大筋の説明描写は十分であるし、総合的に見たらやや良作といった印象。
本作は章立てで物語が進むので章別にコメントしていく。
個人的な章別お気に入りランクは
3章>6章(統合編)>>2章>4章>1章>5、7章(子供編/妹編)
かな。5,6章,7章と分けたのは独断。
1章と4章は完成度は高いと思う、これ以上改善するような余地はなく、十分な表現が章内で完結していると感じた。1章は唯一ヒロインENDが複数用意されており、それに対して2章以降はメインヒロイン以外のENDどころかHシーンすらない。4章にはHシーンがあるけれど、名前も無いキャラ達と&ネタでしかないし、そういう意味では3章ノーマルエンドでコーダインとのHシーンが無くてショック!でその矢先に該当シーンだったからダブルショック!
4章は展開の「転」の根幹を成す章であったし、必要性も十分。本当に上記の事以外の不満は無い。
1章に関しては個人的な好みの問題が大きいかもしれない。主人公の「我」が非常に分かりにくく、タカシルートと言うよりもグレタガルドルートと言う様なグレタガルド主体なお話、或いは病気云々メインの話で主人公本人の存在が薄い。行動原理も突飛であるか、ヒロインに対して受身になるかの二択で、余り気に入らなかった。ヒロインのキャラは立っているし、矢張り主人公の問題かな。後は5章でも明日香はメインで絡んでくるので、全て終わってからの感想としては別に明日香の相手はタカシで無くとも良かったのではと思えてしまう。
京の方はBADENDはお遊びとしても、R-ウイングのキャラクター達を動かしている点など作品の要素を十分に使っていたのは好印象。主人公の行動が理解出来ないのは同じ、まぁ同じ主人公であるし。
私はプレリュードを未プレイなのだが、あれの主人公はタカシなのかな?あれをやれば主人公に対して違った感想を持てるのだろうか。
2章はカフェでの日常パートが非常に評価出来る。5人程の人間関係を通じての物語で、ノリもテンポも良く面白かった。ただヒロインとの恋愛関係に関しては普通というか地味というか、割と小ぢんまりとした内容な上好感度の推移も鰻登りという具合で、何とも思い入れが薄い。
テキスト>シナリオといった印象。
本作においてはネタ担当なパートであり、3章への伏線イベントにより、2章独自のイベントは削がれているような印象。キャラクターは店長、紀奈子さんが不完全燃焼/未燃焼で終わっている気がする。ひのえりはたまひよのイベントで随分絡んでくるが、紀奈子はその立ち位置が活用されていない気がする。一緒に占いに行くシーンはそれに当たるが、紀奈子独自のエピソードを用いた様な展開が無く、寧ろ占いのシーンも本来なら恋愛関係に発展を彷彿とさせる内容であったし、時間の都合上省かれてしまったのではないかと思っている。
3章はテキスト、シナリオ、キャラクター達の使い方は一番良く出来ていると思う。ドラチーム(プラチナ、マルチネス、アリスとか)柳木原フレイムバーズやR-ウイングの面々など非常に多くのキャラクター達を動かし、それらに役割を与えてそれぞれのエピソードも消化していき、そして主人公を中心とした複雑な人間関係を用いながら話を上手く進めていったことは非常に高く評価出来る。
フレイムバーズの三人とR-ウイングの大司教と満夜(京ルート関連)以外はもう少し見せ場があってもよかったのではないかと思った。最後のバカ騒ぎみたいに、いい年して遊ぶ云々みたいなことが本作のテーマの一つにあって、それを表現する為の重要な要素だったってのは分かるが、もう少し掘り下げがあっても良かったのではと。
まぁそんな様な時間切れみたいなのは本章にもあったのだろうとは思う。そう、コーダインとかさ!ノーマルエンドであそこまでやってHシーンの一つもないのはどうなの!正直あのノーマルエンドは小鳩なんて殆ど絡んでこないコーダインENDであると言っても過言ではない内容であると思うけれど、もっとこうさ!京みたいに特別扱いしても罰は当たらないと思うんだ。ひなえりや紀奈子さん、パルねぇ位のイベントや絡みのレベルなら兎も角、コーダインだけは幸せにしてあげたかった!まぁノーマルエンドでも小鳩ENDでも引き摺った感じで終わるので救いはあるケレド・・・それでもHシーンの一つくらいはと思った人は少なくない筈。
6章の統合編は面白かったが、急に7章の子供編にシフトしてしまうのは吃驚すると共に残念であった。1~3章の個別ENDの後、つまりは一つの人格に統合された状態での他の人格の人間関係はどうなるかを描写している章が本章で、補完的位置づけではあるが急にバランスを崩して乖離してしまうのは唐突であったし、統合したまま最後まで締めてもよかったのではないかという感想をもった。吉川さんネタとかも投げっ放し。
5章7章。小鳩との関係は兄と妹の関係で、恋愛関係だと言うには聊か無理があるのではないかと思った。人格が分かれた原因を求めることを締めにおくことは物語を締めくくる上で理解は出来るが、他の人格を踏まえてということを考えると納得出来ない点も残る。貯蓄とか、知識の経験のみしか結局継承されていない訳で、5章みたいに人格が混ざったという形とは事情が違う。言ってみれば他ENDと同じでアナザーENDの類の一つであって、纏めにくるものとしてはしっくりこないというのが私の感想である。