3人のヒロインに出会ったことで主人公の何かが変わった。
まずこれは、主人公が立ち直るための物語と感じた。
ヒロインたちの問題を解決するのではなく、ヒロインたちが主人公の問題を解決する。
物語の黄金パターン的には逆のバージョンだが、ヒロインたちの可愛いところを見たいのではなく、ヒロインたちに救われる主人公をみて癒やされたいという疲れた社会人には向いていると思えた。
・桜綾√
このヒロインは主人公のトラウマに対して真っ向に立ち向かってくる。
実力で全てをねじ伏せてやれと、我が道を行くヒロインで主人公を引っ張っていく。
彼女の手にかかればどんな願い事も叶う。叶うまで進み続ける。
そんな錯覚に陥るほど輝いているヒロインだった。
性格ややり取りは、冴えカノの詩羽先輩が近いだろう。
売れっ子歴史小説家ともあり、天才ゆえの苦労と共感が主人公の救いとなっていた。
正直、桜綾というヒロインでこの作品の6割は持っているとさえ思える。
そして取材と称して主人公を手玉に取り、ベッドの上では逆に理解らせられるのもご愛嬌。
・いろは√
このヒロインは普通の人だ。自分のやりたいように行動し、あくまで普通に、周りをすごいすごいといって褒め称える。
純粋、子供っぽい、素直。
しかしそんなウラのない反応にこそ、救われる人もいる。
よくいるギャルかと思い期待していなかったが、人望や普通の素晴らしさを教えてくれたヒロインであった。
いつまでも普通に、自然体のままで。
なので周りも本来の自分を取り戻せたり、自然体に戻ることができる。
ムードメーカー担当だが、主人公が前を向くために必要不可欠な人物。
純粋な子供っぽい反応は、もちろんシーンでも発揮され先生と生徒という背徳感が一番強い√だった。
・咲沙希√
主人公のトラウマの原因…なのだが、主人公が初恋を引きずっているだけにしか見えなかった。
先生の娘だからと優しくするが、あんな仕打ちをされてあっさり許しすぎだろう。
ここは説得力が足りず、共感できなかったヒロインでもある。
このヒロインがもう少しトラウマと向き合い、主人公を騙すのではなく救う方向で動いていれば、この作品には100点をつけても良いと思えたほどだ。
個別の流れ的には、人に教えることで自分を見つめ直し前を向く。
次世代に託しても良い空気だったが、弟子を取ることで情熱を取り戻した。
そんな感じの話だった気がする。
シーンは優等生なのにMっ気が強いとかで、まあ2人は幸せだったのだろう。
物語的には何ら珍しいこともない。
だが、何気ない日常で泣けてくる。
「◯◯さんは、~をする天才ですね!」
「それができることがすごいんだって!」
「貴方は私のライバルなのよ」
そんなセリフで自己肯定感を高めてくれるヒロインたち。
そしてつらい過去を包み込んでくれるヒロインたち。
メーカーは違うが、これこそがMelty Healingだったとさえ思える。
境遇と重ねてしまうという理由もあるが、個人的には心に響いた作品であった。