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kupiboさんのニュートンと林檎の樹の長文感想

ユーザー
kupibo
ゲーム
ニュートンと林檎の樹
ブランド
Laplacian
得点
80
参照数
347

一言コメント

最近科学に興味を持ったので、非常に合いました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

最序盤と、ベッドシーン以外、ドラマティックモードで最後までプレイしました。
面白くなってきた時間は5分程度で、この作品が科学の話が軸なんだと理解してからです。





「ニュートン」と入っているタイトルで興味が惹かれ、
ゲーム内容を一切調べずにプレイしましたが、
いい掘り出し物でした。

序盤は変にノリの軽い雰囲気がありますが、わりと早めにその空気はなくなって、
まじめなテキストで安定感を感じました。
最近はノリのかるすぎる作品が多いので、落ち着いたノリは好感触です。

シナリオも面白く、終盤までずっとシナリオパワーでぐいぐい読みすすめることができました。

ところどころ、初めて見る演出があったのも印象的です。
エミーさんがキャパを振り切った時の唐突な一枚絵や、各ヒロイン用の導入ムービーは、新鮮でした。
特にヒロイン用ムービーの演出には感動しました。
今後のスタンダードになるんじゃないかってくらいの、いい演出ですね。

エロゲというジャンルは、演出面で新しい手法があまり出てこないと思ってるので、
こういう試みは嬉しいですね。

BGMも雰囲気の良いものが多いです。
わりとかけっぱなしにして、別作業したりしてました。


細かいですが、「音声再生中に文字表示を消す機能」があるのがとても嬉しかったです。
これがあると、オートモード時の音声再生待ちのいらいらがなくなって、
話に集中できるんですよね。
真面目な作風の、シナリオを読ませるゲームでは、すべてに実装してほしいです。
音声待ち対策は、エロに限らずノベルゲームの宿命だと思うので、
気になってる人は、ぜひ使ってみてほしいです。
日本語吹き替えの映画や、アニメを見てるんだと思うと、入り込みやすいです。



ただ、全体的にレベルが高かっただけに、最終盤の失速が肩透かしでした。
具体的には、アリスルートに山場がないように感じました。
二人が最終的に一緒になれないのはいいのですが、
そこまでに大きなイベントがほしかったですね。



総じて、とても楽しめました。
タイトル買いして当たると嬉しいですね。

このブランドの作品は初でしたが、とても楽しめたので、
今もうすでに次作の未来ラジオをプレイ中です。


2020/2/18時点での中央点75点は、わかる気もしますが、
心情的にはもう少し高くてもいいと感じる作品です。

本作の前に、きゃべつそふとさんの「アメイジング・グレイス」をクリアしたのですが、
本作のほうが楽しかったです。
シナリオの緻密さや盛り上がりの規模では負けていますが、
テキストや演出ではずっと好みで、ノベルゲームはそこが合うほうが楽しめると思います。