しっかりと作られた印象のある萌えゲー。
Q-Xさんの新作です。
前作のパンドオラで知り、良質なテキストが印象的で次回作を心待ちにしていました。
公式サイトやスタッフロールを見る限り、恐らくかなりの少人数で作られているのでしょう。
発表から発売までも長かったです。
そんな環境でもしっかりと新作を制作しきったこと、そしてその質から、ノベルゲームが好きで作ってるんだなと伝わってきました。
本作はキャラの可愛さを推していく作品でありながら、テキストが落ち着いています。
地の文が多めで、描写に比重を置いています。
ドタバタコメディタッチなシーンもほぼ無いです。
特に主人公のモノローグは印象的でした。
良く考え込むという設定もあって、彼は頻繁に自問します。
自分に自信がなく真面目な人なので、三歩進んで二歩下がるような考え方をします。
創作っぽい安易なごまかしのないその姿勢には、誠実さが感じられました。
BGMは、この萌え系では珍しい少し壮大な曲調です。
作曲者さんの携わってきてる作品を見ると、ファンタジー系の作品を多く手掛けられています。
これが意外と雰囲気に合っていて良い仕事をしています。
効果音も聞いた事のないものばかりだったのでオリジナルかもしれません。
物足りなかった部分としては、個別ルートが似ている事と短めなことです。
テキストに力のある作品なので、もっと読んでみたかったです。
また、さちルートだけ別ライターさんのようですが、明らかに別人とわかる描写だったのも気になりました。
思い入れの補正込みで総合的に良作でした。
ここのスタッフさんの作るまっすぐなシナリオゲーも見てみたいです。