勝手に正しい、正しくないと言えないことが、相当な重みを与える。 雪菜のグランドEDが万人が共感できる最も「現実的」でありながら望ましいエンディングだとすれば、かずさのエンディングは現実をあきらめてでも徹底的に主人公の「理想」を貫こうという意志とメッセージが込められている。
その一方で、ただ主人公に限りなく奉仕し、一方的な関係を結んだ雪菜に与えた最後の場面は、傷と思い出を昇華させた対等な位置に立った彼女の姿だったという点で、少なからぬ感動を与えた。 どの結末も完璧とは言えないが、伝えようとするところは確実に伝わったと思う。